葉酸不足が原因で妊婦が貧血になる場合もあります


葉酸は造血のビタミンとも呼ばれるほど、血液の生産に関係する栄養素の1つです。そのため葉酸が不足すると貧血症状が起きることがあります。

葉酸は妊娠中に大量に消費することになるため、多めに摂取していくのがよいでしょう。ただし貧血はすべてが葉酸不足に起因するわけではありません。

妊婦の場合は病院で検査を受けてからの判断が重要です。

葉酸は造血作用に関連するビタミンです

葉酸はビタミンB12とともに、造血に深く関わります。そもそも「貧血」とは血中のヘモグロビン、つまり赤血球が基準値を下回って足りない状態を表しています。

赤血球の材料となるのは鉄ですが、その鉄を使って赤血球がうまく作られるよう、サポートするのが葉酸の仕事です。そのため葉酸が不足してしまうと赤血球がうまく形成されず減少してしまい、貧血状態になりやすくなります。

葉酸が欠乏して起こる貧血は「巨赤芽球性貧血」というものです。赤血球は正常に作られれば、円形で、酸素を効率よく運ぶために中央がくぼんだ形をしています。

また赤血球の素である赤芽球は細胞分裂を繰り返し、赤血球を生み出して数を増やしていきます。しかし葉酸が欠乏してしまうと、赤芽球がうまく細胞分裂することができず、
分裂できないまま中途半端に成長し、巨赤芽球という異常に大きな塊となってしまうのです。

巨赤芽球のほとんどは、赤血球になれないまま破壊されていきます。こうして赤血球不足に陥り、貧血症状が出ることがあるのです。

妊婦になると多くの葉酸を必要とします


妊娠すると、お腹の赤ちゃんに栄養を送るため、また出産の際の出血を補うために、自然と体内の血液量が増えていきます。通常の1.4倍ほどにもなると言われており、当然その分、葉酸の必要量も増えていくのです。

またもちろん赤ちゃんが消費する葉酸もあるでしょう。そのため妊婦になったら普段の2倍以上の葉酸が必要になり、意識しないと葉酸が不足気味になってしまいます。

妊婦がとくに貧血になりやすい時期は妊娠中期がもっとも多く、次いで後期だと言われています。ちなみに妊婦にとって葉酸は赤ちゃんの先天異常を防止する役目もあるため、葉酸の必要性としては妊娠初期にもっとも比重があります。

つまり妊婦になったら葉酸は妊娠初期~後期、また血液を消費して母乳を作ることになる出産後まで、継続して必要になるのです。一時的に葉酸を摂取するのではなく、妊娠前から出産後まで定期的な摂取をしていないと、供給が追いつかず貧血のリスクも高くなってしまうでしょう。

葉酸は水溶性ビタミンで、基本的には体内に貯蔵しておけません。もともと体内に残っている分はすぐに消費してしまうため、毎日補充し続けることが大切です。

葉酸だけでなく、ビタミンB12や鉄の不足も貧血の原因です

葉酸が足りないと貧血のリスクは高くなりますが、だからといって貧血になった場合、必ずしも葉酸不足が原因とは限りません。前述したように、赤血球の材料は鉄です。

葉酸が足りていたとしても、そもそも材料がなければ赤血球を作ることはできないため、貧血解消のためには鉄の補給も視野に入れなければならないでしょう。実際に妊婦の貧血の9割以上は、葉酸ではなく鉄の不足によって起こり得る「鉄欠乏性貧血」だと言われています。

またビタミンB12の不足でも、葉酸と同じように悪性貧血を起こすことがありますが、こちらも葉酸と同じようにわずかな頻度です。

めまいや頭痛、ふらつき・息切れ・顔色の悪化・疲れやすくなるなど、貧血の典型的な症状が見えた時は、葉酸不足よりは鉄分不足を心配した方がよいでしょう。葉酸が足りているのに葉酸を摂取すると、今度は過剰症として発熱やじんましんなどの症状を起こすこともあるほか、お腹の赤ちゃんにも影響がある可能性も考えられます。

マルチビタミンなどのサプリメントでバランス良く摂る方法もありますが、妊娠中はできるだけ、こうしたサプリメントの使用にも注意したいところです。妊娠中に貧血を感じたら自己判断せず、まずは産婦人科に相談するのが最善といえるでしょう。

(まとめ)妊婦の貧血には葉酸が関係しているの?

1.葉酸不足が原因で妊婦が貧血になる場合もあります

葉酸は造血のビタミンと呼ばれることもある栄養素です。そのため血液を作るために必要不可欠であり、不足すると貧血を起こすことがあります。

妊娠中は不足しがちであるため、よく補うとともに他の栄養素もしっかりと摂取しましょう。

2.葉酸は造血作用に関連するビタミンです

貧血は赤血球が足りない状態を表します。葉酸は赤血球がうまく作られるよう、サポートしてくれる栄養素です。

葉酸が欠乏すると、赤血球の形成がうまく行かず、巨赤芽球性貧血になってしまうことがあります。

3.妊婦になると多くの葉酸を必要とします

妊婦は血液が増え、さらによく血液を消費することから、妊娠中期をピークとしてとくに貧血になりがちです。葉酸は妊娠初期だけでなく中期以降から出産後も積極的に摂取していくべきでしょう。

毎日補充しましょう。

4.葉酸だけでなく、ビタミンB12や鉄の不足も貧血の原因です

葉酸不足は貧血の原因となるため、適度な補給が大切です。しかし一方で、妊婦の場合は貧血の原因の9割は鉄不足によるものだと考えられています。

葉酸だけにこだわらず、貧血を感じた場合は病院に相談し、まんべんなく栄養を摂取しましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師