胚凍結
手順や保存期間、
保存料、助成金について
※胚凍結は六本木院、池袋院
共に取り扱っております。
大切な受精卵を保存して
妊娠につなげる
胚凍結とは、複数の受精卵(胚)を良好な状態のまま長期保存する技術です。近年は凍結胚移植が主流となり、妊娠率の向上や身体的負担の軽減につながる方法として広く用いられています。
本ページでは、胚凍結の目的や方法、保存期間や更新手続き、リスクや費用についてわかりやすく解説します。
更新期限を過ぎると破棄される可能性があります。必ず期限内にお手続きください。
胚凍結とは?
胚凍結とは、体外受精や顕微授精で得られた胚を凍らせて保存する方法のことです。-196℃の液体窒素で凍結することで、細胞の化学反応が起きず、胚の状態をそのままに長期保存ができます。
日本産科婦人科学会の指針では、多胎妊娠防止のため、移植胚数は原則1回につき1個としています。そこで、採卵周期に複数の移植可能胚を得られた場合、次周期以降の移植のために凍結保存をすることで、希望する周期に融解して移植が可能になります。
参考:日本産科婦人科学会「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」

なお、卵子単体を凍結保存する「卵子凍結」とは異なり、「胚凍結」は卵子と精子が結合した受精卵(胚)を凍結するものです。
凍結胚移植と新鮮胚移植の違い
体外受精や顕微授精で受精卵(胚)を移植する際、胚凍結をする「凍結胚移植」と凍結をしない「新鮮胚移植」の2つの方法に分けられます。
凍結胚移植は、胚をいったん凍結させ、採卵とは別周期で胚移植をおこないます。一方、新鮮胚移植は、受精卵(胚)を凍結することなく採卵と同じ周期で胚移植をおこなう方法です。
現在は、凍結胚移植が主流となっています。2022年の日本産科婦人科学会のデータでは、体外受精または顕微授精を用いた出生児のうち、約94%が凍結胚移植児、約6%は新鮮胚移植児だったとされています。
参考:日本産科婦人科学会「2022年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
胚凍結をおこなう目的
胚凍結をすることで、より妊娠しやすい条件で胚移植ができ、妊娠率の向上につながります。実際に、日本産科婦人科学会のARTデータでは、凍結融解胚移植の妊娠率は新鮮胚移植と比較して高い傾向が示されています。これは、採卵周期と移植周期を分けることで、より適した環境下やタイミングで胚移植がおこなえるためと考えられます。
また、1回の採卵で複数の良好胚が得られた場合、余剰胚を凍結保存しておくことで、採卵を繰り返すことなく複数回の移植が可能になります。これにより、身体的負担の軽減や治療効率の向上にもつながります。
胚凍結をおこなうメリット
胚凍結には具体的に以下のようなメリットがあります。
子宮内膜の状態を整えてから移植できる
採卵周期とは別の周期で移植することで、子宮内膜環境を整えることができ、新鮮胚移植以上に高い妊娠率が期待できます。
採卵周期は排卵誘発剤の投与の影響で、子宮内膜の状態が自然妊娠の状態と異なったり、子宮内膜と胚の発育のタイミングにずれが生じたりするなど、妊娠に適した状態とはいえません。胚を凍結保存することで、子宮内膜環境が整った周期を選んで胚移植をおこなうことができ、妊娠率が高まります。
心身や金銭面の負担が軽減される
複数の良好胚を凍結保存することで、毎回採卵を繰り返すことなく、複数回の胚移植が可能になるため、身体的や精神的、経済的な負担を軽減できます。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の悪化を回避できる
排卵誘発剤を使用することで卵胞が多数できると、ホルモン値が高くなり、採卵後に卵巣が腫れるなど卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こし、卵巣が腫れやすくなります。
卵巣が腫れている状態の周期で妊娠すると、重症化するリスクがあります。そのため、採卵周期には移植せずに胚を凍結し、次周期以降の体調のよいときに延期することで、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の悪化を予防できます。
体外受精にともなう体調不良については、こちらの記事でも解説しています。
>「体外受精で下痢や体調不良が起きるのはなぜ?副作用はある?」を読む
保存した胚を次の不妊治療に使用できる
凍結した胚は、年齢に関わらず、原則として希望するまで保存を継続できます。保存した胚を融解すれば、第2子以降の妊娠を希望する際にも活用が可能です。
この場合、あらためて排卵誘発や採卵の必要がなく、胚移植から治療を開始できるため、身体的負担を抑えながら妊娠を目指せます。将来の妊娠機会を確保できる点も、胚凍結のメリットのひとつです。
凍結胚のグレードを評価する基準
妊娠の確率は移植された胚の質(グレード)によって変わります。 ただし、グレードはあくまで見た目の評価に基づく目安です。
グレードがよいからといって必ず妊娠するわけではなく、反対にグレードが低めであっても妊娠に至るケースは少なくありません。
胚の質の評価方法として、Veeck分類とGardner分類が挙げられます。
※当院ではこの評価方法を採用しておりませんが、ご自身の胚のグレードを把握する際の参考指標のひとつとなります。
初期胚の評価(Veeckの分類)
初期胚の評価には「Veeckの分類」という評価方法が用いられます。割球(細胞)の大きさが均一でフラグメント(細胞の断片)が少ないほど妊娠率が高いといわれています。Grade1がもっとも良好で、Grade3までが胚移植の対象となります。
Grade1

細胞の大きさが均等、フラグメントを認めない
Grade2

細胞の大きさが均等、フラグメントがわずかに存在
Grade3

細胞の大きさが不均等、フラグメントを認めないまたはわずかに存在
Grade4

細胞の大きさが均等または不均等、フラグメントが著しい
Grade5

フラグメントが特に著しく、細胞をほとんど認めない
ご自身で胚の評価を確認したい場合は、グレードの数字(1〜3)をチェックすると理解しやすいでしょう。
なお、3日間培養した時点で良好胚(Grade1または2)が3つ以上確認できた場合、胚盤胞まで継続して培養するのが望ましいといわれています。
胚盤胞の評価(Gardnerの分類)

胚盤胞の評価には「Gardnerの分類」という評価方法が用いられます。
胞胚腔の広がり具合と内細胞塊(ICM)、栄養外胚葉(TE)の細胞数や細胞同士の接着で評価されます。
Grade1
初期胚盤胞

胚盤胞腔が胚容積の半分以下
Grade2
初期胚盤胞

胚盤胞腔が胚容積の半分以上
Grade3
胚盤胞

胚盤胞腔が胚全体を満たす
Grade4
拡張期胚盤胞

胚盤胞腔容積がさらに拡張し、透明帯が薄くなりつつある
Grade5
孵化中胚盤胞

栄養外胚葉(TE)が透明帯から外に脱出し始めている
Grade6
孵化胚盤胞

胚が完全に透明帯から脱出したもの
Grade3以上では、内部細胞塊(胎児になる部分)と栄養外胚葉(胎盤になる部分)の状態をそれぞれ3段階(A~C)に分類します。
〈Grade3の場合〉
3AA

3BB

3CC

例えば、グレードが高い胚盤胞は「5AA」や「4AA」のように評価され、以下の項目を示します。
ただし「4CC」や「3CC」などのグレードが比較的低い胚であっても、妊娠できないわけではありません。あくまで妊娠の可能性の指標となり、得られた胚のなかから良好胚を選んで移植されます。
胚凍結の方法
当院では、胚凍結に超急速ガラス化保存法を採用しています。
超急速ガラス化保存法とは、胚を凍結のダメージから保護する凍結保護剤に浸したあと、ガラス化液に入れて脱水し、液体窒素に投入して凍結保存する方法です。

①胚を保護する
凍結によるダメージを防ぐため、胚を凍結保護剤に浸します。
②ガラス化液に移動させる
胚をガラス化液に投入します。
③胚の細胞内を脱水する
浸透圧を利用して、細胞内の余分な水分を脱水させます。これによって細胞内の水分子の結合を防ぎ、冷却しても氷の結晶はできません。
④液体窒素で胚を凍結する
胚をクライオトップ(棒状の専用器具)に乗せて、-196℃の液体窒素の中に投入し、瞬時に凍結します。
⑤液体窒素の中で胚を保存する
液体窒素の中で胚を保存します。-196℃の環境下では、胚の代謝・化学反応がほぼ完全に停止するため、長期間胚を変化させることなく保存できます。
凍結胚移植のスケジュール(ホルモン補充周期の場合)

凍結した胚は、胚移植の周期で融解されます。
以下の流れで胚移植をおこない、妊娠を目指します。
- 採血・超音波検査後、内服薬または貼り薬を開始(生理2〜3日目)
- 採血・超音波検査にて内膜の状態を評価後、黄体ホルモン補充開始(生理14〜18日目)
- 胚移植を実施(ホルモン補充6日目)※初期胚移植の場合は3〜4日目
- 血液検査で妊娠判定(胚移植から10日前後)
胚凍結は
六本木院、池袋院共に取り扱っております。
※六本木院、池袋院それぞれ予約フォームが異なりますので、
院をご確認の上、ご予約くださいませ。
胚凍結のリスク
採卵から移植まで期間を空ける必要がある
採卵後に胚を凍結する場合、採卵と同じ周期内で胚移植はできません。採卵周期の次周期以降に移植をおこなうため、最低でも1ヵ月程度は期間を空ける必要があります。
そのため、凍結せずに胚移植をする新鮮胚移植と比べると、妊娠成立までに時間がかかります。
体外受精の採卵についてはこちらの記事でも解説しています。
凍結・融解で胚が変性する可能性もある
凍結したすべての胚が必ずしも融解後に移植可能とは限りません。融解時、ごく稀に胚が変性してしまう可能性があり、移植がキャンセルとなる場合があります。
ただし、当院でも採用しているガラス化保存法では高い生存率があります。また、より多くの胚を凍結しておくことで、融解時の変性のリスクに備えられます。
凍結胚の保存期限と更新料について
当院の胚および精子の凍結保存期間や更新・更新料については、次のとおりです。
凍結保存期間
胚および精子の凍結保存期間は、凍結日より1年間となっています。その後、1年ごとに更新が必要です。
凍結保存の更新ルール
期限後も継続して凍結保存を希望する場合は、1年ごとに更新手続きが必須です。お手続きの受付期間は、更新期限の3ヵ月前から期限当日までとなりますので、期限前に申請書のご提出をお願いいたします。また、破棄を希望する場合も申請書のご提出が必要となります。
凍結保存の更新料
| 診療内容 | 自費診療費 (税込) | |
|---|---|---|
| 胚凍結保存料 | 2年目以降 33,000円 ×凍結本数 ※1年ごと更新 | +33,000円 |
| 精子凍結保存料 | 2年目以降 11,000円 ×凍結本数 ※1年ごと更新 | +11,000円 |
※費用はすべて税込価格です。
胚凍結の手続き方法
※六本木院、池袋院とで方法がことなりますので、
ご自身の通っている院の内容をご確認の上、ご対応ください。
六本木院でのお手続き
更新をご希望の場合
「更新料」、「申請書(署名、住所、電話番号、申請日の記入は必須)」を一緒にご持参ください。
窓口にて領収書を発行させていただき、手続きの完了となります。
お支払い方法は現金、クレジットカード、デビットカードよりお選びいただけます。
診療時間外ではお手続きはできませんので、診療時間内にご来院ください。
「更新料」、「申請書(署名、住所、電話番号、申請日の記入は必須)」を現金書留封筒(通常封筒不可)に同封して、当院宛に、現金書留郵便にてご郵送ください。
破棄をご希望の場合
破棄依頼書へご本人様、配偶者様の直筆で必要事項を記入いただき【送付先】住所へ郵送いただきます。
送付先・お問い合わせ先
〒106-0032 東京都港区六本木7-18-18
住友不動産六本木通ビル6F
六本木レディースクリニック 宛
六本木院 0120-853-999
受付時間:
9:00〜19:30(平日) / 9:00〜17:00(土・日・祝)
池袋院でのお手続き
池袋院で保存している凍結胚・凍結精子・凍結卵子のお手続きの受付期間は、更新期限の3ヶ月前から期限当日までとなります。
当院より凍結保存期限についての通知等はございません。ご自身でご確認の上、お手続きをお願いいたします。
破棄を希望する場合も申請書のご提出が必要となります。
全ての凍結物の更新を希望する場合
ホームページより更新申請書をダウンロードし、ご記入ください。※更新申請書は、署名、住所、電話番号、申請日の記入が必須です。記載漏れにご注意ください。
更新料と更新申請書を一緒にご持参の上ご来院ください。
- お支払い方法は現金、クレジットカード、デビットカードよりお選びいただけます。
- 「書類受取申請」の枠でご予約いただき診療時間内にご来院ください。
- 年末年始、および当院休診日、休診時間のお手続きはお受けできません。
更新料と申請書を 現金書留封筒(通常封筒不可)に同封して、当院宛に、現金書留郵便にてご郵送してください。
一部の凍結物の更新を希望する場合(胚のみ)
ご来院またはオンラインの培養士外来にて、更新する胚の選択を伺います。アイメッドにて「培養士外来」の枠でご予約ください。
※更新または破棄のお手続きには、ご夫婦2人のご署名が必要となります。 ご夫婦どちらか1人が来院手続きをされる場合は、ホームページより承諾書をダウンロードし必要事項を記載の上、必ずご持参ください。
更新や破棄に関する内容の相談も承っておりますので、ご希望の方は下記よりご予約くださいませ。
全ての凍結物の破棄をご希望の場合
ホームページより破棄申請書をダウンロードし、ご記入ください。
ご記入後、当院までご郵送いただくかご来院いただき受付までご提出をお願い致します。
送付先・お問い合わせ先
〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-19-5
Gビル南池袋01 8階
六本木レディースクリニック池袋院 培養室 宛
胚・精子・卵子に関するお問い合わせ
050-3773-5700(培養室)/受付時間:休診日を除く
13:00~16:00
料金・更新方法・予約に関するお問い合わせ
050-3773-7249(受付)
お手続きの共通注意事項について
- 申請書には、必ずご本人が直筆で署名し、捺印をお願いします。
- 胚と精子の凍結保存をされている場合は、それぞれの申請書が必要になります。
- 凍結物の凍結保存期限が異なる場合は、凍結保存期限ごとに更新手続き・更新料のお支払いが必要です。(六本木院のみ)
- 原則として期限を過ぎての手続きはお受け致しかねますのでご注意ください。期限内に凍結保存期限更新手続きをおこなわず、破棄となった場合の異議申し立ては一切受け付けません。
- ご夫婦が離婚されるか、どちらか一方が死亡された場合は、凍結胚の保存更新はできません。
- お手続きのない時は翌年に未更新分の請求がある場合があります。(池袋院のみ)
- 更新料のお支払後は理由の如何を問わず、返金致しかねますのでご了承くださいませ。
※(更新手続き後、旧更新期限までにその周期の胚を融解して移植を行った場合でも返金致しかねます) - 今後、海外へ長期間滞在予定のある方は早めに当院へご相談ください。(池袋院のみ)
胚凍結の更新・相談はこちら
※六本木院、池袋院それぞれ予約先が異なりますので、
ご注意ください。
胚凍結に関するよくある質問
精子の凍結保存は可能ですか?
男性側の都合で採卵日に精子を提出採精できない場合には、あらかじめ精子を凍結し保存しておくことができます。また、乏精子症の方や将来の精子形成障害に備えておきたい場合にも凍結保存が可能です。
なお、保存期間は1年となります。保存を延長される場合は更新手続きが必要になります。
胚凍結を受けるための助成金は申請できますか?
はい、可能です。東京都にお住まいの方は、2026年4月から拡充された新しい助成制度を利用できます。
これまでは先進医療のみが助成対象でしたが、新制度では保険診療で実施した「胚凍結」の自己負担分(3割)についても、10割が助成の対象となりました。
助成内容:
保険診療の自己負担分+先進医療の費用の合計を全額助成
(1回につき上限15万円まで)
対象範囲:採卵から受精・培養・胚凍結にいたるまでの一連の治療。所得制限: なし
その他注意点などは下記ページを参考ください。
凍結保存期限を過ぎた受精卵は破棄されますか?
凍結保存期限を過ぎた胚は破棄いたします。なお、期限内に凍結保存期限更新手続きをおこなわず、胚が破棄となった場合、異議申し立ては一切受け付けておりません。
監修医師紹介

私たちは「高水準の不妊治療を、多くの患者様に安心して受けていただけるクリニックでありたい」という思いがあります。ご夫婦が働きながら治療を継続できること、そして身体的・経済的負担を最小限に抑えることを大切に診療を行っております。
不妊治療は心身ともに大きなエネルギーを必要とするものです。だからこそ、卓越した技術と最大限の配慮を尽くし、夜間や休日診療などの通院サポートを通じて、その負担を少しでも軽減したいと考えています。
お一人おひとりに最適な治療をご提案し、皆様に「信頼され期待されるクリニック」として共に歩んでまいります。どうぞ安心してご相談ください。
- 経歴
- 帝京大学医学部付属溝口病院勤務
- 母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
- 国立成育医療研究センター不妊診療科
- 緑風荘病院 血液浄化療法センター
- 六本木レディースクリニック勤務
- 資格・所属学会
- 日本産科婦人科学会 専門医
- 日本産科婦人科学会
- 日本抗加齢医学会
- 日本産科婦人科内視鏡学会
主な学術研究・論文発表の実績
- 骨盤腹膜炎を生じた子宮内膜症性卵巣嚢胞の緊急手術予測
- 当院における腹腔鏡下手術に伴う合併症に関する検討
- TRUCLEAR (子宮鏡下手術システム)を用いた術後評価試験
- 子宮外妊娠治療における血中hCG値の相関研究
体外受精・不妊治療の六本木レディースクリニック


