体外受精の流れは、「採卵・採精」「受精・培養」「胚移植」という順番です

体外受精は、大きく分けて3段階に分かれます。
まずは薬剤投与などで排卵を促し、採卵と採精をおこないます。

そのあとに卵子と精子を受精させ、受精卵を培養します。培養した受精卵を体内に入れることで、体外受精の一通りの流れは終了します。

また、余剰胚がある場合は凍結することもあります。移植した後は、決められた日に妊娠判定をおこないます。ここでは、体外受精の流れについて詳しく説明します。

体外受精とは?

体外受精は、体内の卵子を取り出し、精子を振りかけて受精させて培養します。培養によって細胞分裂を繰り返し成長した受精卵のことを「胚」と呼び、これを子宮に戻して着床を待つという治療法です。

通常は体外受精の前に、タイミング法、人工授精といった不妊治療をおこない、これらにトライして妊娠に至らない場合に、さらなるステップアップとして体外受精が検討されます。

また、体外受精で生まれる赤ちゃんは増えています。日本では、1983年に初の体外受精による赤ちゃんが誕生しました。以来、わが国では体外受精の治療数は増加傾向が続いており、2016年は5万4,110人の赤ちゃんが体外受精によって生まれました。この年の総出生数は97万6,978人ですから、18人に1人の割合となります。

とはいえ、体外受精は人工授精に比べ、肉体的、精神的、経済的負担が増すため、夫婦で十分にコミュニケーションをとり、互いに納得したうえでステップアップを決めることが大切です。

体外受精には、自然周期と刺激周期の2つの方法があります

体外受精の場合、必ず採卵(卵子を体外に取り出すこと)をしますが、その際に、「自然周期」と「刺激周期」の主に2つの方法があります。女性の年齢や身体の状態により、医師と相談してどちらかの方法を選択することになります。採卵でより多くの卵子を取り出すことで、妊娠率も高くなるといわれています。

自然周期

自然周期は、自然な排卵周期で1個の卵子を採卵する方法です。排卵誘発剤を使用しないため身体の負担が少なく、より自然な形で卵子を採取できます。ただし、月に1個の卵子しか取り出せないため、妊娠率は低い傾向にあります。

刺激周期

刺激周期は、排卵誘発剤を使用して採卵をおこなう方法です。月経から採卵まで注射、あるいは内服薬を併用して卵巣を刺激します。これにより多くの卵子が育ち、採卵時に多く採取できることで妊娠率も向上します。ただし、排卵誘発剤の使用は副作用があるため、リスクも把握したうえで使用の可否を決めましょう。

体外受精までの流れ:3ステップを把握しましょう

卵子を取り出し、子宮に戻すまでの流れをご紹介します。

採卵・採精

体外受精のファーストステップは、採卵と採精をすることです。まずは受精卵をつくるために、女性から卵子を取り出し、男性からは精子を採取します。質のよい受精卵をつくるためには、質のよい卵子が必要です。

そのため、卵子の質や採卵できる卵子の数を増やすために、ホルモン剤を使用して卵巣の状態を整えたり、排卵のコントロールを行ったりします。卵子が成熟したタイミングで、クリニックや病院で採卵します。

採卵は、膣から超音波で卵胞をチェックしながらおこないます。膣壁から採卵針という専用の細長い針をさし、卵胞液ごと吸引します。はじめて採卵する方の場合や体質によっては、緊張などから弱い痛みを感じることもありますが、採卵は局所麻酔をおこなうこともできるため、不安がある場合は無理せず主治医に相談しましょう。採卵後は、クリニックや病院内でしばらく安静にしたあと帰宅できます。

男性は、クリニックや病院内の採精室かもしくは自宅にて採精します。自宅で採精した場合は、3時間以内にクリニックや病院へ持ってくる必要があります。

受精・培養

女性から取り出した卵子と男性から採取した精子をシャーレの上で合わせて受精させることを体外受精といいます。シャーレの上では、卵子に精子を振りかけ、精子は自力で卵子に潜り込んでいきます。自力で精子が卵子に潜り込む力がない場合には、顕微鏡で卵子の様子を観察しながら、細いガラス管を使って人の手で受精させることがあり、その場合を顕微授精(ICSI)と呼びます。

受精卵ができると、体内に戻せる状態に育つまで培養容器の中で培養します。受精卵は成長過程で分割を繰り返しますが、分割が始まった受精卵を胚と呼びます。

受精してから2~3日後に初期胚になり、5~6日後には胚盤胞と呼ばれる胚になります。胚の成長過程は非常に複雑で、分割の仕方や分割の際に出る細胞の細かなかけらの程度などによって、グレードというランク分けをおこないます。一般的にはグレードのよい胚(受精卵)の方が、着床率が高いとされ、グレードのよい胚が優先的に選ばれます。

培養は培養士と呼ばれる専門家がおこない、グレードの見分けも培養士がおこなうため、体外受精では培養士の技量も非常に重要なポイントになります。

胚移植

基本的には、1回につき1つの受精卵(胚)を体内に戻します。体内に戻す胚を初期胚の状態で戻すのか、胚盤胞の状態で戻すのかは、胚の状態や体外受精をおこなう方の希望などを考慮して決定するのが一般的です。

胚盤胞を移植する方が初期胚を移植に比べて、着床する成功率は高いとされますが、培養過程で胚盤胞まで育たずに、成長をストップしてしまう可能性もあるため、どちらを選ぶのかは難しい選択になります。
移植は、膣からの超音波で様子を見ながらカテーテルで挿入しておこないます。

移植をおこなうタイミングは、採卵した同じ周期間でおこなう胚移植と、妊娠しやすいタイミングを見計らって別の周期でおこなう胚移植の2種類があります。妊娠しやすいタイミングを見計らって別の周期のときに移植する場合には、成長した胚を一旦凍結保存させ、その後再度融解させて移植します。この方法を、凍結胚融解移植といいます。

培養する工程でグレードのよい胚がいくつかできた場合も、次の移植でも使えるように胚を凍結させておくことがあります。
着床率を高めるために、移植の際は同時にホルモン剤でホルモンを補填しながらおこなうこともあります。

体外受精は基礎体温の変化や希望に合わせておこなわれます

体外受精は、女性側の身体の周期に合わせる必要があります。

基礎体温の変化でいつが採卵に適した時期かを見極めて採卵をおこなうことにより、成熟した質の良い卵子を採卵しやすくなるのです。
そのためには自然に卵胞の成熟を待つ方法(自然周期)から卵胞を刺激して排卵を誘発する方法(刺激周期)までさまざまあります。

採卵と採精がうまくいくと、シャーレに入れて出合せることで受精を待ちます。受精卵になったら、2~3日分割もしくは胚盤胞まで分割が進んだあとで子宮に戻します。そして着床しやすくなるように黄体ホルモンを何度か補充してサポートし、着床・妊娠成立を待つことになります。医師から妊娠の判断をする検査日が伝えられるので、その日に必ず受診し妊娠判定を受けましょう。

受精卵の凍結保存で繰り返しトライできます

さきほど受精卵を子宮に戻す胚移植の際に、グレードのよい胚(受精卵)は凍結保存ができることについて述べました。この受精卵の凍結保存をすることで、妊娠しやすいタイミングを計れる他に、繰り返しトライできるメリットがあります。

体外受精にはさまざまなプロセスがあり、時間がかかります。妊娠に至るまで何度も治療を繰り返すことは容易ではありません。
しかし受精卵を凍結保存しておくことで、ステップ1(採卵・採精)とステップ2(受精・培養)を省略して、時間をかけずに質のよい胚を移植することができるのです。

体調を整え、受精卵が着床しやすいように子宮の環境を調節したうえで、凍結胚を融かして移植する方法なので、繰り返してのトライが可能になります。

より多く採卵するためには排卵誘発を行うことがあります

自然な排卵では1周期で1個の卵子が排卵されますが、体外受精の場合それではあまり効率的でないことから複数の卵子を採卵する必要があります。そのために薬を用いて排卵を誘発しますが、その人に合った内容で行うので安心です。

どうやってその人に合う方法を選ぶかというと、年齢・体調・体質・既往歴・生理中のホルモン採血・AMH測定などあらゆる要素を複合して判断し、本人やパートナーの希望も含めて決定していきます。

hMG/rFSH法

排卵誘発法のひとつで、生理開始3日目より薬剤を個人に合わせて投与します。採卵個数の希望によって薬剤の量を調整することができる特徴がありますが、より多く採卵したい人には特に向いている方法です。

この方法を行うには連日通院して注射を受ける必要があり、忙しくて時間を取ることが難しい場合には医師と相談することが大切です。また何度もくり返し行うと多嚢胞性卵巣症候群を引き起こす場合もあるということも、あらかじめ知っておくと良いでしょう。

体外受精には副作用やリスクもあります

体外受精は、タイミング法や人工授精よりも身体への負担が多い治療法です。
副作用やリスクもともなうため、医師としっかり相談して治療をすすめるか決めるのがベストです。ここでは、体外受精の副作用やリスクを説明します。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の使用で卵巣が過剰に刺激されたことで起こる副作用です。

症状としては、卵巣が腫大し、お腹に水がたまることで、腹痛や息苦しさを感じる場合があります。また重症化すると、血栓症などを引き起こす場合もあります。あくまで可能性であり、全ての方に起こるわけではありません。特に若い女性や、多嚢胞性卵巣の方に副作用が起こりやすいといわれています。

腹腔内・膀胱の出血

採卵の際に、腹腔内(子宮や卵巣)や膀胱で出血があることがあります。通常採卵時の出血は微量ですが、卵巣に近い臓器や膀胱が傷つくケースもあります。

また採卵時には、多少の痛みがともないます。麻酔なしでもできる治療ですが、痛みの感じ方には個人差があるため、麻酔を使用することも可能です。

発熱・腹痛

採卵の際は、細菌が入らないようにしっかり膣内消毒をおこないます。しかし、まれに細菌が入って、骨盤内感染症を引き起こしてしまうことがあります。

症状としては発熱や腹痛をともない、症状が改善されない場合は、受精後の胚移植ができないことがあります。

妊娠に至らない可能性

不妊治療で絶対妊娠できる、という保証はありません。体調や変化、タイミングによって、治療内容を変更したり中止しなければならないこともあります。時間と費用をかけておこなう体外受精ですが、それでも妊娠に至らない結果も考えられます。

治療を続けやすいクリニックを選びましょう

体外受精にいざチャレンジするとなったとき、全て順調に進むとは限りませんが、治療を受ければその分費用がかかってしまいます。妊娠できなかったにも関わらず高額な費用を支払うとなれば、その後の治療が続かなくなることもあるでしょう。

もしそういった心配があるのであれば、良心的な「成功報酬制度」を採用しているクリニックを選択してみてください。もし今回はうまくいかなくても次こそは、と前向きな気持ちに切り替えて、次の施術にチャレンジするきっかけにもなります。

検査費用や薬代のようなどうしてもかかってしまう費用は負担する必要がありますが、全額自己負担ではない分次回の費用として準備しておくことも可能です。
またどの段階まで成功していればいくら必要かといった費用が明らかになっているクリニックも、負担する金額が分かりやすく安心して治療が受けられるのでおすすめです。

年齢や排卵誘発の方法など、成功報酬制度を利用するには必要な条件が設定されていることが多いので、その条件が分かりやすく提示されているクリニックは信頼できるでしょう。

不妊治療をお考えの方は六本木レディースクリニックへ

体外受精は大きく分けて3つのステップがあり、さまざまプロセスがあります。時間も費用はもちろん、身体へ負担もかかります。副作用やリスクも踏まえたうえで、治療をおこなうのか検討してみましょう。

1回で妊娠に至る確率は低く、何度か回数を重ねるごとに妊娠率は高くなります。そのため、トライがしやすく治療を続けられるクリニックがよいでしょう。

六本木レディースクリニックは体外受精・不妊治療の専門のクリニックで、経験豊富な医師が在籍しています。副作用やリスクのことも含めて、まずはご相談してみてはいかがでしょうか。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師