体外受精で着床したかどうか知りたいです。
胚移植後、おりものに変化がなくても着床していることはありますか?変化する場合はどのように変わりますか?
体外受精においても、自然妊娠と同じように着床後におりものが変化することがあります。
ただしおりものに変化がないからといって、着床していないとは限りません。
体外受精の胚移植後は、おりものの変化をはじめ、身体にさまざまな症状が現れます。ちょっとした変化に、期待や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、胚移植後のおりものの変化や起こりうるその他の症状、移植後の注意点についてご紹介します。
目次
体外受精の胚移植後、着床するとおりものは変化する?
おりものには、膣内に細菌が侵入するのを防ぐ役割があり、体外受精の胚移植後、おりものの量や色に変化が生じることがあります。
おりものの量が増える
胚移植後に着床が成立すると、おりものの量が増えることがあります。受精卵が着床したことで、身体が妊娠状態へ変わるからです。
一般的におりものの量は生理周期に合わせて変化し、排卵前に最も多くなります。妊娠に至らなかった場合は減っていきますが、妊娠した場合はそのままおりものの分泌量が減らなかったり、量が増えたりすることがあります。
ただし、おりものの量の変化には個人差があります。量の増減だけでは、妊娠を一概に判断することはできません。
おりものの色が変わる・少量の血が混ざる
受精卵が子宮内膜に着床する際に、着床出血が起きることがあります。この出血によって、おりものに微量の血が混じって茶色っぽく見えることがあり、赤色やピンク色になる場合もあります。多くは2〜3日程度で終了し、月経のような出血が続くことはありません。
ただし、おりものの量の変化と同様に着床出血の有無も個人差があるため、色の変化だけで妊娠を判断することは困難です。
着床出血についてはこちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精の移植後、着床出血することはある?」を読む
おりものに変化がなくても、着床していることはある?
胚移植後のおりものの変化は、着床のサインのひとつともいえます。しかし前述のとおり、おりものの量や色の変化だけで妊娠を判断することはできません。
胚移植後の症状や身体の変化には個人差があり、必ずしもすべての方に妊娠の初期症状が現れるわけではないからです。人によってはおりものの変化や、初期症状も全くない方もいるといいます。
つまり、おりものに変化がなくても着床していることは大いにありうることです。あまり神経質になり過ぎず、最終的な妊娠判定は医師に委ねましょう。
体外受精の胚移植後、おりもの以外に起きる変化は?
胚移植後はおりものの変化だけでなく、さまざまな症状や身体の変化が現れることがあります。また胚移植の処置によって、副作用が生じているケースもあります。
胚移植後の症状については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
> 「体外受精の胚移植後の過ごし方は?症状や体調の変化についても解説」を読む
腹痛、腰痛
下腹部にチクチクとした痛みを感じたり、腰の痛みを感じたりすることがあります。これらは着床時に起こる「着床痛」といわれることもありますが、医学的には解明されていません。子宮内膜の厚みが増したり、子宮が収縮することで生じているともいわれています。
つわり、胸の張り
妊娠が成立すると、妊娠の初期症状であるつわり(吐き気)が生じることがあります。また産後の授乳に備えて乳腺が発達し、胸の張りを感じる方もいます。
頭痛や倦怠感、眠気
妊娠によって女性ホルモンの分泌量が増え、頭痛や倦怠感、眠気を感じることがあります。
軽い風邪の症状に似ていますが、妊娠の初期症状である可能性もあるため、安易に市販の風邪薬を服用しないように注意が必要です。
移植による出血
胚移植後は、微量の出血が2〜3日ほど続くことがあります。子宮にカテーテルを挿入したり、膣内洗浄したりといった移植の刺激により、出血する場合があります。
なお、移植してから数日後に起こる着床出血とは異なり、移植による出血は胚移植後すぐに生じるものです。
胚移植後、いつ着床する?体調の変化から妊娠判定までの期間は?
胚移植後は、およそ3〜5日後に着床するとされています。より発育が進んだ胚盤胞という受精卵(胚)を移植した場合は、1〜2日後に着床するといいます。
体調の変化を感じるタイミングは人それぞれですが、移植後から1週間程度で初期症状が現れる方もいます。
医療機関での妊娠判定は、移植から10日前後が目安です。血液中のホルモン濃度を測定して妊娠が判定されます。
体外受精の胚移植後に注意すべきこと
胚移植後は、基本的に今までどおりの日常生活を送ることができます。よっぽど身体に負荷がかかるような重労働でない限りお仕事も問題ありません。
しかし、注意すべき点もいくつかあります。
ストレスをためこみすぎない
体外受精などの不妊治療中は、考えすぎてしまったり、神経質になり過ぎてストレスを抱える方も少なくありません。胚移植後の症状に敏感になってしまい、ちょっとした変化に不安になることもあるでしょう。
しかし過度なストレスはかえって心身に悪影響を与える恐れがあるため、リラックスして過ごすことが大切です。自分の好きなことをしたり、パートナーと食事に出かけるなど、ストレスをためこまないようにしましょう。
激しい運動や性交渉は控える
移植後の3〜5日間は着床期と呼ばれます。この時期は、下腹部に過度な刺激を与えないように、激しい運動や性交渉は控えた方がよいとされています。
ただし、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動であれば問題ありません。血流改善にもつながるため、適度な運動がおすすめです。
アルコールや喫煙は控える
過度な飲酒や喫煙は、妊娠率の低下や着床障害を招く恐れがあります。「胚移植後」だけでなく、不妊治療中は過度なアルコール摂取と喫煙は控えてください。
無事に妊娠が成立しても、胎児の成長に悪影響を及ぼしたり、流産リスクを高めたりする可能性があります。タバコは受動喫煙でも悪影響なため、パートナーとともに禁煙や禁酒ができるとベストです。
おりものの状態で身体の状態や病気がわかる?
胚移植後だけでなく、不妊治療中はおりものの状態をチェックすることで、身体の状態や隠れた病気を察知できることもあります。
おりものと生理周期の関係
おりものの量や色、状態は生理周期に合わせて変化します。
生理が終わる頃におりものの量が増えていき、排卵に合わせて量が最も多くなるとされています。おりものの色は、無色透明か白く半透明であることが一般的ですが、排卵期には多少血が混じることもあります。
排卵期を過ぎると、おりものの分泌量が減っていきます。このとき、おりものは白濁とした粘りのある状態です。生理の前になるとおりものの量が増え、ニオイが強くなることがあります。
おりものの量が生理周期で変化するのは「妊娠を助ける作用」があるからだと考えられています。おりものは膣の潤いを保ち、外部からの菌の侵入を防ぐ役割があります。特に排卵時期にはおりものの量が増加し、精子が入りやすい環境を作ることで、妊娠を助ける役割を果たします。
おりものの変化は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量に比例し、排卵期の把握や妊娠しやすい状態の目安にもなるでしょう。
排卵時期のおりものについては、こちらの記事でも解説しています。
> 「排卵が近いとおりものが増える?ゼリー状のおりものと卵子の関係は?」を読む
おりものと病気の関係
おりものが隠れた病気に気づくきっかけになることもあります。
たとえば、おりものが白く濁り、カッテージチーズのようなボロボロとした状態の場合、カンジダ膣炎の可能性があります。カンジダはカビの一種で、膣炎になると痒みをともないます。
また、同じような状態のおりもので、発熱や下腹部の痛みをともなう場合、卵管炎や子宮内膜炎の可能性も考えられます。灰色がかった白色で魚が腐ったようなニオイがし、水っぽいおりものが多く出る場合、細菌性膣症が疑われます。さらに、不正出血が続き、血の混じったおりものがある場合は、子宮の病気が潜んでいる可能性もあります。
このように、おりものの状態を観察することで、体調や病気の兆候を知ることができます。
多くの場合、膣内の細菌バランスが崩れて起きるものです。おりものには、膣内には細菌の侵入や増殖を防ぐ自浄作用もあるため、陰部の洗い過ぎには注意しましょう。
体外受精についてお悩みなら六本木レディースクリニックへ
胚移植後に着床が成立すると、おりものの量や色に変化が現れる場合があります。しかし個人差も多いため、おりものだけで妊娠の判断は難しいといえます。胚移植から妊娠判定までの期間は、不安を抱える方も多いでしょう。胚移植後のおりものを含む変化や症状に敏感になり過ぎず、知識として把握するにとどめ、最終的な妊娠判定は医療機関に委ねましょう。
六本木レディースクリニックは、不妊治療・体外受精の専門クリニックです。患者さま一人ひとりと向き合い、精神的・身体的・経済的な面を考慮した「オーダーメイド治療」をご提案しています。セカンドオピニオンも可能ですので、不妊にお悩みの方はお気軽に当院にご相談ください。