妊娠超初期症状とは?受精・着床後の症状について解説MV
妊活や不妊治療中に出血や痛み、体調の変化を感じたら、着床後の症状である可能性があります。
妊娠超初期とよばれる段階では、身体にさまざまな変化を感じることがあり、期待や不安を抱く方も多いかと思います。この記事では、妊娠超初期に起こる受精・着床後のよくある症状、妊娠の可能性がある場合に心がけたい過ごし方についてご紹介します。

目次

妊娠するまでの流れ

妊娠までのプロセスは、射精→排卵→受精→受精卵(胚)の成長→着床が一般的な流れです。なかでも「受精」と「着床」は妊娠に必要不可欠なプロセスとなります。まずはそれぞれの仕組みについて解説します。

受精とは?

射精によって精子が膣内に入り、子宮と卵管を通って卵子と出会います。ひとつの精子が卵管のなかで卵子と融合し、受精卵(胚)となるのが受精です。その後、受精卵(胚)が細胞分裂を繰り返し、成長していきます。

着床とは?

受精卵(胚)がゆっくり子宮へ移動し、子宮内膜に潜り込み、根を張ります。これが着床です。着床後に受精卵(胚)が順調に成長することで、およそ10日後に妊娠判定が可能です。

受精や着床など、すべてのタイミングや条件がそろってはじめて妊娠成立となります。

着床後の「妊娠超初期」とは?

正式な医学用語ではありませんが、受精から着床するまでの期間を「妊娠超初期」と呼ぶことがあります。

妊娠超初期は妊娠判定がまだできない期間である、妊娠2〜3週目のことをいいます。妊娠初期・中期・後期と3つに区別されるのが一般的ですが、妊娠超初期を含めた妊娠期間の区分を表すと以下のようになります。

  • 妊娠超初期:妊娠2〜3周目
  • 妊娠初期:〜13周6日
  • 妊娠中期:14週0日〜27週6日
  • 妊娠後期:28週0日〜

「妊娠超初期」は「妊娠初期」とは違う?

妊娠週数を数える際の起点は、最後の月経が始まった日です。妊娠初期の期間である0〜13週6日のうち、妊娠2〜3週目を「妊娠超初期」と呼んで区別する場合があります。

妊娠超初期の期間は排卵・受精・着床のプロセスが進む重要な期間であり、この時期に起こる症状は「妊娠超初期症状」ともいいます。
正式な医学用語ではないものの、胎児の成長や発達に関わる重要な期間であり、身体の変化も生じやすい特徴があります。

妊娠超初期に現れやすい症状と体の変化

妊娠超初期は着床にともない、身体にさまざな変化を感じることがあります。人によってはまったく症状を感じないケースもあり、「症状がない=妊娠していない」と判断するのは早計です。

しかし次のような症状があれば、妊娠している可能性があります。

少量の出血(着床出血)

受精卵(胚)が子宮内膜に着床する際に、微量な出血が起きることがあります。これを着床出血と呼び、着床するときに子宮内膜が傷つくことで生じるといわれています。出血といっても少量であり、おりものがややピンクになっている程度です。

しかし出血量が多い、出血が長引くようであれば別の原因が考えられるため、速やかにクリニックを受診しましょう。

着床出血についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
> 「着床出血とは?生理との違いや見分け方、起きる時期を解説」を読む

生理と着床出血を見分けるには?

よく耳にする「着床出血」はちょうど月経開始日あたりに生じる症状で、生理と勘違いする方も少なくありません。しかし生理と着床出血は、以下のように日数・色・量・痛みなどから見分けることが可能です。

着床出血 生理
出血の期間 1〜2日程度 3〜7日程度
出血の色 主にピンク・茶・赤 主に赤や暗赤色
出血の量 ごく少量で塊は出ない 量が多く、塊が出る
痛み 軽度・チクチク 軽〜重度まで

生理は数日から1週間程度続きますが、着床出血は1〜2日程度です。また生理の場合、赤や赤黒い血の塊がでることがあります。しかし着床出血はうすいピンクや茶色がおりものに混ざっている程度になります。量もごく少量です。
また、生理痛は人によって重度の痛みをともなうことがありますが、着床痛は軽度の痛みに留まることが多いとされています。

このような違いがあるため、出血を確認したらまずは様子をみるのがよいでしょう。

下腹部痛・腰痛

着床するとき、生理痛に似たようなチクチクした下腹部の痛みをともなうことがあります。着床痛とも呼ばれ、腰痛を感じる方もいます。
腰の痛みは出産準備のために骨盤をやわらかくするホルモンが分泌されることが原因といわれています。

とはいえ痛みの大きさには個人差があるため、痛みが大きい人からまったく感じない人までさまざまです。

つわり(吐き気、だるさなど)

吐き気やだるさといった、妊娠初期にみられるつわりが生じることもあります。つわりの症状は吐き気以外にも、眠気・腹痛・下痢・便秘・食欲や味覚の変化があります。症状の現れる内容や時期、程度には個人差が大きく、着床して間もない妊娠超初期から現れることもあります。

胸の痛み・張り

妊娠によって乳腺が少しずつ発達することから、胸の痛み・張り・かゆみが出ることがあります。着床後の1〜2週間目から症状を感じやすいといいます。
ただし症状が気になるからといってあまり胸、特に乳首を刺激すると子宮の収縮につながるため、触れすぎないようにしましょう。

おりものの変化

妊娠超初期では、人によっておりものの変化を感じる方もいます。おりものの量が増える、色が白っぽいまたは黄色っぽくなる、酸っぱいニオイがするなど、さまざまな変化が起こる場合があります。これらは着床したことによる女性ホルモンの変化が原因です。
ただし、量・色・ニオイなど特に変わらない方もおり、個人差があります。

自然妊娠に限らず、体外受精の胚移植後に同様の変化が生じることがあります。胚移植後のおりものの変化については、こちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精とおりものの関係は?胚移植後のおりものの変化について解説」を読む

貧血・めまい

着床出血などで鉄分を失うと、貧血になる場合があります。鉄不足になったり、ホルモンの乱れでめまいや立ちくらみが起こる場合もあるため、積極的な鉄分の摂取が推奨されます。

頭痛・偏頭痛

女性ホルモンの変化により、頭痛や偏頭痛を引き起こす場合があります。
プロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンは血管拡張の作用があるため、これが頭痛の原因と考えられます。

風邪のような体調不良

妊娠超初期では、風邪のような体調不良(微熱・倦怠感・鼻水・咳・胃の痛みなど)の症状が出る場合があります。

ただの風邪であれば数日で回復することがほとんどです。しかし着床後の症状の場合、一定の症状が長期的に続いたりします。着床後の症状のひとつである可能性もあるため、自己判断で風邪薬の服用はせず、医師に相談しましょう。

情緒不安定

着床後、女性ホルモンが増加することで、情緒不安定になることがあります。さらに妊娠超初期は、さまざまな症状によるストレスに加え、妊娠・出産の不安などを抱えがちです。精神的に不安定になるのも、場合によっては着床後のひとつの症状と考えられます。

生理がこない

月経の予定日に生理がこないのは着床後の変化の可能性があります。子宮内膜に着床しなかった場合、必要なくなった子宮内膜は剥がれ落ち、生理となって体外へ排出されます。
この生理現象がなかったということは、着床して受精卵(胚)が子宮内膜に根付いた可能性が高いといえるでしょう。

その他

その他にも個人差がありますが、次のような症状と身体の変化が起こる場合があります。

  • 眠気を感じる
  • 食欲が低下または増加する
  • 便秘になる
  • ニオイに敏感になる

妊娠超初期・初期に体調が変化するのはなぜ?

妊娠超初期や妊娠初期に身体の変化が現れるのは、妊娠によって大量のホルモンが分泌されるからです。妊娠すると、主に以下の3つのホルモンが分泌されます。

  • hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
  • エストロゲン
  • プロゲステロン

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は妊娠中に生じるホルモンで、胎盤にある絨毛組織から分泌されます。市販の妊娠検査薬では、このホルモンに反応して陽性となり、妊娠の有無を判断できます。

エストロゲンとプロゲステロンは、妊娠が成立すると分泌量が増すホルモンです。エストロゲンは子宮内膜の維持や胎児・胎盤への栄養供給、乳腺の発達を促す働きがあります。一方、プロゲステロンは基礎体温の上昇や食欲増進に関与します。

これらのホルモンが急激に分泌されることで、妊娠超初期や妊娠初期にはさまざまな体調の変化が生じるのです。

着床したか確認するには?

着床したかの確認は、基礎体温の記録や妊娠検査薬、医療機関での妊娠判定で確認が可能です。それぞれの確認方法をご紹介します。

なお、着床の確認方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
> 「着床したかわかる方法はある?体外受精の妊娠判定について解説」を読む

普段から自分の体調・体温を記録する

基礎体温の記録を普段からつけていると、体調や体温の変化で着床に気付ける場合があります。
通常女性の身体は高温期と低温期に分かれていますが、着床すると高温期が継続します。妊娠したことで、女性ホルモンが増加するためです。このような体温変化や熱っぽい倦怠感の体調変化で、着床を察知することができるといえます。

妊娠検査薬を使用する

妊娠検査薬を使って着床したかの確認が可能です。ただし使うタイミングは、月経予定日からおおよそ1週間後が目安となります。それ以前に検査薬を使っても、正確な結果が現れない場合があるからです。
またホルモン治療を受けていた場合は、その成分が検査薬に反応している可能性もあります。

医師やクリニックに相談する

妊娠がわかったら、産婦人科を受診しましょう。最後の月経開始日から5〜6周目あたりでの受診が目安となります。

また、体外受精の場合もあらかじめ決めた妊娠判定日に採血をおこない、検査によって着床したかどうかを判断します。

妊娠かも?と思ったら心がけたいこと・注意すべきこと

着床後の症状やサインがあり妊娠の可能性がある場合は、母体の健康のために、より生活習慣の改善を意識してみましょう。

喫煙・飲酒を控える

喫煙は血行不良の原因となります。子宮へ栄養や酸素が十分に届きにくくなり、胎児の成長に影響を及ぼすため禁煙が必要です。

過度な飲酒も胎児の低体重や脳障害などの悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠前の適量の飲酒であれば大きな問題はないといわれていますが、妊娠中の飲酒は生まれてくる子どものためにも必ず控えましょう。

偏った食生活やカフェインの摂りすぎに気をつける

母体の健康維持のためにも、バランスのよい食事を心がけましょう。お菓子や甘いものの取りすぎ、極端なダイエットなど偏りのある食生活は健康に悪影響を与え、胎児に十分な栄養を届けられません。1日3食、バランスよく食材を摂取するようにしましょう。

また、カフェインの過剰摂取は控えた方がよいとされています。諸外国では、妊娠中の女性のカフェイン摂取量をマグカップ約2杯分(200〜300mg)までとするよう注意喚起もおこなわれているようです。妊娠が判明したら、カフェインの摂取量を適度に抑え、過剰な摂取は避けるようにしましょう。

葉酸など必要な栄養を摂取する

葉酸は、妊娠前からも摂取することが推奨されている栄養素です。特に妊娠初期に葉酸が足りていないと、胎児の神経系の発達に悪影響を及ぼすといわれています。
普段の食事から摂取できる量は限られているため、葉酸サプリメントを活用しましょう。

激しい運動や性交渉は控えておく

妊娠の可能性がある場合は、身体に負荷がかかる激しい運動や性交渉は控えたほうがよいとされています。これらは妊娠初期の流産リスクを高める恐れがあるからです。

また、性交渉は子宮収縮が生じることで、お腹の張りや出血のリスクもあることから、妊娠初期に関わらず妊娠中は避けたほうがよいでしょう。

食中毒や感染症に注意する

妊娠中は、食中毒や感染症にかかるリスクを避ける必要があります。特に加熱していない生物(刺し身・ユッケ)などは、注意しましょう。
食中毒になると流産リスクが高くなり、感染症にかかると母体を経由して胎児にも影響がおよびます。
妊娠中は免疫力が低下しやすいため、体調管理に注意する必要があります。

薬の服用は医師の判断をあおぐ

市販の風邪薬や痛み止めなどのなかには、胎児に悪影響を与える可能性があるものもあります。服用する際は、必ず担当医の判断をあおぎ、自己判断しないようにしましょう。

リラックスして過ごす

妊娠中のストレスも胎児によくないため、なるべくリラックスして過ごすことを心がけましょう。妊娠初期は体調の変化が多く、不安やストレスを抱える方が多くいます。パートナーや家族、職場からの理解と協力が不可欠です。自分1人で抱え込まず、周りと相談しながら妊娠生活を送れるようにしておきましょう。

妊娠超初期に関するよくある質問

Q. 妊娠超初期症状には個人差がありますか?

症状の感じ方は個人差があり、まったく感じない方もいます。そのため症状が何もないからといって、一概に着床の有無を判断するのは難しいといえます。

Q. 妊娠超初期症状が出たらどうしたらいいですか?

妊娠超初期の症状が現れたら、タイミングをみて妊娠検査薬で確認してみましょう。陽性反応が確認できたら、様子を見ながらクリニックを受診することをおすすめします。また、長期の妊娠期間に向けた生活習慣の見直しはもちろん、激しい運動などは避け、なるべくリラックスして過ごすように心がけましょう。

Q. 症状がつらい場合、どうしたらいいですか?

症状がつらいと感じたら、まずはクリニックに相談してみましょう。自己判断で鎮痛剤を服用するのは控えてください。着床出血や着床痛は妊娠超初期の症状ですが、出血が多い、痛みがひどい場合は、別の理由も考えられます。つらい場合は我慢せず、早めにクリニックを受診しましょう。

Q. 体外受精で妊娠しました、いつ転院すればいいですか?

産婦人科への転院は、妊娠9週目以降が目安です。不妊クリニックで妊娠が確定されたあと、胎児の心拍を一定期間で何度か確認するため、転院はその後になります。

妊娠についてお悩みの方は六本木レディースクリニックへ

着床後の妊娠超初期では、身体にさまざまな変化が生じることがあります。しかしいずれの症状もすべての人に見られるわけではなく、個人差があるため判断が難しいといえます。しかしいくつかの症状が当てはまったら、妊娠している可能性があります。生活習慣の見直しとともに、なるべくリラックスして過ごすことを心がけましょう。

六本木レディースクリニックは、不妊治療・体外受精の専門クリニックです。着床障害の原因を特定する精密な検査や、着床時期を確認する検査なども取り扱っています。妊娠についてお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

ドクターのご紹介

経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産科婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師