不妊治療に関する用語集

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あ行

一般不妊治療

一般不妊治療とは、タイミング法、人工授精で妊娠を目指す治療のこと。

IMSI

通常の ICSI は顕微鏡の倍率を 400 ~ 600 倍にして行いますが、 IMSI ( intracytoplasmic morphologically selected sperm injection )では最大で約 3600 倍の高倍率で精子を観察することが可能。精子を高倍率で見ることで精子の頭部、頚部、中片部、尾部、終部そして頭部にある空胞(抜けている部分)を確認することができる。

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か行

カウフマン療法

無月経や不正出血、月経困難症の治療法のこと。
卵胞期に関与する卵胞ホルモン ( エストロゲン ) を投与し、次に黄体期に関与する卵胞ホルモンと黄体ホル
モン ( プロゲステロン ) を投与することで、正常月経周期に似た環境を作り、周期的に月経を起こす。

基礎体温

基礎体温(Basal Body Temperature:BBT)とは、基礎代謝が行われている状態のときの体温。
普通は朝、目を覚ました直後に舌下で計る。
排卵日の予測や黄体機能、妊娠の診断の指標となる。
正常の場合、低温相と高温相の2相性を示す。

低温相(卵胞期)

月経開始から排卵までの時期を示す。
卵胞ホルモン(エストロゲン)が関与しており、卵胞の成熟・排卵促進・子宮内膜増殖に関わる。

高温相(黄体期)

排卵から次の月経までの時期を示す。
黄体ホルモン(プロゲステロン)が関与しており、卵胞の発育抑制・子宮内膜肥厚・妊娠持続に関わる。

クロミフェン

排卵誘発剤の一種。
脳下垂体から放出される卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)は卵胞を刺激して卵胞ホルモン(エストロゲン)の放出を促す。卵胞ホルモンとは排卵促進に関わるホルモンで、クロミフェンはこの卵胞ホルモンの働きを抑制することで卵胞刺激ホルモンや黄体化ホルモンの放出を促し、排卵を促進する。
クロミフェンの副作用には長期服用することにより、頸管粘液の減少・子宮内膜が薄くなる傾向がある。

顕微授精

顕微授精とは卵細胞質内精子注入法 (Intracytoplasmic Sperm Injection:ICSI)のこと。
体外受精で受精しない場合や、男性不妊が原因と考えられる場合に適応となる。
顕微授精では、精液中に精子が少ない場合でも受精させることが可能となり妊娠例も多数報告されている。

抗精子抗体

主に頚管粘液で起こる精子に対するアレルギー反応のこと。
精子の受精能や運動能が阻害されるため、抗精子抗体が強陽性の場合は生殖補助医療(ART)が適応となる。

高プロラクチン血症

プロラクチンとは乳汁分泌ホルモンのことで、通常妊娠すると高濃度になる。
しかし、妊娠していない状態で高濃度になると、FSH、LHの作用が阻害され卵巣機能が低下し、排卵が遅れたり黄体機能不全が起こるなど妊娠が成立しにくくなる。

抗ミュラー管ホルモン

抗ミュラー管ホルモン(Anti-Mullerian hormone: AMH)とは、卵胞から分泌されるホルモンである。
卵巣内に残されている卵子の数を反映するホルモンであり、女性の卵巣年齢を知る指標とされている。従来から用いられてきたFSH(卵胞刺激ホルモン)に比べて月経周期や薬の変動の影響を受けづらく、女性の卵巣年齢を知ることができる。
AMHは女性の年齢とともに低下するが、全く妊娠できないというわけではない。

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さ行

採卵

体外受精や顕微授精のために卵巣内の卵胞から卵子を体外へ取り出すこと。
経腟超音波下で膣壁から卵胞に針を刺し、卵胞液ごと卵子を採取する。

子宮外妊娠

子宮腔内の粘膜以外に受精卵が着床してしまうこと。異所性妊娠と言われている。
ほとんどが卵管内での妊娠だが、卵管の付け根や子宮頸管で妊娠が成立することもある。

子宮筋腫

子宮の筋組織から発生し、女性ホルモン(エストロゲン)の働きによって発育する良性腫瘍。
発生部位により受精卵の着床障害や精子の上昇遅延、卵管の通過障害などを起こし、不妊の原因となる。

子宮内膜症

子宮内膜の組織が卵巣や卵管など子宮腔内以外のところに発生し、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激を受けて増殖する疾患のこと。
強い月経痛や過多月経などの症状があり、不妊の原因となる。

受精

卵子と精子が合体し、父親の遺伝子と母親の遺伝子の接合のこと。
受精は卵管膨大部で起こる。

受精障害

卵子に対して十分な量の精子がいるにも関わらず、受精が上手くいかないこと。
顕微授精や卵子の活性化処理で改善される場合がある。

人工授精

排卵日にあわせて良好な運動精子を直接子宮腔内に注入する一般不妊治療の一種。
夫婦生活に問題がある・ヒューナーテスト結果が悪い・軽度の男性不妊・原因不明などの場合が適応になる。
人工授精には夫の精子を使用する「配偶者間人工授精(AIH)」と夫以外の精子提供者の精子を使用する「非配偶者間人工授精(AID)」の2種類ある。

精液検査

採精した精液を、目視で精液の量・粘性を調べ、顕微鏡下で精子の数・運動率・奇形率を調べること。

精子無力症

精液中に精子は存在するが、その運動率が50%未満のこと。

造精機能障害

精子を作る機能に問題があり、精子の数が少なかったり動きが悪かったりする。

乏精子症

精液1ml中に精子が二千万未満の状態のこと。

無精子症

精液中に精子が存在しないこと。非閉塞性無精子症と閉塞性無精子症がある。

非閉塞性無精子症

精子輸送路は通っているが造精機能に問題があり、精液中に精子が存在しないこと。
原因は不明だが、クラインフェルター症候群の人にみられることがある。

閉塞性無精子症

造精機能に問題はないが精子輸送路が詰まることが原因で、精液中に精子が存在しないこと。
原因としては精管欠損症や両側精巣上体炎、パイプカット・鼠径ヘルニアの手術後 などによる。

精索静脈瘤

精管の周りの静脈が拡張し、コブのようになる状態のこと。精巣からの血流が阻害されたり、静脈の血液が逆流して精巣に有害物質が入り込み、造精機能を悪くしたりする。比較的左側の精巣に多く起こる。

生殖補助医療

生殖補助医療(Assisted Reproduction Technology:ART)とは、精子や卵子に人為的な操作を加え、妊娠を手助けする一連の技術の総称。体外受精や顕微授精がある。

精巣内精子回収法

精巣内精子回収法(Testicular Sperm Extraction:TESE)とは、精巣を切開して精巣組織の一部から精子を採取する技術。閉塞性無精子症に対して行われる。

接合子卵管内移植法

接合子卵管内移植法(Zygote Intra-Fallopian Transfer:ZIFT) とは、体外受精、または顕微授精による受精卵を前核期胚の状態で卵管内に移植すること。

早発卵巣機能不全

早発卵巣機能不全(Premature Ovarian Failure:POF)とは、40歳以前に卵胞が消失し閉経してしまうこと。
原因は不明であるが、自己免疫疾患や染色体異常などがある。症状は無月経・月経周期が長くなるなど。

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た行

体外受精

体外受精(Conventional In Vitro Fertilization:C-IVF)とは、採卵した卵子に調整した精子を媒精し、受精させること。卵子1個に対し、5万~10万個の精子が必要とされる。

タイミング法

一般不妊治療の一種。
自然周期もしくは排卵誘発剤を使用して、医師の診断をもとに排卵日の予測を立て、それに合わせて夫婦生活をもつこと。

多嚢胞性卵巣症候群

多嚢胞性卵巣症候群(Polycystic Ovarian Syndrome:PCOS)とは、卵巣を覆う膜が厚く硬いため、卵子が排卵しづらくなり、卵巣に卵胞がたくさんできてしまう状態のこと。
FSHよりもLHの濃度が高くなる。排卵誘発を行った際には、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や多胎妊娠のリスクが高まる。

男性不妊

男性不妊には、先天性と後天性のものがあり、先天性の男性不妊の原因は、様々な遺伝的要因や、発育段階で受けた影響等で、性機能不全になるもの。
後天性の男性不妊の原因は、ストレス、アルコール、喫煙、精巣の損傷もしくは機能障害など様々なものが考えられる。
男性側に原因がある場合は、不妊全体の4~5割を占めるとされている。

着床

受精した胚が細胞分裂を繰り返しながら胚盤胞となり、子宮内膜と結合すること。

超音波検査

超音波を用いて体内を診察する方法のこと。不妊治療においては一般的に経腟超音波検査が行われる。経腟超音波検査では、卵巣・卵胞の状態、子宮・子宮内膜の状態などが調べられる。

凍結保存

受精し発育した胚を液体窒素の中で凍結保存すること。
胚移植後の余剰胚の有効利用や、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の重症化の予防、着床率・妊娠率の向上に用いられる。

な行

2段階胚移植

同じ移植周期の中で、2~3日目に初期胚を、5日目に胚盤胞を移植する方法のこと。
良好胚を移植したにもかかわらず、妊娠に至らない場合に行われる。胚移植が原則的1個に限定された現在は、反復胚移植不成功例や高齢者に限られて行われる。

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は行

胚移植

胚移植(Embryo Transfer:ET)とは、受精後2~3日目の初期胚もしくは、5~6日目の着床直前の胚盤胞を移植すること。

配偶子卵管内移植

配偶子卵管内移植(Gamete Intra-Fallopian Transfer:GIFT)とは、それぞれの配偶子である卵子と精子を同時に卵管内に移植すること。

胚盤胞

受精後5~6日目に観察できる着床直前の状態の胚。
この時期になると、将来胎児になる内細胞塊と胎盤になる栄養外胚葉に分かれる。

排卵障害

卵巣中の卵胞が成熟しなかったり、成熟しても排卵しなかったり、排卵しないまま黄体形成が起きたりすること。不妊の原因の一つ。

排卵誘発剤

排卵を促進する薬のこと。内服薬にはクロミッド・セキソビット・レトロゾールなど、注射薬にはhMG・hCGなどがある。

ヒューナーテスト

頚管粘液を採取し、その中にある精子の状態をみる検査のこと。排卵直前に夫婦生活をもってもらい、その3~5時間後に検査を行う。精子が確認できない場合・無精子症や抗精子抗体が疑われる。

不育症

妊娠はするが胎児が育たず、流産や早産を繰り返すこと。出生後1週間以内に死亡する周産期死亡も不育症に含まれる。

孵化促進法

孵化促進法(Assisted Hatching:AHA)とは、胚移植前に透明帯を開孔、あるいは薄くして、胚が透明帯から脱出しやすくすること。
透明帯が厚い場合や良好な胚を移植しても着床しない場合に、着床する可能性を高めるために行われる。

不妊症

生殖年齢に達した男女が妊娠を希望して1年以上夫婦生活をもっているにもかかわらず、妊娠に至らない場合のこと。
不妊症には、1度も妊娠を経験したことがない原発性不妊症と、妊娠経験はあるもののその後妊娠に至らない続発性不妊症の2通りある。

紡錘体可視化装置

紡錘体可視化装置(RoboPorlar)とは、特殊なレンズとフィルターを用いて卵細胞質内にある紡錘体(染色体を包んでいる細胞小器官)の有無を確認するための装置のこと。
顕微授精では、卵子に直接針を刺して精子を入れるため紡錘体を刺してしまう恐れがある。
紡錘体可視化装置を用いることで、安全に顕微授精を行うことが可能である。

ま行

未成熟体外培養法

未成熟体外培養法(In Vitro Maturation:IVM)とは、未成熟な卵を体外で培養して成熟させること。

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ら行

卵管疎通性検査

卵管のつまりや癒着をみる検査で、子宮卵管造影(HSG)などがある。

卵丘細胞

卵丘細胞とは卵子を直接覆う細胞層のこと。
卵丘細胞は卵子の発達、成熟、受精を制御する重要な機能を担っている。

卵巣過剰刺激症候群

卵巣過剰刺激症候群(Ovarian HyperstimulationSyndrome:OHSS)とは、排卵誘発剤による副作用の一つ。
排卵誘発剤により多数の卵胞ができることで卵巣が腫大したり、卵巣の毛細血管が活発になり、そこから水分が流出することで腹水がたまったり、血液が濃縮して血栓ができたり乏尿になったりする。

卵巣刺激

通常月に1~2個排卵するが、排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激し、月に8~10個の多数の卵を育てて採卵する。体外受精や顕微授精の際、多数の卵を採取し受精させ、その中で質の良い受精卵を選択して移植することで妊娠率が高まると考えられている。

卵胞

卵巣の中で卵子を包んでいる袋のこと。
卵胞の中は卵胞液で満たされており、その中に卵子が存在する。排卵時には卵胞の直径が18~20mmになる。

流産

妊娠 22 週未満で妊娠の継続が終結すること。

稽留流産

腹痛や出血など自覚症状がみられず、胎嚢は存在するが胎児の心拍がない状態で、妊娠は中断している。

切迫流産

下腹部痛や不正出血など流産の兆候はみられるが妊娠は継続しており、出産の可能性もあること。

反復流産

2回続けて流産すること。

習慣性流産

3回以上続けて流産すること。

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監修医師紹介

小松 保則

六本木レディースクリニック

小松 保則医師

(こまつ やすのり/Yasunori komatsu)

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  • 経歴
  • 帝京大学医学部付属溝口病院勤務
  • 母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
  • 国立成育医療研究センター不妊診療科
  • 緑風荘病院 血液浄化療法センター
  • 六本木レディースクリニック勤務
  • 資格・所属学会
  • 日本産科婦人科学会 専門医
  • 日本産科婦人科学会
  • 日本抗加齢医学会
  • 日本産婦人科内視鏡学会

体外受精・不妊治療の六本木レディースクリニック