授乳中に妊娠しにくいのはプロラクチンの分泌があるからです


産後すぐに母体から分泌されるホルモンは、プロラクチンとオキシトシンの2種類があります。
プロラクチンは乳汁の分泌を促すホルモンで、オキシトシンは子宮収縮を促し産後の回復に必要なホルモンです。

授乳中はずっとプロラクチンが分泌し、このホルモンが排卵を抑制するため、妊娠しにくくなります。
産後すぐに妊娠すると母体に負担をかけるため、排卵しにくい仕組みがあるのです。

授乳を続けているとプロラクチンは分泌し続けます

プロラクチンが排卵を抑制しているため、授乳を続ける以上プロラクチンは分泌し続けます。
分泌するのは授乳の刺激によるもののため、産後授乳を止めてしまえば、プロラクチンは分泌しにくくなります。

授乳中の刺激がなければ7日間前後でプロラクチンのレベルが低下してしまうため、授乳を続けるつもりなら、赤ちゃんに母乳を与える行為が必要です。

プロラクチンのレベルを維持するためには、1日8回以上の授乳が必要とされているため、母乳のみで育児を続けていれば排卵はおこりにくいといえます。

そのため、排卵が再開する目安は授乳回数も減ってくるときで、赤ちゃんの離乳食が始まる頃です。
8~9ヶ月ころに離乳食を開始することが多く、この時期になって生理が始まっていれば、妊娠する可能性があるといえます。

生理が再開する時期は個人差があるため、必ずしも8~9ヶ月ごろというわけではありません。
母乳育児中なら6~12ヶ月くらいが多いようですが、早い人では産後1~2ヶ月で再開する人もいます。

生理が再開しても授乳を続けていると、プロラクチンの分泌があるため、卵胞の成長が遅れ妊娠しにくくなります。
排卵があっても排卵するのに時間がかかり、妊娠しにくい傾向があることは覚えておきましょう。

次の妊娠につなげるためにできることがあります


産後授乳中に妊娠を希望されるなら、プロラクチンの濃度を下げることが一番の対策となります。
生理の再開がひとつの目安とはなりますが、その後授乳を続けるかによっても、妊娠しやすいかが変わってくるのです。

授乳中に妊娠する人もいれば、授乳中に妊娠しにくい人もいるため、確実に妊娠を進めていくには、授乳を止めることが必要となります。

しかし授乳中に無理やり断乳をしてしまうことは、赤ちゃんにも母体にも負担がかかることです。

断乳の時期とは、厚生労働省の見解では離乳の完了は18ヶ月までで、母乳は1歳以降も続けることが示されています。

WHOでは母乳を2歳まで続けるべきだとされているようです。
WHOの発表によると長期の母乳育児では、母体の乳がんや卵巣がんの発症率が低くなるとされています。

赤ちゃんにとっても自然な状態で卒乳できる状態が一番でしょう。
授乳中でも断乳しなければならない理由で多いのが、35歳以上の高齢出産となる場合です。

この場合では早めに断乳を決断し、妊娠しやすくする計画が必要となります。
ただし母体の健康状態を考えると、少なくとも出産から1年以上開けるのが望ましいため、家族計画を立てながらいつごろ断乳すべきか家族で話し合ってみましょう。

オキシトシンの分泌にも注意が必要です

産後は子宮の収縮を促し、母体の回復のためにオキシトシンというホルモンが分泌されます。
このホルモンは赤ちゃんが母乳を吸う刺激で分泌されるため、授乳中はオキシトシンの影響によって、子宮が収縮しやすくなります。

オキシトシンは母乳を押し出す働きや、子宮の筋肉を収縮させる働きがあるホルモンです。
そのためオキシトシンが分泌されている間に妊娠すると、流産しやすいとも考えられています。

オキシトシンは赤ちゃんが母乳を吸う刺激だけでなく、お母さんが赤ちゃんのことを考えるだけで分泌しています。

赤ちゃんの泣き声を聞いただけで自然と分泌されるようできており、別名愛情ホルモンとも呼ばれているのです。

一方でストレスにも弱く、母体が強い不安や緊張を感じていると、オキシトシンは分泌しなくなります。

このようにオキシトシンは産後の子宮の回復から母乳育児にも役立てられているわけですが、産後すぐに妊娠を考えている方にとって、不安材料となる可能性があります。

実はオキシトシンが流産させるほどの子宮収縮をもたらすかはわかっていません。
オキシトシンの分泌が不安だと感じる方は、授乳を止めて分泌量を減らすことも考える必要があります。

万が一授乳中に妊娠してしまっても、オキシトシンのせいで流産するかはわかっていませんから、医師と相談しながら断乳すべきか考えてみましょう。

(まとめ)授乳中は妊娠しにくいのでしょうか?

1.授乳中に妊娠しにくいのはプロラクチンの分泌があるからです

産後は乳汁を分泌させるプロラクチンと、子宮を収縮させるオキシトシンの2つのホルモンが分泌されます。

プロラクチンが分泌していると排卵が抑制されるため、産後の女性は妊娠しにくい状況です。

2.授乳を続けているとプロラクチンは分泌し続けます

授乳を続けているとプロラクチンが分泌し続けるため、排卵を抑制します。

回数が減る離乳食頃に生理が再開する方もいますが、プロラクチンが高いと排卵に時間がかかり妊娠しにくい可能性があるでしょう。

3.次の妊娠につなげるためにできることがあります

授乳中に妊娠を望むなら、プロラクチンの濃度を下げなければならないため、断乳することも考える必要があります。

次の妊娠は少なくとも産後1年開けるべきで、母乳を長期間続けることは母体にも赤ちゃんにもメリットがあるため、家族計画を立てましょう。

4.オキシトシンの分泌にも注意が必要です

授乳中に妊娠した場合では、オキシトシンの影響も考えてみましょう。
オキシトシンは子宮の収縮を促すホルモンで、流産しやすいとも考えられているからです。

ただし流産との因果関係は明らかになっていませんから、断乳すべきかは医師とよく話し合いましょう。


監修医情報

六本木レディースクリニック
小山寿美江医師
こやま すみえ/Sumie Koyama

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経歴
1999年 琉球大学医学部医学科卒業
2000年 東京医科大学病院救急救命センター
2001年 東京女子医大病院腎センター
2003年 緑風荘病院 血液浄化療法センター
2006年 昭和大学病院産婦人科
2009年 昭和大学病院産婦人科 助教
2010年 東京衛生病院産婦人科
2012年 木場公園クリニック勤務
木場公園クリニック 分院 院長
2016年 六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
アメリカ生殖医学会

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院長 小山寿美江医師