目次
卵子凍結とは、人工的に採卵し、卵子を凍結させた状態で保存することです
不妊治療において、卵子凍結が用いられる場合もあります。
卵子凍結とは、排卵誘発剤で排卵を促し、取り出した卵子を液体窒素で凍らせ、専用容器で長期間保存する方法のことです。
卵子は加齢と共に劣化し、妊娠しても流産などが発生しやすいと言います。
質のよい若い卵子を凍結保存しておくことで、こうしたリスクの軽減に役立つのです。
また不妊治療における採卵を行った際の体への負担を軽減することも可能ですし、卵巣機能の低下の予想される方が卵子凍結しておくことで、治療後も妊娠の希望が持てるといったメリットもあります。
採卵して凍結させることで、質を保ったまま保存できます
卵子凍結とは、女性の卵巣から人工的に卵子を取り出し、凍らせた状態で保存することです。
国内では、排卵直後の成熟卵子を採取し、-196℃の液体窒素で急速冷凍させる方法が用いられています。
卵子の細胞活動は-190℃下では停止するため卵子を老化させず、なおかつ傷つけることなくそのままの状態で長期間保つことができるのです。
加齢により妊娠率が低下するほかに、妊娠しても流産や染色体異常などの発生率が増える可能性があります。
晩婚化が進み、高齢出産が増えているため、20代で妊娠、出産を迎えるという女性も減少する傾向にあるのです。
20代の卵子が健康なうちに採取してそのままの保存しておくことで、30代や40代になって妊娠を望む環境になった時に流産や染色体異常の発生リスクを下げることに役立つと期待されています。
そのため20代でも卵子凍結を望むという方が増えているのです。
卵子凍結は不妊治療のほかにがん治療などを控える女性の助けになります
卵子凍結は、不妊治療でも用いられることがあります。
不妊治療の中でも、体外で卵子と精子を受精させて、受精卵を体内に戻す体外受精では、受精卵が着床、妊娠が成立するまで数回採卵を行うという方もいるのです。
採卵は少なからず費用や体への負担もある上に、治療のペースが遅いと、卵子がどんどん老化して、その間に質が落ちて妊娠しにくくなる可能性があります。
しかし早めに卵子凍結を行い、保存しておくと時間が経過しても状態のよい卵子を体外受精で使うことができるというメリットがあるのです。
またがんなどの病気で治療中の方も卵子凍結を行うことができます。
抗がん剤や放射線治療の影響で排卵機能がうまく働かなくなると言われています。
治療の前に卵子凍結保存をしておけば、罹患後の妊娠を望める可能性があるのです。
2018年9月現在まで、卵子凍結に関しての法律はありません。
ただ2013年に一般社団法人、日本生殖医学会の卵子凍結保存に関するガイドラインが発表されています。
卵子凍結は、がん治療のために卵巣機能の低下が予想される場合の医学的適応と、不妊治療や健康な女性が将来的な妊娠に備えて卵子を残す社会的適応の2つのケースで認められており、専門クリニックでの指針となっているのです。
卵子凍結には、事前の診察から凍結までの流れがあります
ここでは、卵子凍結はどのような流れで行われるのか見ていきましょう。
まず不妊治療専門クリニックなどで診察を受け、卵巣などの健康状態を確認するための検査が行われます。
そこで卵子が健康であり、卵子凍結に適していると判断されたら次に卵巣を刺激し、排卵を促すための排卵誘発剤を投与します。
採取した卵子の中から成熟している質によい卵子を選んで、液体窒素の入った専用容器に入れ、密閉して保存するのです。
その後、妊娠を希望する際に凍結した卵子を専用の培養液に入れて融解し、精子と受精させてから体内に戻す体外受精などが行われるという流れで進められます。
一度にいくつの卵子が凍結、保存されるのかは厳密には決まっていませんが、複数の卵子を凍結させておいたほうが妊娠の可能性も高まると言えるのです。
さらに排卵誘発剤を使用する卵子採取は、麻酔を用いますが痛みを伴うこともあるため、回数はできる限り減らしたいという方も多いでしょう。
卵子凍結の数は、卵巣の状態や年齢・不妊専門クリニックの方針などで異なるため、医師とよく話し合ってください。
(まとめ)卵子凍結とはどのような治療なの?
卵子凍結は卵巣より排卵した卵子を採取し、液体窒素で凍らせて質のよい状態を保って保存するという方法です。
卵子の加齢を考慮し、若い卵子を保存することや、不妊治療の際の体の負担を軽減することなどの目的で行われます。
卵子凍結、保存は卵巣から卵子を採取し、液体窒素で凍結させて質を保ったまま容器で保存をします。
卵子は加齢より老化が進み、老いた卵子では妊娠率も低下し、流産率も高まるのです。
将来の妊娠に備えるということも、卵子凍結の目的の1つとされています。
採卵は体への負担もあるので、不妊治療で負担を減らすために卵子凍結を行うケースもあります。
さらにがん治療で放射線や抗がん剤により卵巣機能が低下することに備え、あらかじめ卵子凍結を行うことで妊娠の可能性が残せる場合もあるのです。
卵子凍結は、事前の診察や検査に始まり、排卵誘発剤で排卵を促し、採卵後に液体窒素で凍結させて、専用容器で保存するという順で行われます。
妊娠を希望する時期に卵子を融解し体外受精などを行い、受精卵を体内に戻し、着床させるという流れになっています。