産後の授乳期間は大変な時期ですが、年齢によっては2人目・3人目を早めに考えたい方もいるでしょう。授乳中に妊娠する可能性は、どの程度あるのでしょうか。また、授乳中に妊娠が発覚した場合、どうように対応したらよいのでしょうか。
この記事では、授乳中の妊娠やその注意点についてわかりやすく解説します。
目次
授乳中は妊娠・着床しにくい?妊娠する確率について
産後1年〜1年半程度を目安に授乳期間がありますが、この期間中は妊娠しない、または妊娠しにくいといわれています。
はじめに、授乳中に妊娠しにくくなる仕組みや妊娠する可能性についてご紹介します。
授乳中はなぜ妊娠しにくいのか
産後、母体からは「プロラクチン」と「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。プロラクチンは乳汁分泌を促進するホルモンで、オキシトシンは子宮収縮を促進し、産後の回復をサポートするホルモンです。
なかでもプロラクチンは、授乳中に分泌されるホルモンで、排卵を抑制する作用があります。これにより一時的に生理がストップし、高プロラクチン血症に近い状態を作り出すことで、妊娠しにくくなります。
これは産後すぐの母体に負担がかからないようにする仕組みともいえるでしょう。
授乳中でも妊娠する可能性はゼロではない
授乳中は一時的に生理が止まり妊娠しにくくなるため、妊娠する確率は低いといえます。しかし妊娠する可能性はゼロではなく、「年子(上の子どもと1歳違い)」という言葉があるとおり、授乳中に妊娠する場合もあります。
生理が再開する時期には個人差があります。離乳食が始まる8〜9ヵ月頃が目安とされていますが、早い人では産後1〜2ヵ月で生理が始まる方もいます。生理や排卵があったとしても、ホルモンの影響で妊娠しにくい傾向にあるのは事実ですが、授乳中でも妊娠する可能性はあるといえます。
排卵再開の目安とプロラクチンの分泌量
授乳中に分泌されるプロラクチンは、授乳の刺激によって生成されるホルモンであり、授乳を止めると分泌量が減少します。授乳の刺激がなければ、7日間前後でプロラクチンの分泌量は低下し、排卵が再開しやすくなります。
排卵が再開する目安は赤ちゃんの離乳食が始まり、授乳回数が減少する頃です。8~9ヵ月頃に離乳食を開始することが多く、この頃に生理が再開することがあります。
一方、授乳を続けるとプロラクチンは分泌され続け、排卵は起こりにくくなります。ただし、排卵抑制のためにプロラクチンの分泌量を維持するには、1日8回以上の授乳が必要です。
授乳中の妊娠を避けたい場合は?
2人目や3人目を望まない方や、体力的にも授乳中の妊娠は避けたい方もいるでしょう。なかには夫婦生活を再開したいと考える方もいるかもしれません。
その場合は、以下のような避妊方法があります。
授乳性無月経で妊娠を避ける
乳児が生後6か月未満で、完全母乳育児をしており、月経が再開していない場合は「授乳性無月経」と呼ばれる状態にあります。この期間中は、約98%の確率で妊娠しないとされており、妊娠の可能性は非常に低いといわれています。
ただし、産後6か月を過ぎると、完母であっても排卵が再開して妊娠する可能性が出てくるため注意が必要です。
授乳中も必ず避妊具を使う
産後1ヵ月を過ぎて夫婦生活を再開する場合、母乳育児であっても必ず避妊具を使うことが推奨されます。月経が開始する前でも、排卵が起こる可能性もあるからです。妊娠を望まない場合は、男性はコンドームの使用を徹底し、女性はピルなどの避妊薬を使用する方法もあります。
ただし、ピルなどのホルモン系避妊薬は母乳分泌に影響を与える可能性があるため、使用を検討する際は婦人科医に相談しましょう。
授乳中に妊娠したらどうすればいい?授乳をやめるべき?
授乳中の妊娠発覚は嬉しい反面、戸惑いもあるのではないでしょうか。妊娠中の授乳や注意点について解説します。
妊娠中でも授乳を続けることはできる
結論からいうと、妊娠中でも授乳は続けられます。無理に断乳する必要はありません。
WHOでは、母乳は2歳まで続けるべきと推奨されています。さらにWHOの発表によると長期の母乳育児では、母体の乳がんや卵巣がんの発症率が低くなるとされています。
授乳期間中、無理に断乳することは、赤ちゃんにも母体にも負担がかかる場合があります。赤ちゃんにとっても、自然な状態で卒乳できるのがベストといえるでしょう。
オキシトシンの分泌に注意
オキシトシンは母乳を押し出す働きや、子宮の収縮を促し母体の回復を助ける役割を果たすホルモンです。
授乳の刺激や赤ちゃんの泣き声を聞いたり、赤ちゃんのことを考えたりするだけで自然と分泌されるもので、別名「愛情ホルモン」とも称されます。
しかし一方で子宮の収縮作用があることから、授乳中の妊娠において、早産や流産などを誘発する懸念があるとする考えもあります。
オキシトシンの子宮収縮作用と、流産の直接的な因果関係はわかっていません。必ずしも断乳しなければならないわけではなく、これらの可能性を念頭に、妊娠中の授乳については医師と相談するのがよいでしょう。
つわりや体調に気を付け、無理をしない
妊娠中の授乳の継続は可能ですが、妊娠中はつわりなどの体調不良もともないます。また体調不良でうまく授乳できない場合も考えられます。
授乳・妊娠ともに必要な栄養量が増加するため、栄養失調を引き起こす恐れもあるといいます。
母体に負担をかけ過ぎず、無理なく授乳ができるようにリラックスする時間も必要です。そのためパートナーや家族と、妊娠中・授乳中のサポートについて事前に話し合っておくとよいでしょう。
2人目、3人目を妊娠したい場合は?
先述のとおり、授乳中は妊娠しにくい傾向にあります。しかし年齢のことも考えて、少しでも早く妊活を再開したい方もいるかもしれません。
授乳中に妊娠を望む場合は、次のことを検討してみましょう。
産後の体調に合わせて検討する
授乳中の妊娠は可能ですが、前提として、母体の健康状態を考えると少なくとも出産から1年以上開けるのが望ましいとされています。産後1ヵ月は、悪露(おろ)という子宮の中の血液や内膜が排出される出血が見られます。産後1ヵ月を過ぎれば、検診で異常が見られない限り、原則夫婦生活の再開は可能です。
ただし、産後は赤ちゃんの授乳やお世話で体力を奪われ、睡眠不足にもなりがちです。産後の体調を踏まえて一定期間は避妊し、期間を開けたうえで医師に相談しながら夫婦生活を再開するのがよいでしょう。
母乳のみ(完母)から混合授乳に切り替える
授乳中の妊娠を希望される場合、排卵抑制作用のあるプロラクチンの分泌を下げて、生理を再開させることで妊娠率を高められるでしょう。プロラクチンの分泌は断乳することで減少します。
しかし赤ちゃんや母体にとって授乳は重要な要素です。断乳ではなく、母乳とミルクの混合授乳に切り替えることで、完母よりも妊娠しやすくなるといえます。さらに母乳だけでは足りない栄養を補充できたり、授乳による負担を軽減できたりします。
授乳中の不妊治療は可能?
授乳中でも不妊治療は可能です。ただし、この時期は排卵がまだ安定しておらず、生理周期も不規則である場合が多いため、身体が治療に適していないケースも少なくありません。原則としては授乳を終え、生理が再開して安定してから治療を始めるのが理想的です。
一方で、2人目や3人目の妊娠は、以前より確実に年齢が上がっているため第一子よりハードルが高くなりやすいのも事実です。早めに不妊治療を検討することも重要になります。
とはいえ、まずは産後の回復を最優先です。次の妊娠に向けて健康的な身体づくりをすることから始めましょう。早めに不妊検査も受けておくのもおすすめです。
2人目の妊娠についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
> 「二人目を妊娠しにくい原因は何?不妊治療は必要?」を読む
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授乳中は妊娠がしにくいようにできており、産後の母体の負担を軽減するための仕組みともいえます。授乳中に妊娠する確率は低いものの、可能性はゼロではありません。妊娠を避けたい場合は、授乳中であっても避妊が必要です。一方、早めに2人目や3人目を考えたい方は、産後の体調を見て担当医と相談しながら妊活や不妊治療の計画を立てるようにしましょう。
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