胚凍結

「胚凍結」とは?

胚凍結について

胚凍結とは、体外受精や顕微授精で得られた胚を凍らせて保存する方法のことです。日本産科婦人科学会の指針では、多胎妊娠防止のため、移植胚数は原則1回につき1個としています。そこで、採卵周期に複数の移植可能胚を得られた場合、次周期以降の移植のために凍結保存をすることで、希望する周期に融解して移植が可能になります。

胚凍結保存のメリット

胚凍結保存には、次のようなメリットがあります。

  • 採卵周期の次周期以降の子宮内膜環境が良好なときに移植することで、新鮮胚移植以上に高い妊娠率を期待できる。
  • 採卵回数を減らせるため、患者さまの負担を軽減できる。
  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の悪化を予防できる。

以下で詳しく解説いたします。

妊娠の可能性が高まる

子宮内膜環境が良好な、採卵周期の次周期以降に移植することで、新鮮胚移植以上に高い妊娠率が期待できます。
採卵周期は排卵誘発剤の投与の影響で、子宮内膜の状態が自然妊娠の状態と異なったり、子宮内膜と胚の発育のタイミングにずれが生じたりするなど、妊娠に適した状態とはいえません。胚を凍結保存することで、子宮内膜環境が整った周期を選んで胚移植をおこなうことができ、妊娠率が高まります。

心身や金銭面の負担が軽減される

複数の良好胚を凍結保存することで、毎回採卵を繰り返すことなく、複数回の胚移植が可能になるため、身体的や精神的、経済的な負担を軽減できます。

卵巣過剰刺激症候群を回避できる

排卵誘発剤を使用することでホルモン値が高くなり、卵胞が多数できると、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こし、卵巣が腫れやすくなります。卵巣が腫れている状態の周期で妊娠すると、重症化するリスクがあります。そのため、採卵周期には移植せずに胚を凍結し、次周期以降の体調の良いときに延期することで、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の悪化を予防できます。

胚凍結保存のリスク

融解時、ごく稀に胚が変性してしまう可能性があり、移植キャンセルとなる場合があります。

胚凍結保存の方法

当院では、胚凍結に超急速ガラス化保存法を採用しています。
超急速ガラス化保存法とは、胚を凍結のダメージから保護する凍結保護剤に浸したあと、ガラス化液に入れて脱水し、液体窒素に投入して凍結保存する方法です。

胚凍結保存の流れ

胚を凍結保護剤に浸したあと、ガラス化液に移動します。

胚をガラス化液に投入し、浸透圧を利用して、細胞内の余分な水分を脱水します。これによって細胞内の水分子の結合を防ぎ、冷却しても氷の結晶はできません。

クライオトップ
胚をクライオトップ(棒状の専用器具)に乗せて、-196℃液体窒素の中に投入し、瞬時に凍結します。

液体窒素の中で胚を保存します。胚は-196℃の環境下では化学変化が起こらないため、長期間胚を変化させることなく保存できます。

不妊治療用語集

初期胚・胚盤胞の評価分類

胚移植の妊娠の可能性は移植された胚の質によって変わります。胚の質の評価方法として、Veeck分類とGardner分類が挙げられます。

初期胚の評価(Veeckの分類)

初期胚の評価には「Veeckの分類」という評価方法が用いられており、割球(細胞)の大きさが均一でフラグメント(細胞の断片)が少ないほど妊娠率が高いといわれています。Grade1が最も良好で、Grade4までが胚移植の対象となります。
グレード1

Grade1

グレード2

Grade2

グレード3

Grade3

グレード4

Grade4

グレード5

Grade5

胚盤胞の評価(Gardnerの分類)

胚胎盤の評価には「Gardnerの分類」という評価方法が用いられており、腔の広がり具合と内細胞塊(ICM)や栄養外胚葉(TE)の細胞数で評価されます。
グレード1

Grade1
初期胚盤胞
胚盤胞腔が
50%以下

グレード2

Grade2
初期胚盤胞
胚盤胞腔が
50%以上

グレード3

Grade3
胚盤胞

グレード4

Grade4
拡張期胚盤胞

グレード5

Grade5
孵化中胚盤胞

グレード6

Grade6
孵化胚盤胞

Grade3以上では、内部細胞塊(胎児になる部分)と栄養外胚葉(胎盤になる部分)の状態をそれぞれ3段階(A~C)に分類します。
3AA

3AA

3BB

3BB

3CC

3CC

精子凍結

ご主人様の都合で精子が必要な日に採精できない場合にはあらかじめ精子を凍結し保存しておくことができます。
また、乏精子症の方や将来の精子形成障害に備えておきたい場合にも凍結保存することができます。
※保存期間は1年となります。保存を延長される場合は更新手続きが必要になります。

凍結保存期限と更新について

当院の胚および精子の凍結保存期間や更新・更新料については、次のとおりです。

凍結保存期間

胚および精子の凍結保存期間は、凍結日より1年間となっています。その後、1年ごとに更新が必要です。

凍結保存更新・更新料

期限後も継続して凍結保存を希望する場合は、1年毎にお手続きが必要です。お手続きの受付期間は、更新期限の3ヵ月前から期限当日までとなりますので、期限前に申請書のご提出をお願いいたします。また、破棄を希望する場合も申請書のご提出が必要となります。

凍結保存更新料

診療内容自費診療費
(税込)
胚凍結保存料2年目以降 33,000円×凍結本数
※1年ごと更新
+33,000円
精子凍結保存料2年目以降 11,000円×凍結本数
※1年ごと更新
+11,000円

手続き方法

申請書のダウンロードとご記入

下記のボタンより、申請書をダウンロードしていただき、必要事項のご記入をお願いいたします。

申請書のご提出とお支払い

来院にてお支払い
「更新料」、「申請書(署名、捺印、住所、電話番号、申請日の記入は必須)」を一緒にご持参ください。

  • 窓口にて領収書を発行させていただき、手続きの完了となります。
  • お支払い方法は現金、クレジットカード、デビットカードよりお選びいただけます。
  • 当院休診日のお手続きはお受けできません。
  • 診療時間外ではお手続きできませんので、診療時間内にご来院ください。

現金書留にてお支払い(※海外の方は来院でのお支払いのみ)
「更新料」、「申請書(署名、捺印、住所、電話番号、申請日の記入は必須)」を現金書留封筒(通常封筒不可)に同封して、当院宛に、現金書留郵便にてご郵送ください。

【送付先】
〒106-0032 東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
六本木レディースクリニック 宛

凍結保存されている胚・精子を破棄する場合

破棄依頼書へご本人様、配偶者様の直筆で必要事項を記入いただき【送付先】住所へ郵送いただきます。
凍結物の更新料未納分につきましては、凍結胚破棄の場合も未納期間の料金をいただいてからの手続きとなります。

一部破棄を希望される場合
・「破棄依頼書」と「更新申請書」の両方の記入が必要です。

お手続きの注意点

  • 申請書には、必ずご本人が直筆で署名し、捺印をお願いします。
  • 胚と精子の凍結保存をされている場合は、それぞれの申請書が必要になります。
  • 凍結物の凍結保存期限が異なる場合は、凍結保存期限ごとに更新手続き・更新料のお支払いが必要です。
  • 原則として期限を過ぎての手続きはお受け致しかねますのでご注意ください。期限内に凍結保存期限更新手続きをおこなわず、破棄となった場合の意義申し立ては一切受け付けません。
  • ご夫婦が離婚されるか、どちらか一方が死亡された場合は、凍結胚の保存更新はできません。
  • 更新料のお支払後は理由の如何を問わず、返金致しかねますのでご了承下さいませ。

胚凍結に関してよくある質問

胚凍結に関して、よくある質問についてお答えいたします。

胚のグレードについて教えてください。

胚の質は「形」によって評価されます。初期胚はVeeck(ヴィーク)分類、胚盤胞はGardner(ガードナー)分類を用いて評価します。

初期胚の評価:Veeck分類
初期胚は、割球の均一性とフラグメント(細胞の断片)の割合によって、5段階のグレードに分けられ、Grade1が最も良好となります。割球の大きさが均等で、フラグメントが少ないほどグレードが高く、Grade1~Grade4までが胚移植の対象となります。

胚盤胞の評価:Gardner分類
胚盤胞は成長にともなって変化する胞胚腔の状態によってGrade1~6に分類されます。Grade3以上の胚盤胞は、内部細胞塊(胎児になる細胞塊)と栄養外胚葉(胎盤になる細胞塊)の細胞数でA~Cの3段階(Aが最も良好)に分類されます。内部細胞塊や栄養外胚葉の細胞数が多いものが良好な胚盤胞です。

胚凍結を受けるための補助金は申請できますか?

はい、可能です。医師の診断を受けて実施した特定不妊治療(体外受精・顕微授精)の費用に対して、治療1回につき30万円を上限に助成されます。以前に凍結した胚を用い、採卵をともなわない凍結胚移植については10万円までとなっています。なお、治療期間初日の女性の年齢が43歳未満の夫婦が対象です。
特定不妊治療費助成制度についての詳細と申請手続きについては、都道府県・指定都市等の各自治体にお問合せください。

凍結保存期限を過ぎた受精卵は破棄されますか?

凍結保存期限を過ぎた胚は破棄いたします。なお、期限内に凍結保存期限更新手続きをおこなわず、胚が破棄となった場合、異議申し立ては一切受け付けておりません。

監修医師紹介

小松 保則

六本木レディースクリニック

小松 保則医師

(こまつ やすのり/Yasunori komatsu)

プロフィールを見る

  • 経歴
  • 帝京大学医学部付属溝口病院勤務
  • 母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
  • 国立成育医療研究センター不妊診療科
  • 緑風荘病院 血液浄化療法センター
  • 六本木レディースクリニック勤務
  • 資格・所属学会
  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会
  • 日本抗加齢医学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会

体外受精・不妊治療の六本木レディースクリニック