葉酸をいつから摂取するかというと、妊娠を計画した段階です


妊婦にとって、葉酸はとくに必要とされる栄養素です。葉酸がもっとも必要とされるのは妊娠初期であるため、妊娠前からあらかじめ葉酸を摂取しておくことで慌てずに妊娠中を過ごすことができるでしょう。

また葉酸は妊娠初期を過ぎてもなにかと役立つ栄養素です。もし妊娠初期を過ぎた場合でも、飲んでいないことに気がついたらすぐに始めるのがよいでしょう。

葉酸は妊娠初期の赤ちゃんの形成を助けます

葉酸がとくに妊婦に必要とされる大きな理由は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを下げることです。妊娠してから3ヶ月目までは、赤ちゃんはたった1つの受精卵から数え切れないほどの細胞分裂を繰り返し、人間として生まれ出るために必要な、さまざまな器官のもとを形成している時期です。

その中の1つである神経管という部分は、完成すれば脳や脊髄のもととなる重要な部分です。この神経管はだいたい妊娠6週末までに完成するものの、まれに細胞分裂がうまく行われず、先天異常を起こして塞がってしまうことがあるのです。

その神経管に関する先天異常を防ぐのが葉酸と言われています。

葉酸は細胞分裂に関わる栄養素であるため、細胞分裂が活発な妊娠初期には、妊娠中もっとも多くの量を必要とします。食事で摂取できる分ではとうてい足りず、しかも水溶性ビタミンであるために体内に貯蓄もできません。

その上、妊娠初期の6週末までとなると、そもそも妊娠に気づいていないケースもあります。そのため葉酸の摂取は妊娠初期に間に合うよう、妊娠前からの摂取が必要となるのです。

妊娠1ヶ月以上前から、3ヶ月目までは、食事から240µgに加え、サプリメントから400µgの葉酸を摂取しましょう。

妊娠中期以降でも、葉酸はある程度必要になります


妊娠初期における神経管閉鎖障害を抑止したい、ということであれば、妊娠中期頃になっても葉酸を飲み続けたところで意味はありません。そのため最低限必要な葉酸を摂取しておけばいいという場合は、妊娠前から葉酸を飲み始め、中期になったら葉酸サプリメントの使用を控えてもよいでしょう。

ただし中期以降でも、今度は別の目的で葉酸が必要になるため、不足しないように注意する必要があります。妊娠中期以降における葉酸の役目は、主に赤ちゃんの成長をサポートすることと、妊婦の貧血防止です。

また出産後も葉酸は母乳を生産するために役立ったり、子宮機能を整えたり、産後の精神状態を安定させる助けとなったりと、さまざまなところで使われる栄養素です。もちろん、葉酸以外に他の栄養素も必要です。

妊娠中で赤ちゃんに栄養を分け与えることを意識して、ひとまず授乳が終わるまでは葉酸を多めに、他の栄養素もまんべんなく摂取しておくと、葉酸不足に陥らずに済むでしょう。妊娠中期・後期は480µg、授乳中は340µgの葉酸が必要と言われています。

葉酸の摂取方法に気をつけましょう

葉酸を摂取する上では、いくつかの注意点があります。まず飲み忘れたからといって、前の分までサプリメントでまとめて摂取をしないことです。

前述したとおり葉酸は体内に貯蔵できないため、多すぎた分は排出されてしまいます。コップに水があふれているのにまだ水を注ぎ続けるようなもので、意味がありません。

また1日2日ならともかく、何日・何ヶ月と必要以上の葉酸を摂取していると、過剰摂取となり体や胎児に悪影響が出る場合もあります。もし葉酸を飲み忘れた場合、その分を取り返すことはできないと心得ておきましょう。

また葉酸は食事とサプリメントで吸収効率が異なります。通常の食事からの摂取では、食品に含有している量の約半分の葉酸しか吸収できません。

そのため食品に含まれる葉酸の量で毎日に必要な葉酸の量を計算していると、実は足りていないことがあります。食事とサプリメントの違いを理解し、必要十分な葉酸を摂取していきましょう。

(まとめ)葉酸はいつから必要になるの?

1.葉酸をいつから摂取するかというと、妊娠を計画した段階です

葉酸がもっとも必要な時期は妊娠初期です。このため妊娠前から葉酸を摂取しておくことが望ましいでしょう。
また仮に妊娠初期を過ぎてしまった場合でも、葉酸は役立つため飲んでおく方が安心です。

2.葉酸は妊娠初期の赤ちゃんの形成を助けます

葉酸が初期に必要とされるのは、葉酸が防ぐとされる神経管閉鎖障害の発生が妊娠6週末までに限られるからです。妊娠1ヶ月以上前から3ヶ月目まで、食事から240µg、サプリメントから400µgの葉酸が必要になります。

3.妊娠中期以降でも、葉酸はある程度必要になります

神経管閉鎖障害は初期の摂取でしか防げません。しかし中期以降も葉酸は赤ちゃんの生育をサポートしたり貧血を防止したりするのに役立つと言われています。

また出産後も必要です。妊娠中は480µg、出産後は340µgを目安にしましょう。

4.葉酸の摂取方法に気をつけましょう

葉酸を摂取するにあたって、サプリメントのまとめ飲みは禁物です。飲み忘れた分は後から飲んでも取り返せません。

また食事とサプリメントで葉酸の吸収効率が違うため、過剰摂取を防ぐためにも計算を間違えないようにしましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師