胚移植後、判定日前に痛みや出血があると「生理がきてしまった」と不安や落胆を感じる方も多いかもしれません。しかし、この時期の出血や下腹部の違和感は生理以外の要因も考えられます。
この記事では、胚移植後の生理がくるタイミングや、妊娠判定前の出血の可能性について詳しく解説します。

胚移植後、判定日前に生理が始まることは?

判定日前に生理が始まることは、まれにあるといわれています。胚移植後はホルモン補充をしているため、基本的に生理は起こりにくい状態ですが、何らかの理由で判定日前に生理が始まる可能性はあります。
また、後述するように生理以外の要因で出血することもあります。

妊娠判定で陰性の場合、いつ生理がくる?

妊娠判定は、胚移植から約10日後に血液検査でおこなわれます。妊娠判定で陰性の場合はホルモン補充を中止し、その後2〜3日程度で生理がくるのが一般的です。
ただし、体外受精後は生理がきにくい人もいるため、5週間経ってもこない場合は担当医に相談しましょう。

胚移植後の痛みや出血、これって生理?

胚移植後には、生理に似た痛みや出血が生じることがあります。
しかし、すべての出血が必ずしも生理であるとは限りません。ここでは、生理以外の要因として考えられる胚移植後の出血や痛みについて解説します。

胚移植後の出血

胚移植後に出血する要因として、胚移植の処置による出血と着床出血の2つが考えられます。

胚移植の処置による出血は、移植の際の腟内洗浄やカテーテル挿入により腟内が傷つき、少量の出血が生じている状態です。胚移植後、2〜3日程度続きますが、ごく少量であるため大きな心配はいりません。

着床出血は、受精卵(胚)が子宮内膜に着床するときに生じる出血のことです。着床のタイミングは、生理開始予定日と重なりやすいことから、生理と勘違いされやすいといえます。しかし、着床出血は生理と比べて量が少なく、出血の期間も1〜2日程度です。
なお、着床出血を経験する人は、全体の25%程度といわれており、着床出血がない方がほとんどとされています。

着床出血については「着床出血とは?生理との違いや見分け方、起きる時期を解説」でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。

胚移植後の下腹部痛

胚移植後は、下腹部にチクチクとした軽度の痛みや腰の痛みを感じる場合があります。原因は明らかになっていませんが、子宮の収縮によるものや、着床する際に起こる着床痛が要因として挙げられます。いずれも一時的な痛みのため、多くの場合は問題ありません。
ただし、痛みが長期に及ぶ場合や痛みが強い場合は、主治医に相談しましょう。

胚移植後はどんな症状が出る?過ごし方の注意点は?

胚移植後は、次のような症状・体調変化が生じる場合があります。

  • 倦怠感・頭痛
  • 腰痛
  • 出血・おりもの
  • 吐き気・つわり

これらは妊娠初期症状として現れやすい症状ですが、誰しもに必ず起こるわけではなく、個人差があります。「症状がない=妊娠していない」と自己判断せず、最終的な判断は医療機関での妊娠判定に委ねましょう。

また、胚移植後は基本的に大きな行動の制限はありませんが、主治医からの指導や注意点などに従う必要があります。
移植後の過ごし方や症状については「体外受精の胚移植後の過ごし方は?症状や体調の変化についても解説」で詳しく解説しています。

もしも胚移植後の判定日前に生理がきたら?

判定日前に生理や出血があっても自己判断せず、基本的に判定日まではホルモン補充の服用を続けます。判定日にはクリニックを受診し、妊娠判定を受けましょう。

「生理が来てしまった」「妊娠していなかった」と思っても、実際は移植の処置による出血、または着床出血である可能性があるからです。ホルモン補充を中止すると流産リスクを高める可能性もあるため、必ず主治医の判断に従うようにしましょう。

体外受精と生理の関係は?

体外受精では、内服薬や貼り薬、腟座薬などを用いたホルモン補充が必要になります。採卵前の卵巣刺激により、黄体ホルモンの機能が低下しやすくなるためです。
胚移植後、ホルモン補充をおこなっている間は基本的に生理がきにくい状態となります。黄体ホルモンを補充することで、着床率を上げる効果が期待できます。

一方でホルモン補充によって、生理周期の乱れや出血量の増加が起こる可能性もあるため、事前に把握しておきましょう。

体外受精の流れと生理周期

体外受精は、生理周期に合わせて大まかに以下の流れで進みます。

  • 生理周期1〜3日目:卵巣の確認
  • 生理周期8〜11日目:卵胞の確認
  • 生理周期10〜14日目:採卵
  • 採卵後2〜5日目:胚の移植(新鮮胚移植の場合)
  • 胚移植後10日前後:妊娠判定

胚移植後は、着床率を高めるためのホルモン補充をおこない、胚移植から10日前後で妊娠判定となります。結果が陽性の場合は黄体ホルモンをそのまま続け、陰性の場合は服用を止め、2~3日で生理がきます。
陰性だった場合は、医師と相談しながら再び次の周期での採卵や胚移植を検討します。

黄体ホルモンと生理の関係

ホルモン補充は子宮内膜を厚くし、着床環境を整える役割があります。特に凍結融解胚移植の場合は、ホルモン補充で移植日を調整しながらおこなうのが主流とされています。

一方で、ホルモン補充により生理の周期が乱れたり、生理の出血量が増えたりすることもあります。これはホルモン値が高くなり、子宮内膜が厚くなるためだと考えられます。周期が乱れたり、出血量が増えたりすることで不安に感じる方もいるかもしれませんが、多くの場合は問題ありません。

体外受精と生理に関しては、こちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精は生理に影響する?」を読む

不妊治療についてお悩みの方は六本木レディースクリニックへ

胚移植後、ホルモン補充をおこなっている間は、生理が来にくい状態になります。通常、妊娠判定で陰性が確認された後、ホルモン補充を中止すると2〜3日後に生理が始まるのが一般的です。

まれに、妊娠判定前に生理が始まる方もいます。しかし生理以外の可能性も考えられるため、「生理が来てしまった」と自己判断せず、ホルモン補充の内服は継続し、判定日に医療機関を受診するようにしましょう。

また、胚移植を受けてもなかなか妊娠に至らない場合は、他院への転院を検討するのもひとつの選択肢です。不妊治療についてお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

ドクターのご紹介

経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
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院長 小松保則医師