受精卵が着床しやすいよう葉酸がサポートすると言われています


精子と卵子が出会って受精卵となった後も、無事子宮内で着床しなければ妊娠には至りません。排卵期が近づくと子宮内膜が厚くなり、受精卵が着床しやすい環境が整っていきます。

葉酸はこの働きをサポートしてくれると言われている栄養素です。葉酸が直接着床を助けたり、また劇的な効果を持っていたりするわけではありません。

しかし妊娠しやすい体を作る一環として、葉酸の摂取は効果的といえます。

葉酸が子宮内膜の細胞分裂を助けます

もともと、葉酸の働きの1つに、細胞分裂を助けるというものがあります。葉酸は細胞一つひとつが持っている遺伝子情報に関与していて、細胞分裂をする際に、遺伝子情報を正しく合成するのです。

葉酸があることによって、細胞分裂は滞りなくスムーズに、かつ正常に行われるようになります。

そんな葉酸は、子宮内膜の形成にももちろん関わっている栄養素です。排卵期が近づくにつれて、その準備として受精卵を受け入れるべく子宮内膜が徐々に厚くなっていきます。

子宮内膜はいわばベッドのような存在です。豪華な方が寝心地がよく、つまり着床しやすくなると考えてよいでしょう。

葉酸があることで細胞分裂がスムーズになり、しっかりとしたベッドが作られやすくなります。ただしこれはあくまでサポート的な作用であるため、葉酸が直接子宮内膜を厚くしたり、受精卵に作用して着床率を上げたり、といった働きをするわけではないことに注意しましょう。

葉酸の働きが結果的に着床しやすい環境を作り上げるだけであるため、葉酸を飲めば絶対安心というわけではありません。

葉酸は妊娠初期には必要不可欠な栄養素です


葉酸が着床率に関わる栄養素であるから葉酸を摂ろう、という人もいれば、着床率に直接関わらないなら興味がない、という人もいるかもしれません。しかしそもそも着床率に関係なく、葉酸は妊娠を希望している場合はとくに積極的に摂取していきたい栄養素となっています。

葉酸は妊娠4~5週頃起こると言われる、赤ちゃんの神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを下げてくれることで有名です。一方で妊娠4~5週頃といえばまだ妊娠に気がつかず、生理が遅れているだけだと考えてしまう人も多くいます。

この時期に十分な葉酸が体に回っていないと、当然赤ちゃんの先天異常を防止することができません。そこでそもそも妊娠を希望した時点で、将来の妊娠に備えて葉酸を摂取することが推奨されているのです。

着床しやすい体にしたいと考えている場合も、またそれだけのために葉酸のサプリメントなどを不用意に摂取したくないと考えている場合も、いずれにしろ妊娠前から葉酸は必須です。逆に言えば、先天異常の防止のために葉酸を摂取していれば、自然と着床についても葉酸のサポートが得られているはずだということになります。

ひとまず葉酸を十分に摂取するよう心がけましょう。

着床しやすいようにサポートする栄養素はほかにもあります

前述したように、葉酸はあくまで着床しやすい環境を整えることを、さらにサポートするような栄養素です。このような役割を果たす栄養素は、葉酸以外にもたくさんあります。

たとえばビタミンAは子宮環境を整えると言われています。さらに子宮内膜症で不妊となっている人にも効果的であるという意見もあります。

ビタミンAは過剰摂取が赤ちゃんに悪影響があるとして敬遠されがちな栄養素ですが、適量の摂取は重要です。

またビタミンDが不足していると着床障害が起きやすくなるとする報告もあります。ビタミンDは日本人の9割が不足しているというデータもあるため、積極的に摂取したい栄養素となっています。

さらにビタミンB12も女性ホルモンの分泌に関わり、着床のサポートをしてくれる栄養素です。ビタミンB12は葉酸との相性もよいため、あわせて摂取していくことでより効果的に働くことができるとされています。

このようにさまざまな栄養素の効果が少しずつ重なって着床に影響しています。葉酸だけにこだわらず、あらゆる栄養素をまんべんなく摂取していきましょう。

(まとめ)葉酸を摂取すると着床しやすいって本当?

1.受精卵が着床しやすいよう葉酸がサポートすると言われています

葉酸は受精卵が着床する先である子宮内膜が分厚くなるのを助けてくれると言われています。直接葉酸が着床に関わるわけではありませんが、妊娠確率を上げるのに役立つでしょう。

2.葉酸が子宮内膜の細胞分裂を助けます

葉酸は細胞分裂に関わる栄養素です。受精卵のベッドともいえる子宮内膜は、細胞分裂を繰り返して厚くなっていきます。

そのため葉酸が十分にあることで、ベッドも整いやすくなるのです。

3.葉酸は妊娠初期には必要不可欠な栄養素です

着床に関わらず、葉酸はもともと妊娠初期の先天異常を防止するために必要と言われている栄養素です。そのため先天異常を防止する目的で妊娠前から葉酸を摂取していれば、自然と着床についてもサポートが得られます。

4.着床しやすいようにサポートする栄養素はほかにもあります

葉酸以外にも、ビタミンA・ビタミンD・ビタミンB12などもまた子宮内膜を厚く、着床しやすく形成する上で欠かせない栄養素となっています。着床しやすい環境を作るなら、葉酸以外の栄養素もまんべんなく摂取しましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師