体外受精の通院スケジュールや通院回数は患者様やクリニックによって異なります

体外受精の通院スケジュールは、治療方法やクリニック、患者さまによって多少異なります。

一般的には、前準備・採卵・胚移植・妊娠判定という流れになります。胚移植後は、着床率を上げるための注射をおこなうこともあります。

治療法や患者さまによって変わりますが、妊娠判定までの通院回数は平均6回程度です。多い人では7〜8回になる場合もあります。

体外受精の大まかなスケジュールを把握しましょう

Step1.排卵誘発剤で卵巣を刺激

月経が始まってから月経が終わったあと数日間は、排卵誘発剤を使用する場合があります。排卵誘発剤とは、卵巣を刺激してより多くの卵子を作るように促し、採卵しやすくする治療法です。

飲み薬もしくは注射から選択できます。排卵誘発剤を使用しない選択もできますが、使用すると妊娠率は上がるといわれています。ただし、副作用もあるため、使用するか否かは医師としっかり相談することをおすすめします。

Step2.卵子を取り出す(採卵)

排卵日になったら、卵子を取り出します。細い針を膣から卵胞に刺し、吸引して卵子を採取します。同じタイミングでご主人様も来院して精子を採取し、質の高い精子を選んでいきます。

採卵の痛みには個人差がありますが、麻酔を使用すれば痛みを感じることはありません。採卵は10〜15分ほどで終わりますが、麻酔を使用する場合は回復室で休む時間が必要です。いずれにしても、日帰りでおこなうことができます。

Step3.体外の精子と卵子を受精(媒精)

取り出した精子と卵子を受精させることを媒精といいます。専用の容器に入れ、1個の卵子に振りかけるように約10万個の精子を媒精させます。これが最も一般的な体外受精の方法です。

ほかにも「顕微授精」という方法もあります。顕微授精は、針のような細い管を使用し、精子を卵子に直接注入する方法です。受精卵は数日かけて培養され、分割をはじめると「胚」に変わります。

Step4.子宮の中に受精卵を戻す(胚移植)

「胚」になった受精卵を子宮の中に戻すことを「胚移植」といいます。質の良い胚を選んでカテーテルで子宮内に戻します。胚移植の方法は主に「初期胚移植」と「胚盤胞移植」の2種類があります。

初期胚移植は、2〜3日後の分割胚を移植する方法です。胚盤胞移植は、5〜6日培養して、着床率の高い胚を移植する方法です。

Step5.黄体ホルモンの補充をする

妊娠率を上げるために、黄体ホルモン注射を打つことがあります。女性ホルモンを補うためのもので、子宮内膜を厚くし着床率を高めてくれます。

黄体ホルモンの補充は、主に内服薬と注射の2種類があります。

Step6.妊娠判定の検査を受ける

胚移植後の約2週間後に、妊娠判定をおこないます。

妊娠判定では主に、尿検査と血液検査の2種類です。血中または尿中にある、hCGホルモンの分泌があるかどうかで妊娠が判断されます。

採卵までの通院スケジュール

体外受精のスケジュールが把握できたら、卵子を取り出す「採卵」に焦点をあてて、採卵に至るまでの詳しいスケジュールをご紹介します。

検査

まずは体外受精の治療を始める前に、診察と検査をおこないます。

  • 女性の診察・検査

    内診検査、超音波検査、採血検査など
    当院の女性不妊治療の診察・検査について詳しくは、「一般不妊検査」をご覧ください。
  • 男性の診察・検査

    感染症の採血検査、精液検査など
  • 検査の結果が出たら、卵巣刺激などの方法や通院スケジュールなどを確認、決定します。

    月経周期2~4日目

    採卵を希望する月経周期の2~4日目に受診します。卵巣の状態や子宮内膜の剥離状態を超音波で検査し、患者様に合わせた卵巣刺激方法を選択します。

    月経周期8〜11日目

    卵胞の成長の状態を確認するため、ホルモン採血や超音波検査をします。
    卵胞が良好なサイズに達し、成熟したことを確認ができたら、採卵日を決めます。

    月経周期10〜14日目

    人によって異なりますが、だいたい10~14日目に採卵をおこないます。
    同じ日に採精も行います。

    採卵当日に気を付けることがあります

    女性ならほとんどの方がメイクをするかと思いますが、最近ではネイルアートを楽しむ女性も増えてきています。採卵日はネイルやメイクをしても大丈夫なのでしょうか?

    ここでは、採卵当日に気を付けておくべき注意点を紹介します。

    メイクとネイルは落とす

    採卵日は、マニキュアやジェルネイルなどをオフしておこないましょう。
    「採卵なのにどうしてネイルが関係あるの?」と疑問を抱く方が多いですが、これにはきちんと意味があります。

    採卵をおこなう際にはほとんどの場合、麻酔を使います。
    この採卵の術中には手の指の先に脈拍や血圧を測る機械を付けますが、ネイルをされている場合、測定ができなくなってしまうためです。

    マニキュアであれば前日に自分で簡単に落とすことができますが、ジェルネイルはサロンに行かないと落とせません。
    採卵日付近にジェルネイルをおこなうのは避け、採卵の日までにはオフしておきましょう。

    また、メイクも基本的にはNGのクリニックが多いです。なかにはメイクして受診できるクリニックもありますので、担当の医師に確認しておきましょう。

    車や自転車を自分で運転しない

    採卵日に麻酔をおこなう場合、自分で車や自転車を運転して来院しないようにしましょう。術後2時間くらいは安静にしてから帰宅しますが、それでも運転は危険です。

    採卵後から妊娠成立まで、全体で要する期間

    最初にご紹介したスケジュールのとおり、採卵後から妊娠成立までは「受精」→「胚移植」→「黄体ホルモン補充」→「妊娠判定」という流れになります。

    一般的には採卵してから3〜5日後が胚移植日となります。 そのため採卵日が決まったら、この日程でスケジュール調整をしておくとよいでしょう。日数はあくまで目安で、胚移植の方法によって多少日数は変わります。

    胚移植をしてから約2週間後に、尿検査または血液検査をして妊娠判定となります。

    スケジュールが立ってから胚移植までかかる時間は、約1〜2ヶ月ほどです。
    採卵前の周期から準備が必要になるので、その事前検査なども含めた所要期間となります。しかしうまく採卵できないなどの状態になればまた期間は延長します。

    最初の事前検査から胚移植に至るまでが1〜2ヶ月、胚移植から妊娠判定までが2週間とみると、長く見積もっても体外受精の治療には3ヶ月ほどかかるとみておくといいかもしれません。ただし、この期間はあくまで目安であり、治療方法や患者さまによって変わります。

    治療期間を短くしたい人向けの方法があります

    体外受精の治療期間が約3ヶ月かかると聞いて、スケジュールどおりにやりくりができるか不安に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。仕事や家事など忙しい毎日を過ごされている方には、度重なる通院や時間のかかる治療は負担となってしまうかもしれません。

    なるべく治療期間を短くしたい、通院回数を少なくしたいと考えている方におすすめの方法を紹介します。

    ここでは「ショート法」と「HMG-MPA法」の2種類を紹介します。

    ショート法

    体外受精で採卵を行う際、より多くの卵子を採取するため、卵巣刺激法を行う場合があります。これにより妊娠率も上がるといわれています。

    この卵巣刺激法のなかにアゴニスト法があり、治療期間によりショート法、ロング法、ウルトラロング法の3タイプにわけられます。

    このなかでも一番治療期間が短いのが、ショート法です。

    ショート法は、月経1日目から点鼻薬の使用を続けます。
    月経が終わっても続ける必要があるため、医師の指示に従ってください。

    月経3~6日目にはFSH/HMG注射を開始します。
    同時に、血液検査、心電図検査、抗生剤の皮下テストなど、必要な検査も行われます。

    注射の回数は卵胞の育ち方によって変わり、診察や超音波検査で卵胞のサイズを測る検査が必要です。
    排卵日前には、hCGホルモンの注射があります。

    前日には下剤を服用し、夜9時以降の飲食は禁止です。
    採卵当日は2時間程度、回復室で過ごす時間が必要なため、時間に余裕をもって来院してください。
    その後培養士により受精確認があり、胚移植の日程が決まります。

    胚移植当日も2時間程度の安静が必要となるため、余裕をもってスケジュールを立てておきましょう。妊娠判定日は、移植から14日くらいです。当日は尿検査と診察が必要となります。

    HMG-MPA法

    体外受精でスケジュールの関係上、来院回数を少なくしなければならない方に向いているのが、HMG-MPA法とよばれる方法です。FSH/HMG注射と内服薬を兼用するタイプで、内服薬が安価であるという特徴があります。

    来院期間が短く、遠方から来院される方にも適した方法です。月経3日目からFSH/HMG注射を打ち、同時に内服薬も兼用します。

    排卵日前に卵胞チェックがおこなわれ、排卵日が決まったら採卵のために来院が必要です。アゴニスト法やアンタゴニスト法と異なるのは、高温期に黄体ホルモン補充の治療がないことです。

    そのためもっとも来院期間が短く、仕事などで忙しい方に向いています。自己注射を用いることで、来院回数を少なくできます。

    最初から下垂体ホルモンを抑制せず、アゴニスト法に比べて卵胞が育ちやすいのが特徴です。万が一OHSS(卵巣刺激症候群)のリスクがある場合でも、hCGを用いないでアゴニスト点鼻薬を使うこともできます。

    デメリットは新鮮胚移植が使えないことで、凍結胚移植を考えている方に向いている治療法です。

    通院しやすい不妊治療専門の六本木レディースクリニック

    不妊治療は時間がかかって大変なイメージが多く、不安に思う方も多いのではないでしょうか。しかし、大まかなスケジュールや期間を把握することでイメージしやすく、治療前の不安が取り除かれます。

    不妊治療は、時間を必要とする治療法です。成功するためにも、信頼のおける、実績のあるクリニックを選び、医師と納得がいくまで相談し、治療計画を立てることが大切です。

    六本木レディースクリニックは、不妊治療を専門とした実績のあるクリニックです。経験豊富なスタッフが成功までしっかりサポートします。また、夜間や休日診療もおこなっているので、忙しい方にも通院しやすくスケジュールが立てやすくなっています。不妊で悩まれている方、不妊治療を検討している方は、まずは相談してみてはいかがでしょうか。



    仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

    監修医情報

    六本木レディースクリニック
    小松保則医師
    こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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    経歴
    帝京大学医学部付属溝口病院勤務
    母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
    国立成育医療研究センター不妊診療科
    六本木レディースクリニック勤務
    資格・所属学会
    日本産科婦人科学会 専門医
    日本産科婦人科学会
    日本生殖医学会
    日本産婦人科内視鏡学会

    運営者情報

    運営クリニック 六本木レディースクリニック
    住所 〒106-0032
    東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
    お問い合わせ 0120-853-999
    院長 小松保則医師