妊婦が葉酸を過剰摂取すると過剰症が現れることがあります


葉酸自体はただの栄養素の1つであり、過剰摂取したからといって特別重篤な事態になることは考えにくいと言われています。しかし過剰摂取する日が続くと発熱、じんましんなど葉酸の過剰症ともいえる症状が現れることがあるため注意が必要です。

また妊婦にとって避けるべき、お腹の赤ちゃんへの影響も報告されています。妊婦だからといって摂りすぎず、上限を守るようにしましょう。

葉酸の過剰摂取によって体調不良を起こすことがあります

妊婦であるかどうかに関わらず、葉酸を過剰摂取するといくつかの症状が現れることがあります。葉酸の過剰症としての症状には、たとえば以下のようなものが報告されています。

・発熱
・じんましん
・神経障害
・かゆみ
・呼吸障害

これらが一度に起こるというわけではなく、個人差によって症状の出方はさまざまです。

また妊婦が葉酸を過剰摂取する日が続くと、そうでない妊婦よりも、赤ちゃんが将来小児ぜんそくにかかるリスクが高くなっているとする報告もあります。このデータはやや科学的根拠に欠けるとも言われていますが、少なくとも葉酸を過剰摂取することによるメリットはないと考えてよいでしょう。

さらに葉酸の過剰摂取によるデメリットはもう1つあります。葉酸を過剰摂取すると、ビタミンB12が欠乏して起こる貧血について、検査しても原因がわかりにくくなってしまうのです。

葉酸はもともとビタミンB12と協力して赤血球を作る役割を果たしている、造血のビタミンとも呼ばれる存在です。そのためビタミンB12、また貧血と関連が深い栄養素です。

一般的に貧血というと、赤血球の材料である鉄の不足が思い出されるかもしれません。しかしビタミンB12と葉酸、どちらかが不足してもまた巨赤芽球性貧血という状態になってしまうのです。

葉酸を過剰摂取によって発見に時間がかかり、治療が遅れてしまう可能性もあります。妊婦はなにかと貧血になりやすいため、注意しておくに越したことはないでしょう。

葉酸の耐容上限量は1日に900~1000µgです


では具体的に過剰摂取とはどのくらいの量を指すのでしょうか。葉酸は1日の必要摂取量の目安と、これ以上摂取すると健康被害の可能性が出てくるという上限値がともに定められています。

一般的に、葉酸の耐容上限量は妊娠しているかどうかを問わず、1日に900~1000µgです。

一方で1日に摂取すべき葉酸の必要量は、一般人で240µg、妊婦では倍の480µgと言われています。ただしこれは妊娠3ヶ月目以降の話です。

葉酸は赤ちゃんの先天異常のリスクを大きく下げるため、妊娠初期の妊婦に必要不可欠と言われている栄養素です。そのため妊娠3ヶ月までは1日に食事から240µg、さらにサプリメントで400µgの摂取が理想と言われているのです。

妊娠期間の中で、妊娠初期がもっとも多く葉酸を必要とします。妊娠初期においては、十分な量の葉酸を摂取しつつ、その上で過剰摂取にはならないようにしっかりと管理する必要があるでしょう。

過剰摂取の原因は主にサプリメントの使用です

日本人はだいたい食事から平均して、1日あたり300µg弱の葉酸を自然に摂取していると考えられています。そのため葉酸は普段あまり意識しなくても十分な量を摂取できるものの、妊婦となると一転して不足しがちな栄養素です。

また食事から摂取する葉酸と、サプリメントから摂取する葉酸では体内での利用効率が異なり、サプリメントの方が効率のよい摂取が可能となっています。

そこで多くの妊婦はサプリメントを利用することになるでしょう。実際に妊婦向けに葉酸を400µg前後配合したサプリメントも多くの種類が販売されています。

しかしこれらのサプリメントは手軽な反面、その手軽さゆえに過剰摂取の原因ともなっているのです。サプリメントを飲み忘れた場合のまとめ飲みや、葉酸を含むほかのサプリメントとの併用をすると、食事からの分も合わせてあっという間に過剰摂取となってしまいます。

葉酸は水溶性ビタミンのため、多少の過剰摂取をしても尿として排出されます。しかし過剰摂取の日が続くと悪影響となるでしょう。

食事とサプリメントのバランスをよく考えて、過不足のない摂取をしていきましょう。

(まとめ)妊婦が葉酸を過剰摂取するとどうなるの?

1.妊婦が葉酸を過剰摂取すると過剰症が現れることがあります

葉酸自体は栄養素に過ぎないため、過剰摂取したとしても医薬品のように命に関わるような可能性は考えにくいでしょう。しかし過剰摂取することが日常となると、過剰症が現れることもあるため注意しましょう。

2.葉酸の過剰摂取によって体調不良を起こすことがあります

葉酸を過剰摂取することで、発熱やじんましんなどの過剰症が出るほか、赤ちゃんが小児ぜんそくにかかりやすくなるリスク、貧血が起きた際にその発生原因を隠してしまうリスクなどがあると考えられています。過剰摂取によるメリットは皆無です。

3.葉酸の耐容上限量は1日に900~1000µgです

葉酸は1日に900~1000µg以上を摂取すると過剰摂取にあたります。妊娠初期では食事から240µg、サプリメントから400µgの摂取が必要となるため、不足せず、かつ過剰になりすぎないラインを見極めて管理する必要があります。

4.過剰摂取の原因は主にサプリメントの使用です

食事とサプリメントでは摂取効率が異なることもあり、ほとんどの人はサプリメントを使用することになるでしょう。しかしサプリメントはまとめ飲みで簡単に過剰摂取となるため、バランスを考えて摂取しましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師