体外受精の胚移植後、妊娠判定まで期待と不安を抱える方は少なくありません。事前に着床したことがわかる方法や、着床のサインはないのでしょうか。この記事では着床後のよくある症状やサイン、体外受精の妊娠判定について解説します。
目次
そもそも「着床」とは?妊娠までのプロセス

着床とは、子宮に到達した受精卵が子宮内膜に根を張り、胎盤を作る過程のことです。着床することで妊娠が始まります。妊娠に至るまでのプロセスは、次のとおりです。
- 排卵:成熟した卵子が卵巣から飛び出し、卵管に取り込まれる
- 受精:卵管内で卵子と精子が融合し、受精卵(胚)となる
- 受精卵の移動:卵管を通過して受精卵が子宮まで到達する
- 着床:受精卵が子宮内膜に根を張り妊娠成立となる
体外受精でも自然妊娠でも、着床に至る基本的なメカニズムは同様です。体外受精では、受精から胚の発育までを体外でサポートし、胚を子宮へ移植します。胚盤胞移植の場合は、移植後1〜2日で着床が始まるといわれています。自然妊娠では、受精後およそ12日で着床するとされています。
体外受精での着床・妊娠判定までの期間

体外受精では、準備(検査・卵巣刺激)→採卵→媒精(受精)→胚移植→ホルモン補充→妊娠判定の流れとなります。
胚移植には主に、受精後2〜3日目の胚を移植する「初期胚移植」と、受精後5日目以降の胚を移植する「胚盤胞移植」があります。着床までの目安の日数は、移植する胚の状態によって以下のように異なります。
- 初期胚:移植後3〜5日で着床
- 胚盤胞:移植後1〜2日後に着床
初期胚は4〜8分割した胚であり、胚盤胞はさらに分割が進んで成熟した胚です。一般的には、胚盤胞の方が着床率は高い傾向にあります。
胚移植後はホルモン補充をし、移植から10日前後で妊娠判定をおこないます。
体外受精について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
> 「体外受精(IVF)とは」を読む
体外受精のスケジュールについてはこちらで解説しています。
> 「体外受精のスケジュールは?流れをわかりやすく解説」を読む
着床したかわかる方法
胚移植後や次の月経予定日前は「着床しているのか」とそわそわする時期。
着床そのものは体内のごく小さな変化のため、その瞬間を直接知ることは難しいですが、身体のサインや変化が着床の有無の判断材料になることがあります。
着床出血のサイン
着床したサインとしてよく知られているのが「着床出血」です。着床時、受精卵が子宮内膜にもぐり込む過程で少量の出血が見られる場合があります。色はピンク〜茶色、量はごく少量で1〜2日程度とされます。
ただし、着床出血は必ず起こるわけではなく「出血=着床」とは断定できないため注意が必要です。
着床出血についてはこちらの記事でも解説しています。
> 「着床出血とは?生理との違いや見分け方、起きる時期を解説」を読む
基礎体温の変化
高温期が2週間以上続いている場合、着床している可能性が高まります。通常は、低温期と高温期に分かれて基礎体温が推移します。しかし、基礎体温の低下が見られず、熱っぽさやだるさが出た場合、妊娠によって女性ホルモンが増加した影響で高温期が続くことになります。
身体のリズムや体調を把握する意味でも普段から基礎体温を付けておくと、着床を察知する目安になります。
市販の妊娠検査薬
自宅でおこなえる妊娠検査薬でも、着床したかどうかのチェックが可能です。妊娠検査薬を使うタイミングは、月経予定日からおおよそ1週間後が目安となります。これは妊娠4週目から分泌される妊娠ホルモン(hCG)を検出するためです。
しかし適切なタイミングで検査を実施しないと、陽性反応がみられない場合があるため注意が必要です。これより早く検査を実施すると反応がみられなかったり、正確な結果が出なかったりします。また、尿の濃度・量によって誤差が生じやすいことも留意点です。
最終的な妊娠判定は必ず医療機関でおこなってください。
医療機関での妊娠判定
最も正確に着床を確認できるのは、医療機関での血液検査(血中hCG測定)です。血中の妊娠ホルモンと呼ばれるhCGホルモン分泌の有無を確認し、妊娠しているかどうかを検査します。体外受精の場合は、胚移植後の10日前後に実施します。
市販の検査薬で確認した場合でも陰性・陽性の結果にかかわらず、医療機関の妊娠判定が必須となります。自然妊娠の場合も同様です。
着床するとどんな症状・サインが出る?
受精卵(胚)が無事に着床すると、身体は妊娠へとさまざまな変化を起こし始めます。風邪に似た症状も多く、勘違いしてしまう方も少なくありません。風邪薬や鎮痛剤は、自己判断で服用しない方がよいでしょう。
着床後の症状・サインは個人差があり、ほとんどの方は自覚症状がないといわれています。症状やサインがなかったとしてもあまり考えすぎず、妊娠判定までリラックスして過ごすことが大切です。
ここでは、着床後によく見られる主な症状やサインを紹介します。
不正出血・着床出血
胚移植後のわずかな出血は、着床出血である場合があります。色は薄いピンク~茶色で、1~2日程度が目安です。ただし移植時の処置に由来する出血や、月経前の出血である場合もあります。
下腹部のチクチクとした痛みや鈍痛
移植後や受精後の時期に、下腹部がチクチクする・軽い鈍痛を感じることがあります。子宮の収縮やホルモン変化の影響が考えられます。強い痛みや出血をともなう場合は早めに医療機関を受診しましょう。
胸の張りや痛み
妊娠にともなって乳腺が徐々に発達する影響で、胸が張る・痛むといった変化が出ることがあります。着床後1〜2週間目くらいから症状が出やすいとされています。
おりものの変化
通常は排卵後に分泌が減りますが、妊娠すると分泌量の変化が続き、白っぽくサラサラした状態になったり、または少し粘度が上がったりすることがあります。血が混じる薄茶色のおりものは着床出血に由来することも。
つわり(倦怠感・頭痛・腰痛)
妊娠超初期には、風邪に似た倦怠感、頭痛、腰の重だるさ、吐き気などが出ることがあります。ただし、症状の出方や強さは人それぞれで、まったく自覚しない人もいます。
着床前後に注意すべきことは?
着床前や着床直後では、いくつか注意点があります。
受精卵を移植したあとの性交渉は控えた方がよいといわれています。子宮収縮の原因となり、着床率を低下させる可能性があるからです。
また移植後は、身体に負担となる激しい運動は避けましょう。
着床直後は、風邪のような症状が出たり不正出血が起こることもあります。
自己判断による薬の服用は避け、出血が続いたり量が多かったりした場合は、医療機関を受診するようにしてください。
体外受精での着床前や着床直後では、不安やストレスを感じやすくなる方も。なるべくリフレッシュできる時間を設け、普段どおり過ごせるよう心がけましょう。
胚移植後の過ごし方についてはこちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精の胚移植後の症状と過ごし方は?注意点や体調の変化についても解説」を読む
体外受精で着床しないのはなぜ?
体外受精で胚を複数回移植しても着床せず、妊娠に至らないことを「着床障害」といいます。
着床障害の原因としては、子宮に原因がある場合と血液や免疫系に原因がある場合とが考えられます。
また子宮内膜ポリープや子宮筋腫などによる物理的な障害や、受精卵を受け入れるタイミング(着床の窓)のズレなどが原因として挙げられます。他にも免疫系の異常で受精卵に拒否反応を示すケースがあることで、着床障害となることがあります。
着床障害についてはこちらの記事でも解説しています。
> 「着床障害とは?着床しにくい人の特徴や原因・検査について解説」を読む
なかなか着床しない場合は、より詳細な検査をしたり別の治療にステップアップしたりして、ご自身に合った治療法を選択することが重要です。
不妊治療のステップアップについてはこちらの記事でも解説しています。
> 「不妊治療には段階がある?各ステップの治療とステップアップのタイミングを解説」を読む
体外受精の着床・妊娠判定に関するよくある質問
着床後に不正出血が…流産の可能性がありますか?
着床後の症状のひとつとして、性器からの不正出血が起こることもよくあります。移植後しばらくしてから出血する場合は、着床出血である可能性もあります。
「出血=流産」とはなりませんが、出血の量が多い場合や1週間以上続くようなときは、医療機関を受診することをおすすめします。
体調に変化がありません、着床していないということですか?
着床後の体調変化の感じ方は個人差があり、体調変化がなくても着床している場合はあります。自覚症状を感じない方も少なくないため、考えすぎずに妊娠判定まで普段どおり過ごすことを心がけましょう。
胚移植後、体調が悪いのですが市販の薬を飲んでもいいですか?
胚移植後の体調不良は、着床後のサインとも考えられるため、風邪薬や鎮痛剤の服用は控えましょう。妊娠初期は安定するまで大切な時期であるため、安易に自己判断せず、担当医にまずは相談してください。
通常の着床と体外受精の着床に何か違いはありますか?
妊活による通常の着床と、体外受精による着床の過程や仕組みに違いはありません。受精するプロセスに違いはありますが、着床に至るまでは、自然妊娠と同様の過程を経て着床し、妊娠に至ります。
不妊治療や体外受精なら六本木レディースクリニックへ
着床したかどうかは、着床出血の有無・基礎体温・妊娠検査薬である程度の確認ができます。しかし最も正確なのは、医療機関での妊娠判定です。
妊娠判定前に着床したかどうか気になる方は多いかもしれません。とはいえ、考えすぎてもストレスとなってしまうため、妊娠判定までなるべくリラックスして過ごすことが望ましいでしょう。
不妊治療において、なかなか着床しないなどのお悩みは少なくありません。治療は長期に及ぶため、心配やストレスを抱えがちになります。
六本木レディースクリニックは、不妊治療・体外受精の専門クリニックです。着床障害の原因を特定する精密な検査や、着床時期を確認する検査なども取り扱っています。セカンドオピニオンも可能ですので、不妊治療にお悩みの方はお気軽に当院にご相談ください。

