体外受精の胚移植後、妊娠判定まで期待と不安を抱える方は少なくありません。事前に着床したことがわかる方法や、着床のサインはないのでしょうか。この記事では着床後のよくある症状やサイン、体外受精の妊娠判定について解説します。
そもそも「着床」とは?
着床とは、子宮に到達した受精卵が子宮内膜に根を張り、胎盤を作る過程のことです。着床することで妊娠が始まります。着床に至るまでのプロセスは、次のとおりです。
- 受精:卵管内で卵子と精子が融合し、受精卵となる
- 子宮へ移動:卵管を通過して受精卵が子宮まで到達する
- 着床:受精卵が子宮内膜に根を張り妊娠成立となる
着床するとどんな症状・サインが出る?
受精卵が無事に着床すると、身体は妊娠へとさまざまな変化を起こし始めます。着床した症状・サインとして、次のようなものがあります。
- 下腹部のチクチクとした痛み
- 生理痛のような鈍痛
- 胸の張りや痛み
- 茶色やピンクのおりもの
- 不正出血
- 熱っぽい倦怠感
- 頭痛・腰痛
- 吐き気(つわり)
上記のような風邪に似た症状も多く、勘違いしてしまう方も少なくありません。風邪薬や鎮痛剤は、自己判断で服用しない方がよいでしょう。
着床後の症状・サインは個人差があり、ほとんどの方は自覚症状がないといわれています。症状やサインがなかったとしてもあまり考えすぎず、妊娠判定までリラックスして過ごすとよいでしょう。
着床後の症状についてはこちらの記事でも解説しています。
> 「受精・着床後の症状は?妊娠超初期症状についても解説」を読む
妊娠検査薬で着床したかわかる?
自宅でおこなえる妊娠検査薬でも、着床したかどうかのチェックが可能です。しかし適切なタイミングで検査を実施しないと、陽性反応がみられない場合があるため注意が必要です。
妊娠検査薬を使うタイミングは、月経予定日からおおよそ1週間後が目安となります。これは妊娠4週目から分泌される妊娠ホルモン(hCG)を検出するためです。
これより早く検査を実施すると反応がみられなかったり、正確な結果が出なかったりするため、適切なタイミングでおこないましょう。
また、最終的な妊娠判定は必ず医療機関でおこなってください。
体外受精の場合、着床したかわかる方法は?
ここでは体外受精の場合の流れや検査内容、注意点をご紹介します。
体外受精で着床するまでの流れ
体外受精では、卵巣刺激→採卵→媒精(受精)→胚移植→ホルモン補充のプロセスを経て着床する流れとなります。
受精卵は主に、初期胚(受精後2〜3日目)と胚盤胞(受精後5日目以降)があります。着床までの目安の日数は、受精卵の状態によって以下のように異なります。
- 初期胚:移植後3〜5日で着床
- 胚盤胞:移植後1〜2日後に着床
初期胚は4〜8分割した胚であり、胚盤胞はさらに分割が進んで成熟した胚です。一般的には、胚盤胞の方が着床率は高い傾向にあります。
体外受精について詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
> 「体外受精(IVF)とは」を読む
体外受精の妊娠判定
胚移植のあと、着床を継続するのに必要なホルモン補充をおこない、移植してから約10日後に妊娠判定を実施します。
妊娠判定は、血液検査でおこないます。血中の妊娠ホルモンと呼ばれるhCGホルモン分泌の有無を確認し、妊娠しているかどうかを検査します。
市販の検査薬で検査した場合でも、医療機関の妊娠判定が必須です。
着床前後に注意すべきことは?
着床前や着床直後では、いくつか注意点があります。
受精卵を移植したあとの性交渉は控えた方がよいといわれています。子宮収縮の原因となり、着床率を低下させる可能性があるからです。
また移植後は、身体に負担となる激しい運動は避けましょう。
着床直後は、風邪のような症状が出たり不正出血が起こることもあります。
自己判断による薬の服用は避け、出血が続いたり量が多かったりした場合は、医療機関を受診するようにしてください。
体外受精での着床前や着床直後では、不安やストレスを感じやすくなる方も。なるべくリフレッシュできる時間を設け、普段どおり過ごせるよう心がけましょう。
体外受精で着床しないのはなぜ?
体外受精で胚を複数回移植しても着床せず、妊娠に至らないことを「着床障害」といいます。
着床障害の原因としては、子宮に原因がある場合と血液や免疫系に原因がある場合とが考えられます。
また子宮内膜ポリープや子宮筋腫などによる物理的な障害や、受精卵を受け入れるタイミング(着床の窓)のズレなどが原因として挙げられます。他にも免疫系の異常で受精卵に拒否反応を示すケースがあることで、着床障害となることがあります。
なかなか着床しない場合は、より詳細な検査をしたり別の治療にステップアップしたりして、ご自身に合った治療法を選択することが重要です。
不妊治療のステップアップの詳細は下記の記事でも解説しています。
> 「不妊治療には段階がある?各ステップの治療とステップアップのタイミングを解説」を読む
体外受精の着床・妊娠判定に関するよくある質問
Q. 着床後に不正出血が…流産の可能性がありますか?
着床後の症状のひとつとして、性器からの不正出血が起こることもよくあります。移植後しばらくしてから出血する場合は、着床出血である可能性もあります。
「出血=流産」とはなりませんが、出血の量が多い場合や1週間以上続くようなときは、医療機関を受診することをおすすめします。
Q. 体調に変化がありません、着床していないということですか?
着床後の体調変化の感じ方は個人差があり、体調変化がなくても着床している場合はあります。自覚症状を感じない方も少なくないため、考えすぎずに妊娠判定まで普段どおり過ごすことを心がけましょう。
Q. 胚移植後、体調が悪いのですが市販の薬を飲んでもいいですか?
胚移植後の体調不良は、着床後のサインとも考えられるため、風邪薬や鎮痛剤の服用は控えましょう。妊娠初期は安定するまで大切な時期であるため、安易に自己判断せず、担当医にまずは相談してください。
Q. 通常の着床と体外受精の着床に何か違いはありますか?
妊活による通常の着床と、体外受精による着床の過程や仕組みに違いはありません。受精するプロセスに違いはありますが、着床に至るまでは、自然妊娠と同様の過程を経て着床し、妊娠に至ります。
不妊治療や体外受精なら六本木レディースクリニックへ
着床したかどうかは、移植してから約10日後に血液検査または尿検査でわかります。
もっと事前に知りたいと思う方も多いかもしれません。しかし正確な判定のためには、適切なタイミングで検査することが重要です。考えすぎてもストレスとなってしまうため、妊娠判定までなるべくリラックスして過ごすことを心がけましょう。
不妊治療において、なかなか着床しないなどのお悩みは少なくありません。治療は長期に及ぶため、心配やストレスを抱えがちになります。
六本木レディースクリニックは、不妊治療・体外受精の専門クリニックです。着床障害の原因を特定する精密な検査や、着床時期を確認する検査なども取り扱っています。セカンドオピニオンも可能ですので、不妊治療にお悩みの方はお気軽に当院にご相談ください。