ZyMōtスパームセパレーター導入(精子回収)

従来の精子回収法

精液中には、元気な精子(正常精子)とそれ以外の精子(異常精子)が含まれています

従来の精子回収法(従来法)のことを密度勾配遠心法といい、正常精子が異常精子よりも比重が重いことを利用し、遠心機によって正常精子を分離し回収する方法です。

ですが、この方法だと多くの工程を必要とするため時間がかかり、遠心分離によって精子に物理的損傷を与えてしまうデメリットがありました。
密度勾配遠心法

この物理的損傷により精子の細胞膜が破壊され、活性酸素が発生します。活性酸素に長時間暴露されると、精子のDNAが損傷するといわれています(精子DNA断片化)。

そして、この精子DNA断片化が、胚の発育不良や流産の原因の1つとして考えられています。

ZyMōtスパームセパレーター

従来法よりも短時間で精子を回収でき、さらに精子DNA断片化するリスクを最小限にできるのが、新しく導入した「ZyMōtスパームセパレーター」です。

ZyMōtに精液を入れることにより、遠心分離をせず、運動性が良好な正常精子を回収できます。

そのため、遠心分離による物理的損傷がないため、精子DNA断片化の進行が軽減されます。

【ZyMōtによる精子回収ステップ】
【ZyMōtによる精子回収ステップ】

ZyMōtスパームセパレーターでの精子回収法

精液チャンバーと回収チャンバーは、8μmの孔が開いた膜(メンブレン)で仕切られています。

精液を注入口から注入し、37℃のインキュベーターで30分保管する間に、運動性が良好な正常精子がメンブレンを通って回収チャンバーに集まります。

精液中には、運動性がない精子や頭部が大きいような奇形精子も含まれ、そのような異常精子はメンブレンを通過できず、精子チャンバー下部に残るため、短時間かつ効率的に正常精子を回収することができます。

精子回収方法

ZyMōtでは従来法に比べ精子の回収量が少ないため、体外受精を希望していても、顕微授精の適応になる場合があります。
精液の量が極端に少ないなど精液の状態によっては、Zymotで精子の回収ができない場合があります。

不妊治療用語集

監修医師紹介

小松 保則

六本木レディースクリニック

小松 保則医師

(こまつ やすのり/Yasunori komatsu)

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  • 経歴
  • 帝京大学医学部付属溝口病院勤務
  • 母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
  • 国立成育医療研究センター不妊診療科
  • 緑風荘病院 血液浄化療法センター
  • 六本木レディースクリニック勤務
  • 資格・所属学会
  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会
  • 日本抗加齢医学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会

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