目次
「体外受精」はどんな治療法?
体外受精は、一般不妊治療よりさらに高度な技術を要する生殖補助医療(ART)のひとつです。

卵子を採取して体外へ一度取り出し、精子をふりかけて受精させ、得られた受精卵(胚)をふたたび子宮内へ移植して着床・妊娠を試みる高度な不妊治療です。体外受精は年齢が高い方や、何らかの原因で一般不妊治療で妊娠に至らなかった場合に適応となります。タイミング法や人工授精より、高い妊娠率が期待できます。
体外受精の詳細はこちらも併せてご覧ください。
> 「体外受精(IVF)とは」を読む
体外受精における全年齢の妊娠率・生産率・流産率
体外受精の妊娠率はどのくらいなのでしょうか?妊娠できる確率は年齢にもよりますが、胚移植1回あたりの確率は全年齢平均で約40%とされています。
以下は、2023年の日本産婦人科学会のデータを参考に、体外受精における20〜50代を含む全年齢の妊娠率・生産率・流産率をまとめたものです。
| 項目 | 全年齢の平均数値(2023年) |
|---|---|
|
妊娠率/総ET (胚移植1回あたりの妊娠率) |
39.0% |
|
妊娠率/総治療 (治療周期ごとの妊娠率) |
20.6% |
|
流産率/総妊娠 (妊娠した症例のうち流産となった割合) |
26.0% |
|
生産率/総治療 (治療周期ごとの生産率) |
14.6% |
参考:公益社団法人日本産科婦人科学会「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
胚移植1回あたりの妊娠率は、先述のとおり40%弱となっています。一方で、治療周期あたりの妊娠率(妊娠率/総治療)では20%程度にとどまります。
「妊娠率/総治療」の数値が低くなる理由は、採卵できなかった周期や、胚が育たず移植できなかったケースなども分母に含まれるためです。ここでいう「総治療」とは、採卵から胚移植までを含む1治療周期のことを指します。したがって「妊娠率/総治療」は、胚移植まで進めた前提の数値と比べると低くなり、より現実的な妊娠率の指標ともいえます。
また、不妊治療のゴールは子どもを得ること(出産)であるため、生産率も注目すべき指標です。妊娠後の流産率は26%、最終的に出産まで至った確率は15%程度となります。これを踏まえると、体外受精は一般不妊治療よりも高い妊娠率が期待できる一方、1回の治療で必ずしも出産に至るわけではなく、複数周期を重ねて妊娠・出産を目指す必要があるといえます。
体外受精は何回目で成功する?累積妊娠率とは
累積妊娠率とは、複数回の体外受精・胚移植を通してどれくらいの割合で妊娠できるかを示す指標です。前項で紹介した確率は、胚移植1回または1治療周期あたりの数値を示していますが、必ずしも1回の治療で妊娠できるとは限りません。2〜3回、あるいはそれ以上治療を重ねて妊娠に至るケースは多くあります。
妊娠率は年齢や身体の状態によって異なるため、何回目で妊娠できるかを一概に示すことはできません。ただし統計上では、35歳未満の女性の場合、体外受精を3回実施した時点での累積妊娠率は約80%とされており、3〜4回目で妊娠に至るケースが多いとされています。
体外受精の年齢別の成功率
体外受精の成功率は、年齢が大きく関係します。以下は、日本産婦人科学会の2023年の年齢別のグラフです。特に30代後半になると成功率の低下が顕著になり、流産率(紫の線)は上昇していることがわかります。

出典:公益社団法人日本産科婦人科学会「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
以下では、日本産婦人科学会の2023年のデータをもとに、年齢別の胚移植1回あたりの妊娠率(各年齢の妊娠率を平均した参考値)についてご紹介します。
21~29歳の体外受精の成功率
20代の体外受精の成功率は、40%以上とされています。日本産婦人科学会の2023年のデータでも、21〜29歳の平均の妊娠率は50.59%であり、年齢別で最も高い傾向にあります。
また、妊孕性が高い20代では、不妊治療を受けずに自然妊娠で子どもを授かる方が約9割とされています。そのため、タイミング法や人工授精といった、自然妊娠に近い不妊治療も有効です。
20代の体外受精の成功率の詳細はこちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精の成功率は20代の方が高いの?」を読む
30~34歳の体外受精の成功率
30代前半の体外受精の成功率は、37%程度とされています。日本産婦人科学会の2023年のデータでは、30〜34歳で49.38%と40%以上の高い妊娠率が報告されています。
30代前半、特に33歳までを目安として、妊娠率は20代とほぼ変わらないといわれており、多少妊娠率は下がるものの、依然として高い成功率が期待できるといえるでしょう。
35~39歳の体外受精の成功率
30代後半の体外受精の成功率は、30%程度とされています。日本産婦人科学会の2023年のデータでは、35〜39歳で41.96%とされています。特に39歳では36.9%であり、30代前半と後半で妊娠率の低下が顕著に現れています。
35歳がひとつの目安とされており、身体の状態によっては人工授精をスキップして、体外受精からスタートする場合もあります。
30代の体外受精の成功率の詳細はこちらの記事でも解説しています。
> 「30代女性の体外受精での妊娠成功率はどのくらい?」を読む
40代の体外受精の成功率
40代の体外受精の成功率は、10〜30%程度で、20代・30代と比較すると低下傾向にあります。
日本産婦人科学会の2023年のデータでは、15.85%とされています。30代と同じく、40代前半と40代後半で成功率が異なります。40代前半では30〜20%であるものの、45歳以降では10%を下回る場合もあります。
40代での妊娠や出産も珍しくはありませんが、治療期間や通院回数は多くなる可能性があります。40代の体外受精で、複数回トライしても妊娠に至らない場合、顕微授精へのステップアップを早めに検討する場合もあります。
40代の体外受精の成功率の詳細はこちらの記事でも解説しています。
> 「40歳の体外受精での妊娠成功率は何%?」を読む
50代以降の体外受精の成功率
50代で妊娠した症例もありますが、確率としては大幅に低下してしまいます。また、高齢出産は母体に大きな負担がかかります。
閉経すると妊娠ができなくなるのが一般的で、日本人女性が閉経を迎える年齢は、平均50〜51歳です。
日本産婦人科学会の2023年の50歳以上の妊娠率は、5.1%と報告されています。
六本木レディースクリニックの実績
ここでは、当院の体外受精(生殖補助医療)の実績をご紹介します。
当院の治療実績(年間治療実施件数・妊娠率)
当院の直近2024年の生殖補助医療の実施件数は、以下のとおりです。
- 体外受精:69件
- 顕微授精:790件
- 体外+顕微授精:534件
以下の表では、胚移植1回あたりの妊娠率を胚移植の方法別にまとめています。
| 初期胚移植 | 胚盤胞移植 | 2段階胚移植 | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 周期数 | 143 | 1,723 | 40 | 1,906 |
| 平均年齢 | 41.5歳 | 36.6歳 | 41.8歳 | 37.1歳 |
| 妊娠周期数 | 26 | 843 | 11 | 880 |
| 妊娠率 | 18.2% | 48.9% | 27.5% | 46.2% (平均) |
治療を実施した平均年齢は37.1歳、全年齢の平均妊娠率は46.2%となりました。
全国平均と比較した年齢別の妊娠率
2023年度高度生殖医療妊娠率

| 年齢 | 日本産婦人科学会 (※1) |
六本木レディースクリニック (※2) |
|---|---|---|
| 〜29歳 | 48.6% | 52.7% |
| 30〜32歳 | 47.4% | 58.0% |
| 33〜35歳 | 44.1% | 55.4% |
| 36〜38歳 | 39.1% | 45.5% |
| 39〜41歳 | 30.3% | 37.9% |
| 42〜44歳 | 18.1% | 27.5% |
| 45歳〜 | 7.3% | 16.4% |
※1 出典:日本産科婦人科学会、2021年のARTデータブックのデータを使用。妊娠周期数/移植周期数より算出
※2 出典:六本木レディースクリニック「当院の治療実績」
上記は、日本産婦人科学会の2021年のデータと当院の治療における成功率(2023年)を比較したグラフです。
いずれの年代でも平均実績を上回る妊娠率を残しています。特に33〜35歳の妊娠率は、日本産婦人科学会の44.1%に対し、当院は55.4%と同年代平均実績の+11.3%を上回る結果となりました。
当院では、熟練した培養士によるきめ細やかな胚管理と最新設備による最適な培養環境に加え、一人ひとりの年齢や身体の状態に合わせた治療方針を徹底しており、これらが高い妊娠率につながっています。
年齢によって体外受精の成功率が変化するのはなぜ?
体外受精の成功率は、年齢に大きく関係しています。
その理由のひとつとして、加齢による卵子の質の低下や卵子の数の減少があげられます。
女性は生まれた時点で原始卵胞(卵子のもと)の数が決まっており、年を重ねるごとに卵子の数は減少していくのです。
また、年齢とともに卵子の質も低下していきます。生まれた時に卵子のもとはもうすでに存在しているため、20歳女性の卵子は20年経過した卵子であり、40歳女性の卵子は40年経過した卵子であるといえます。
つまり、卵子も年齢と同じく老化して衰えていくということになります。
このように卵子の数や質は年齢とともに下がっていき、着床率の低下や流産率の上昇につながります。これが体外受精の成功率が年齢により変化する理由です。
体外受精と顕微授精、成功率が高いのは?
日本産婦人科学会の調査によると、2022年の体外受精(IVF)の治療周期数は91,402件。顕微授精(ICSI)は187,816件で、顕微授精の件数が多い結果となっています。
成功率を直接比較する統計的なデータはありませんが、顕微授精のほうが妊娠率が高いとされているのが一般的です。
体外受精は、1個の卵子に約10万個の精子をふりかけ、精子が自力で受精します。一方、顕微授精は、1個の卵子にひとつの精子を直接注入して受精させる方法です。
良質な精子を選定して顕微鏡下で受精をサポートすることから、受精率は80%以上に達します。この高い受精率が、その後の妊娠率を向上させる理由のひとつと考えられます。
胚移植の方法で成功率は変わる?
体外受精と顕微授精の胚移植の方法には、主に「新鮮胚移植」と「凍結胚移植」の2つがあります。以下は、日本産婦人科学会の2022年のデータをまとめたものです。
妊娠に至る成功率は、凍結胚移植の方が高い傾向にあります。
| 新鮮胚移植 | 凍結胚移植 | |
|---|---|---|
| 治療周期数 | 279,218件 | 264,015件 |
| 妊娠数 | 6,885件 | 98,307件 |
| 移植あたりの妊娠率 | 21.9% | 37.9% |
参考:公益社団法人日本産科婦人科学会「2022年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
新鮮胚移植は、凍結せず採卵と同周期に子宮に移植する方法で、妊娠判定までの期間が短く、費用が抑えられるメリットがあります。ただし、採卵後は卵巣が刺激されているため子宮内膜の着床環境に影響を与える可能性があり、妊娠率は低くなる傾向にあります。
凍結胚移植は、受精卵を一度凍結し、別の周期で融解して移植する方法です。採卵周期とは別の周期で移植することで子宮環境が整い、妊娠率が高まるとされています。
ただし、凍結胚を融解する際に、まれに受精卵がダメージを受ける可能性などもあります。
凍結胚移植の妊娠率はより高い傾向にありますが、いずれもメリット・デメリットがあります。どの方法が合うかは患者さまによって異なるため、医師と相談のうえ適切な方法を選択する必要があるでしょう。
体外受精の成功率を高めるポイント
体外受精の成功率は年齢が大きく影響してしまいますが、成功率を高めるためにできることがあります。
基本的なことに思えるかもしれませんが、どれも重要な要素です。体外受精の成功率を高めるために、主に次のポイントを押さえておきましょう。
早めに計画を立てる
妊娠の成功率を上げるためにも、まずは早めに不妊治療の計画を立てましょう。やはり早いうちに不妊治療を始めるに越したことはありません。
「将来子どもが欲しい」と思ったら、パートナーがいる方はまず夫婦で話し合うことをおすすめします。
いつ頃までに子どもが欲しいのか、何人子どもが欲しいかなどを話し合うことで、どのタイミングで妊活や不妊治療を始めるかが見えてきます。
早めに計画を立てて準備しておくことで、適齢期を逃さず成功率を上げることにつながります。
体外受精のスケジュールについて詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
> 「体外受精のスケジュールは?流れをわかりやすく解説」を読む
最適な治療法を選択する
治療法の選択は、体外受精の成功率に大きく関わります。
体外受精の治療計画は、年齢や身体の状態によって一人ひとり変わります。卵巣刺激法や胚移植の方法など、さまざまな選択肢があるなか最適な方法を選択することが、成功率を高めることにつながります。
生活習慣を整える
不規則な生活習慣は、成功率の低下につながる可能性があります。過度な飲酒、喫煙、寝不足、過度なストレス、食べ過ぎなどは禁物です。
生活習慣を整えるだけで成功率を劇的に高めるのは難しいですが、不妊治療に加え、健康的な身体づくりをすることで、成功率の低下やリスクを回避できるでしょう。
回数を重ねても妊娠しない可能性があることを知っておく
1回目の体外受精で妊娠に至らない場合、何度か治療を繰り返すことになります。
体外受精は基本的に回数を重ねると妊娠する割合が高まり、特に4回目までに妊娠する割合が高いようです。ただし年齢が上がるにつれて成功率が変わってきます。
何度繰り返しても妊娠しない場合は次のステップへ移るのも手です。また妊娠率を高めるためには、年齢によって何回までを限度に考えるかがポイントになってきます。
信頼できるクリニックに相談する
体外受精による不妊治療は長期に渡り、通院回数も増える傾向にあります。
普段の生活や仕事を両立しながら不妊治療を継続するには、無理のない治療計画が必要であり、治療を成功させるカギです。
体外受精は医師と患者さまとの二人三脚といえます。
信頼できるクリニックを選んで相談することが、ひいては不妊治療の成功につながるでしょう。
六本木レディースクリニックは、不妊治療・体外受精専門のクリニックです。患者さま一人ひとりのライフスタイルに合わせた、完全オーダーメイドの治療計画をご提案しています。看護師による無料相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
体外受精の成功率に関するよくある質問
体外受精の成功率に関するよくある質問をご紹介します。
体外受精を繰り返すと妊娠確率が下がる?
体外受精は4回までを目安に妊娠確率が高まる傾向にあります。5回目以上で妊娠しない場合、他の治療法を検討した方がよい場合があります。
体外受精は双子を妊娠する確率が高い?
35歳以上の女性、または体外受精で2回連続して妊娠に至らなかった場合、2つの胚を移植することが許容されています。そのため、2つの胚を移植した場合、双子を授かる可能性が高まるといえます。
双子を授かる確率については、こちらの記事でも解説しています。
> 「双子を授かる確率は?不妊治療や体外受精は多胎妊娠しやすいって本当?」を読む
体外受精は早産・流産の確率が自然妊娠よりも高い?
早産・流産の確率は、自然妊娠と大差はありません。体外受精の治療自体に、早産・流産リスクを上げてしまう原因はなく、年齢による要因が大きいとされています。
体外受精の流産率に関しては、こちらの記事でも解説しています。
> 「体外受精と自然妊娠の流産率に差はある?不妊治療と流産の関係」を読む
体外受精の成功率を高めるためにできることは?
適切な治療の選択、生活習慣の改善、信頼できるクリニック選びなどが体外受精の成功率を高めることにつながります。
体外受精の専門院なら六本木レディースクリニック
体外受精の成功率は年齢によって変化し、一般的に年齢が若いほど妊娠に至る確率は高まります。20代〜30代前半までは比較的高い妊娠率が期待できる一方、35歳以降から徐々に低下する傾向にあります。
そのため、早めに不妊治療を検討することが、成功率を上げることにつながります。不妊治療に加えて生活習慣を改善することも重要です。
当院の2023年の治療における妊娠率は、20代〜30代前半で50%以上、30代後半でも45%以上の高い実績を残しています。体外受精をはじめとした不妊治療を専門に、患者さまに合わせた無理のない治療計画をご提案します。「将来子どもが欲しい」とお考え中の方は、実績と信頼のある当院にお気軽にご相談ください。


