おりものは妊娠においても大切な役割を果たします。
また、おりものの状態は生理周期で変化するため、おりものをチェックすることで妊活のタイミングを図るのに役立つでしょう。
この記事では、排卵期のおりものの変化や役割、卵子との関係について解説します。
目次
「おりもの」の役目とは?
おりものには、実はさまざまな役目があります。
おりものの正体は膣内や子宮から出る分泌物です。膣や子宮に菌が侵入しないように防ぐ役割があり、膣内が潤うことで膣内環境が整います。また膣や子宮の古くなった細胞を、老廃物として押し流す自浄作用もあります。
普段はわずらわしく感じるおりものですが、実は膣や子宮といった妊娠に関わる器官を清潔に保つ役目を果たしているのです。
おりもので排卵のタイミングがわかる?
おりものは、女性ホルモンの影響を受けて排卵日の前後で状態が大きく変わります。つまりおりものの状態が排卵タイミングの目安となります。生理周期が安定しない人であっても排卵日の見当がつきやすいため、基礎体温とともにグラフに記入しておくと役立つでしょう。
おりものは生理開始後3日まではほとんど出ませんが、生理が終わり、排卵期が近づくにつれて徐々に量や粘度を増していきます。サラサラだったものがとろみを帯びて、色も透明から半透明くらいに変わっていきます。つまむと長く伸びるようになったら、卵子が成熟して排卵期が来たサインです。
排卵日前は、精子がスムーズに子宮まで行き着くことができるよう、頚管粘液とも呼ばれるおりものを多く分泌するようになります。この頚管粘液は排卵前にしか分泌されません。その影響で、普段のおりものはとくに粘り気を帯び、ゼリー状になります。
このように、おりものの状態をチェックすることで、排卵日の大体の予測が可能です。特に生理不順の方は、おりものをチェックして排卵日に目星をつけることで、妊活がしやすくなるでしょう。
おりものの状態からみる排卵・月経周期
ここからは、タイミング別で変わるおりものの状態をそれぞれ解説します。
排卵日直前:ゼリー状ののびるおりもの
排卵日直前は、粘度のあるゼリー状になるのが特徴です。卵の白身のような透明な色に変化し、長くのびるようになります。
このおりものの状態のときが、夫婦生活をとるベストなタイミングです。精子と卵子の寿命の関係から、排卵日が来てからではなく排卵日3日前~当日にかけて性交することで、より妊娠確率を高められるでしょう。
排卵後:白いどろっとしたおりもの
排卵期を過ぎると量が少なくなり、色は白く濁ってどろっとしていることが多くなります。妊娠していなければ、おりものの量は生理開始日まで徐々に減っていくのが一般的です。
生理(月経)後:さらりとした少量のおりもの
生理3日目くらいまでは、おりものはほとんど出ません。それ以降は少量でさらりとしたおりものとなります。生理が終わり、排卵期が近づくと再びおりものの量と粘度が増えていきます。
「グミ状のおりものの塊」が出るのはなぜ?
グミのような白い塊のおりものが出る場合があります。このようなおりものは、状態や時期によって考えられる原因が異なります。
よく考えられるのは時期的な要因です。排卵期や生理前、妊娠時に、このようなおりものが出る可能性があります。この時期は白く濁ってどろっとしたおりもので、下着についたものが長時間経つと、白いグミのような塊に見えることもあります。また妊娠時は菌の侵入を阻害するために、おりものに粘度が増します。個人差がありますが、どろっとした白い塊として出ることもあります。
いずれも痛みやかゆみなどの症状がないのであれば、正常の範囲内として大きな心配は不要です。
次に考えられるのは、感染症などが原因で生じる場合です。
特に粒のようなポロポロの白い塊があり、陰部のかゆみを感じている場合は、カンジタ膣炎を発症している可能性があります。よくカッテージチーズや酒粕のようなポロポロの状態、ヨーグルトのようなクリームの状態などと例えられます。
これにかゆみがともなう場合は、何らかの病気の可能性が考えられるため、早めにクリニックを受診しましょう。
妊娠によっておりものの状態は変化する?
妊娠すると女性ホルモンがより多く分泌され、おりものの量が増加します。これにより膣や子宮への菌の侵入を妨げられます。
また、妊娠初期の段階では着床出血による血液が混じり、ピンクや茶色のおりものになるケースもあるといいます。粘度も増して、どろっとした白い塊が出ることもあります。
しかし個人差も多く、おりものだけでは妊娠の判断は困難です。生理が遅れている、微熱が続く、下腹部痛があるなどの症状を確認したうえで、クリニックで妊娠を判定してもらいましょう。
こんなおりものには注意!おりものでわかる体調チェック
排卵日前後にゼリー状になるおりものですが、なかには排卵日でないのにゼリー状になってしまう場合があります。またおりものが赤褐色や黄緑色など、普段見ない色に変化したり、異臭がしたりするケースもあります。
おりものの変化は、何らかの病気のサインかもしれません。
以下の表に、おりものの状態別に考えられる主な疾患をまとめました。該当する場合は、早めに婦人科のクリニックに相談してみましょう。
おりものの状態 | 考えられる疾患 | 症状 | 原因 |
---|---|---|---|
ポロポロした白いおりもの | カンジタ膣炎 | かゆみ・痛み・排尿痛・熱感 | 主に免疫力の低下(ストレスや疲労) |
大量の水っぽいおりもの | クラミジア感染症 | おりもの増加・下腹部痛・発熱 | 主に性交渉による感染 |
生臭い灰色・白のおりもの | 細菌性膣症 | おりもの増加・かゆみ・炎症 | 主に免疫力の低下(ストレスや疲労) |
黄色く泡立つおりもの | 膣トリコモナス症 | 激しいかゆみ・排尿痛・痛み | 主に性交渉による感染 |
赤・茶・ピンクのおりもの | 子宮頸がん・子宮体がん | 下腹部痛・性交痛・不正出血 | 主に性交渉によるHPV感染 |
黄・緑の悪臭がするおりもの | 淋病性感染症 | おりもの増加・腫れ・かゆみ・下腹部痛・性交痛・不正出血 | 粘膜接触による感染 |
不妊症とおりものの関係については、こちらの記事で解説しています。
>「おりもの変化が不妊症の原因になるって本当?」を読む
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おりものは、膣内を清潔に保つ自浄作用や妊娠しやすくするための役目があります。生理周期によって状態が変化し、排卵時期を予測できる目安としても活躍します。さらに、思いもよらない疾患のサインとしても役立つため、特に妊活中や不妊治療中は、おりものの状態もチェックしておくとよいでしょう。
六本木レディースクリニックでは、人には話しにくい不妊治療のお悩みや疑問について、親身にお応えしています。患者さまのお話を伺ったうえで、一人ひとりの不妊原因や身体の状態に合ったオーダーメイド治療をご提案しています。不妊治療を検討中の方は、お気軽に当院にご相談ください。