葉酸を飲んでない妊婦は胎児にリスクが出ることがあります


数ある栄養素の中でも、葉酸は赤ちゃんに対し先天異常を防ぐという特有の効果があることで知られています。そのため必要な時期に十分に妊婦が葉酸を摂取していないと、赤ちゃんに先天異常が出てしまうリスクが高くなってしまうでしょう。

赤ちゃんに異常が出る確率は基本的には低いものですが、飲んでいない場合は、間に合うなら今からでも飲み始める方がよいと考えられます。

妊娠初期の場合は、今からすぐ葉酸を摂取していきましょう

妊婦にとって、葉酸がとくに必要と言われるのが、妊娠初期の3ヶ月目までです。さらに細かく分けると、妊娠6週までの葉酸の摂取が重要となるでしょう。

この時期、妊婦のお腹の中では赤ちゃんの神経管という部分が徐々に作られています。この神経管は完成すれば脳や脊髄にも関係する重要な部分です。

しかしごくわずかな確率ではありますが、まれに細胞分裂に失敗するなどで、この神経管の形成がうまく行かなくなってしまい、一部が癒着し塞がってしまうことがあります。この状態は神経管閉鎖障害と呼ばれ、赤ちゃんの流産や、あるいは生まれた後の下半身麻痺などを引き起こす重大な先天異常となってしまうのです。

そこで細胞分裂の際にDNAの合成などを助けると言われる葉酸を摂取することで、この神経管閉鎖障害のリスクを50~70%も下げ、正常に神経管が形成されるようサポートできると考えられています。他の栄養素も大切ではあるのですが、妊娠初期においては名指しで指定されるほど葉酸が重要です。

もし妊娠3ヶ月を超えていないのであれば、今すぐサプリメントなどで葉酸を積極的に摂取した方がよいでしょう。

時期によっては葉酸の積極的な摂取をしても意味がありません


困るのが、すでに妊娠3ヶ月目を超えてしまっているにも関わらず、葉酸をそれまで積極的に摂取してこなかったという場合です。しかし残念ながらその場合はもう今から葉酸を摂取したところで、先天異常の防止にはなりません。

お腹の中で、すでに赤ちゃんの神経管は完成しているからです。

人によっては、初期に摂取できなかったために、中期以降葉酸を初期の分もまとめて摂取している、という人もいるかもしれません。しかし妊娠3ヶ月目以降に葉酸を1日900~1000µg以上摂取した場合、今度は小児ぜんそくのリスクを高めてしまうという研究データも存在します。

飲み過ぎはかえって害となるでしょう。初期に飲んでいなかった場合は、残念ながら諦めるしかないということになります。

もっとも葉酸はあくまでリスクを下げるだけであり、神経管閉鎖障害を持って生まれる赤ちゃんも、1万人に6人ほどだと言われています。「葉酸を飲んでいなかった、どうしよう」と不安やストレスをためこんでしまうと、それもまた妊婦にとって悪影響になるでしょう。

葉酸は、ある程度は普段の食事から自然に摂取しているはずの栄養素です。あまり悲観的にならず、代わりにこれから先、赤ちゃんのためにできることをしていくのが大切となります。

葉酸を含めてまんべんなく栄養を摂取していきましょう

妊娠3ヶ月目を過ぎると、初期に比べれば葉酸の必要量は減ります。しかし葉酸は赤ちゃんに栄養を分け与えて育てる妊婦にとっては、やはり大切な栄養素の1つです。

葉酸だけを意識するのではなく、また初期を過ぎたからどうでもいいと無関心になるのでもなく、各種の栄養をまんべんなく毎日摂取できるようにしていきましょう。

妊娠初期を過ぎると食欲が増してくることも多くなるでしょう。食生活にも気を使うことが増えるはずですが、いくら食欲が増えるといっても妊婦に必要な栄養をすべて食事だけで賄うのは難しいものです。

妊婦用のサプリメントなどを活用し、葉酸はもちろん、他のビタミン類やカルシウムなど、過不足ないように補っていくとよいでしょう。またサプリメントの使用や、葉酸の摂取などに不安を感じる場合は、医師に直接相談し、不安を解消したりアドバイスをもらったりすることも大切です。

今、自分にできることをできるだけしておき、後になって慌てないための準備をしっかりしていきましょう。

(まとめ)妊婦が葉酸を飲んでないとどうなるの?

1.葉酸を飲んでない妊婦は胎児にリスクが出ることがあります

葉酸は赤ちゃんの先天異常を防ぐために必要とされる栄養素です。間に合わないこともありますが、間に合うなら今すぐ葉酸を飲み始めるべきでしょう。

ただし先天異常自体は確率も低いため、それほど慌てる必要はありません。

2.妊娠初期の場合は、今からすぐ葉酸を摂取していきましょう

葉酸が一番必要な時期は妊娠初期です。妊娠3ヶ月までの、赤ちゃんの神経管が形成される時期に葉酸を摂取することで、細胞分裂を助け、神経管閉鎖障害のリスクを抑えてくれると言われています。

妊娠3ヶ月以内であれば、今すぐサプリメントで摂取しましょう。

3.時期によっては葉酸の積極的な摂取をしても意味がありません

妊娠3ヶ月を超えてから、葉酸で赤ちゃんの神経管閉鎖障害を防止することはできません。中には摂取できなかった分もまとめ飲みしてしまう人などもいるかもしれませんが、過剰摂取はかえって毒となります。

これからできることに目を向けていきましょう。

4.葉酸を含めてまんべんなく栄養を摂取していきましょう

妊娠3ヶ月以降は初期に比べると葉酸の必要量が減ります。しかし栄養素を赤ちゃんに送らねばならない以上、葉酸を含む各種の栄養素についても過不足ない摂取が望まれるでしょう。

不安がある場合は医師に相談しつつ、できることをしましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師