一般不妊検査

一般不妊検査を受けるべき方とは?

避妊をせずに自然な性交渉があっても1年以上妊娠しない場合は、不妊症の可能性を考えて、一般不妊検査を受けることを考えてみましょう。通常、避妊をしていない場合、1年以内に8割の方が妊娠するといわれています。

また、妊娠のしやすさは女性の年齢が大きく関係しており、20代後半になるにしたがって、妊娠する確率は下がっていきます。年齢が高い場合には、不妊の期間が1年未満であれば検査を受けるのをおすすめします。例えば35歳以上の方は、不妊期間が6ヵ月以上になった場合には、検査を受けるようにしましょう。特に30歳代後半になると、年々妊娠しにくくなります。30歳以上で将来子供を持ちたいという希望のある方は、たとえ未婚でも妊娠できる身体であるか検査してみるのもよいでしょう。

その他、女性では、月経不順や無月経などの月経周期の異常、子宮筋腫などの子宮の病気、重度の子宮内膜症、性感染症や骨盤内感染症、卵巣手術、抗がん剤や放射線治療の既往、男性では、大人のおたふくかぜ、精巣の手術の既往、性機能障害など、いずれも不妊症のリスク因子となります。少しでも不安のある方は、不妊の期間に関わらず早期に検査を受け、必要があれば治療を開始することが妊娠につながります。

不妊症の原因

不妊症の原因は、ひとつではありません。妊娠が成立する過程において、いくつもの因子が重複して関わっている場合や、明らかな不妊の原因がわからない場合もあります。妊娠が成立する過程で不妊になる原因のうち、「排卵に問題がある」「卵管に問題がある(卵管の閉塞や癒着があり、通っていない)」「男性に原因がある(精子が作れない、勃起や射精ができない性機能障害、精子の通過障害など)」の3つが大きな原因といわれています。

妊娠が成立する過程は、以下のようになります。

①卵巣から卵子が排卵される
②卵管内で精子と受精し受精胚になる
③成長した受精卵が卵管を通って子宮に移動する
④子宮内膜に着床する

これらの過程において、排卵していること、卵管が通っていること、精子の数が十分であることが妊娠の大前提となります。

このうちひとつでも問題があると、妊娠しにくく不妊になりやすいといえます。
これらの原因以外でも、受精胚の発育や着床、着床後の胚発達など、妊娠の経過においてひとつでもうまくいかないと不妊の原因になるのです。妊娠が成立する過程において女性が担うプロセスは多いため、不妊の原因は女性側にあるとみられがちです。しかし、WHO世界保健機構によると、女性だけではなく男性にも不妊の原因があるとされています。

参考:公益社団法人 日本WHO協会「不妊」

不妊症の原因について詳しく知りたい方は、「不妊症とは」をご覧ください。

当院の一般不妊検査の種類と目的

ここでは、六本木レディースクリニックで行っている一般不妊検査について、検査の種類と目的を説明します。今後、不妊治療を受ける方に必要な検査です。

一般不妊検査の費用については、【公式】不妊治療・体外受精の費用や料金について(東京)│六本木レディースクリニックをご覧ください。

女性の検査

当院で行っている、女性のための一般不妊検査は下表のとおりです。

基礎ホルモン検査卵巣の働きや、排卵障害の原因となるホルモンを調べる検査。
・FSH(卵胞刺激ホルモン):脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン。卵巣に働き卵胞を発育させる。(基準値; 2.0~8.3mIU/ml)
・LH(黄体化ホルモン):脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン。排卵を起こし、黄体を形成する。(基準値; 0.8~5.7mIU/ml)
・PRL(プロラクチン;乳汁分泌ホルモン):妊娠・分娩後に下垂体から分泌される乳汁の分泌を促進させるホルモン。妊娠・分娩後以外で高値の場合、排卵障害の原因。(基準値; 6.1~30.5ng/ml)
・E2(エストラジオール; 卵胞ホルモン):卵巣から分泌されるホルモン。卵胞の発育や子宮内膜の増殖などを評価する。(基準値; 19.0~51.0pg/mL)
超音波検査経腟的に膣内にプローブを挿入し観察する。
子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などの診断を行う。
子宮内膜の厚さ、卵胞の発育程度を観察する。
尿中LH検査排卵時期を予測するための尿検査。
卵管通水検査卵管の通過性を見る検査。X線下での検査ではないため、被曝や造影剤によるアレルギーのリスクがない。
性交後検査
(フーナー検査)
女性の頸管粘液と精子の適合性を調べる検査。
排卵数日前~排卵日頃の検査当日早朝か前夜に性交渉を行い、子宮口入口や子宮頸管内の粘液を採取。
顕微鏡下で頸管粘液中の精子の動きや数を観察する。複数回検査を繰り返して診断することもある。
高温期採血黄体機能の検査。
高温期7日目前後(6~8日目)に採血し、黄体ホルモン(プロゲステロン、PRG)、卵胞ホルモン(エストラジオール、E2)を測定する。低値の場合は子宮内膜が正常に厚くならないため受精卵の着床障害や初期流産の原因になる。
甲状腺機能検査FT3、FT4(2種類の甲状腺ホルモン)および、TSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定。甲状腺機能異常があると、排卵障害や不育症の原因になる。
抗ミュラー管
ホルモン(AMH)
発育過程の卵胞から分泌されるホルモン。AMH濃度により今後発育する可能性のある卵胞の数を測定し、卵巣予備能の指標とする。
抗精子抗体血液検査で、精子が体内に入ることで女性にできた抗体を調べる。抗体により精子が動かなくなることがあり免疫性不妊症という。複数回のフーナー検査不良の場合、早急に検査を行う。
風疹検査妊娠中の風疹感染症による、先天性風疹症候群の予防のため、不妊治療前に風疹抗体価を測定し、不十分であればワクチン接種がおすすめ。
感染症採血院内感染予防のために必要な検査。
梅毒(RPR法、TPHA法)、B型肝炎、C型肝炎、HIVなど、妊娠や胎児に影響のある感染症の有無を検査する。
クラミジア
抗原検査
最も一般的な性感染症で、感染すると不妊の原因になる頸管炎、卵管の癒着や閉塞などを発症するため、卵管通水検査前に実施し、感染の有無を調べる。
子宮頸がん検査子宮頸がんを発症している場合には、がんの治療を優先。前がん状態で不妊治療を開始するとがんが進行する可能性があるため、子宮頸がん検査を行う。
子宮鏡検査超音波検査、子宮卵管造影検査で子宮腔内に異常がある場合に行う検査。子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫は不妊の原因になるため、必要があれば手術が必要。
選択的
卵管通水検査
卵管通水検査で卵管の閉塞や狭窄が疑われた場合に、子宮鏡下で卵管に生理食塩水を注入して卵管の通り具合を診る検査。

男性の検査

当院で行っている、男性のための一般不妊検査は下表のとおりです。

精液検査3~7日間の禁欲期間(射精しない期間)後に精液を採取する。精液量、精子濃度、精子運動率、奇形率、白血球数を調べる検査。検査結果によっては人工授精や体外受精・顕微授精などの治療が必要となります。
精子DFI検査一般的な精液検査では分からない、精子の機能や質を調べる検査。
生活習慣の改善や抗酸化剤などの服用により、精子のDNA損傷が改善する可能性があるため、今後の治療方針を立てるための指標となります。
※精液検査3,300円(税込)とセットで行う検査となります。
※精液検査の所見によっては、精子DFI検査を行えない場合があります。
感染症採血院内感染予防のために必要な検査。
不妊の原因となる梅毒やHIVなどの性感染症や、B型肝炎、C型肝炎などの感染症を調べる。

その他の検査のご案内

六本木レディースクリニックでは、一般不妊検査に加えて、不妊ドック、AMH外来、不妊治療のアレルギー検査をご用意しています。それぞれの検査内容を紹介します。

不妊ドック

不妊ドックは、妊娠できる身体の状態であるか、不妊の原因となるリスク因子の有無を調べる検査です。すぐに妊娠を考えていない方でも、必要があれば妊活に備えて治療をしたり、妊娠しやすい身体に整えたりすることにつなげられるので、将来子供が欲しいと思っている方におすすめです。

当院には、「はじめての不妊ドック」と「しっかり不妊ドック」の2つのコースがあります。保険適用ではないため、全額自己負担となります。

詳しい検査内容と費用については、「不妊ドック」のページをご覧ください。

AMH外来

AMH外来では、血液検査で抗ミュラー管ホルモン(AMH)の値を調べる、いわゆる「卵巣年齢検査」と呼ばれる検査をおこないます。

女性が一生で排卵する卵子の数はおおよそ決まっていて、400~500個と推定されています。生まれたときから持っている卵子の元になる卵母細胞は、一定の割合で成熟して卵子となり、約28日周期で排卵されます。卵子の数は閉経に向かって年齢とともに減っていき、増えることはありません。AMHは、卵巣内にどれだけの卵子が残っているのかの目安になるものです。

AMH値が低ければ残っている卵の数が少ないことが予測できますが、低いからといって妊娠できないわけではありません。

AMH外来では、専門医がAMH値を指標として妊娠しやすさを評価し、不妊治療につなげます。

AMH外来について詳しく知りたい方は、「AMH外来(アンチミューラリアンホルモン)」をご覧ください。

不妊治療のアレルギー検査

不妊の原因は、必ずしも明らかになるとは限りません。当院では、原因不明の不妊検査のひとつとして、39種類のアレルギー物質に対する検査をご用意しています。

アレルギー反応は花粉症や喘息などが一般的ですが、現在、症状があらわれていないアレルギー物質がないかを特定する検査をおこないます。妊娠前から妊娠後までの体調管理につなげる目的があります。

不妊治療のアレルギー検査について詳しく知りたい方は、「不妊治療のアレルギー39検査」をご覧ください。

検査後はどう過ごせばよい?

検査後、不妊の原因が特定できた場合には、結果に応じた治療法を専門医が説明します。原因がわからなかった場合でも、妊娠しやすい方法にチャレンジし、不妊治療の方法をステップアップします。パートナーと相談のうえ、治療方法を選択し、妊活を開始しましょう。

原因が特定できた場合

不妊原因によって、以下のように治療方法が異なります。専門医と相談して治療法を決めていきましょう。

不妊の原因治療法
排卵障害排卵誘発法とタイミング法や人工授精の併用
卵管狭窄・閉塞卵管形成術(FT)または体外受精
子宮内膜症腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術後、タイミング法・人工授精・体外受精
乏精子症人工授精、体外受精、顕微授精など
無精子症精管閉塞には精路再建手術
精巣精子採取術と顕微授精の併用
勃起障害・射精障害勃起障害治療薬など、人工授精

原因が特定できなかった場合

医師の指導のもと、排卵と受精を助ける方法を数周期ずつ試みます。妊娠しない場合には、治療方法がステップアップしていきます。排卵と受精を助ける方法には、次のような方法があります。

タイミング法基礎体温表をもとに、ホルモン検査、超音波検査による卵胞モニター、尿中LH測定、排卵日を特定し性交渉をもつ方法。
人工授精精液をマスターベーションで採取し、最も妊娠しやすい時期に子宮内に注入する自然妊娠に近い方法。 女性に排卵誘発法をおこない、併用することもある。
生殖補助医療(ART)卵巣から採取した卵子と精子を培養液の中で受精させる方法。
受精成立後、受精胚を子宮に移植する。

一般不妊検査に関してよくある質問

どの時点で不妊検査を受けるべきでしょうか?

避妊をせずに性交渉をしても1年以上妊娠しない場合、不妊症検査を受けることを考えてみましょう。年齢とともに妊娠しにくいとされているため、年齢が高い場合には1年を待たずに半年を目安に検査を受けてください。また、妊娠しにくいリスクのある方は年齢に関わらず、妊娠できる身体であるか、一度検査してみるとよいでしょう。また、不妊検査はパートナーと一緒に受けることをおすすめします。

一般不妊検査の種類別の費用が知りたいです。

一般不妊検査の費用は、検査の種類によって異なり、保険適用の検査と、全額自己負担の検査があります。費用が高額になる場合もありますので、かかりつけの医療機関に相談することをおすすめします。

当院の一般不妊検査の費用について詳しく知りたい方は、「不妊治療・体外受精の費用や料金について(東京)」をご覧ください。

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