不妊治療では着床しない原因をさまざまな観点から探っていきます


不妊治療では体外受精や顕微授精で状態のよい胚を選んで移植しますが、胚が着床しないということが続く場合には、その原因を探る必要があります。

着床しない原因の特定は非常に難しいものですが、不妊治療ではさまざまな検査を行い、胚の問題と母体の問題の両面から着床しない原因を探り、疑われる原因について対処法を考えていきます。

着床には胚の状態と子宮環境の両方が良好である必要があります

不妊治療分野における医学の進歩は目覚ましく、世界中でたくさんの夫婦が不妊治療に取り組んでいます。

中でも体外受精や顕微授精の医学的技術が進歩したことで、これまで困難であったケースでも妊娠・出産に至る割合も高まりつつあるのです。

しかし体外受精や顕微授精で胚(受精卵)を移植しても着床しないケースもあります。
不妊治療では妊娠に至らない原因をさまざまな観点から探り、不妊の原因として考えられる事柄に対して検査や治療を行うのです。

体外受精や顕微授精を行い、状態の良好な胚を女性に移植しても着床しないことが何度も続くことを「着床不全」と呼びます。
着床が成功するためには、胚の状態がよいだけでなく、子宮内膜の状態も大きく関係していることがわかってきました。

不妊治療では、着床不全が考えられる場合、胚の状態の検査だけでなく、子宮の状態を詳しく検査します。

着床についてはまだまだ解明されていない部分も多いといいます。
しかし胚の状態や子宮の状態だけでなく、胚が子宮内膜に着床するタイミングについても関係し、非常に限られた期間でのみ着床が成立することなどがわかってきているのです。

着床不全の場合は子宮環境を検査し治療を行います


着床不全と呼ばれる状態の場合は、子宮の環境がどのようなものなのか、着床を妨げている原因がどこにあるのかをさまざまな検査で調べます。

着床不全の原因を特定することは非常に難しく、多くの場合は原因が1つではなく、いくつかの原因が複雑に絡み合っているのです。

子宮内環境を調べる検査では、子宮鏡検査や採血による免疫検査などがあり、着床の妨げになっている可能性があるものが検査で見つかった場合には、その原因を治療するために手術や投薬を行います。

着床を妨げる原因が子宮側にある例としては、以下のものが挙げられます。

手術療法が必要
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮筋腫
  • 子宮内腔癒着(アッシャーマン症候群)
免疫学的な原因
  • 自己免疫抗体異常
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 凝固能異常

これらは子宮側に起こる病気の一部のため、信頼のできる専門機関で検査と治療を受けるようにしましょう。
ほかにも先天的に子宮の形が通常と異なる場合は、着床しにくいとされています。

子宮の形状によっても異なりますが、子宮の形が通常と異なる場合は自然妊娠しにくく、妊娠できてもその妊娠が継続できずに流産してしまうケースもあるのです。

先天性の子宮形態異常もまた手術によって治療し、着床しやすい体に近づけることができます。

着床しないのは胚に原因があるケースも多くあります

前述したように、着床が成立するには胚の状態と子宮の状態の両方が良好である必要があります。
着床しない原因が胚側にあるケースも見られます。

「染色体異常」という言葉について聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
胚に染色体異常がある場合は、着床出来ないケースが多く、また基本的に胚側に原因がある場合は、特別な治療を行うことはありません。

また染色体異常がある胚が着床した場合、その妊娠が続かずに流産してしまうケースも多く見られます。
日本では、着床不全や流産を繰り返す夫婦に対して、胚移植前に染色体の異常を検査する着床前スクリーニングを有効とするかどうかという議論が交わされているのです。

着床前スクリーニングは、夫婦のどちらかが重い遺伝性の病気を保因している場合に、その病気の遺伝を防ぐ目的で行われることがあります。

胚の染色体異常の研究、子宮環境の研究、着床のシステム的な研究、それぞれの研究が日を追うごとに進んでいます。
今後さらに医学が進歩していくことで、不妊治療の妊娠率向上が期待されているのです。

(まとめ)不妊治療では着床しない原因を知ることができる?

1.不妊治療では着床しない原因をさまざまな観点から探っていきます

体外受精や顕微授精で状態のよい胚を選び移植しても、胚が着床しない場合があります。

着床しないことが続く場合には、その原因が胚にあるのか、母体にあるのかを探り、解決法を考えていきます。

2.着床には胚の状態と子宮環境の両方が良好である必要があります

胚が良好な状態であることと子宮環境が良好であることの両面が揃ってはじめて着床が成立します。

体外受精や顕微授精で良好な胚を移植しても着床しない状態が繰り返されることを着床不全と言います。

3.着床不全の場合は子宮環境を検査し治療を行います

子宮鏡検査や採血による免疫検査などを行い、子宮側に着床の妨げになる原因が潜んでいないかを探ります。

着床不全の原因が疑われるものが見つかった場合には、手術や投薬を行い、妊娠しやすい体になるよう治療します。

4.着床しないのは胚に原因があるケースも多くあります

着床しない原因が胚側にあるケースも多くあります。

胚に染色体異常がある場合は、着床しにくく、着床しても妊娠が継続できないケースが大半です。
今後は胚の染色体異常の研究、子宮環境の研究、着床の研究それぞれが進むことで妊娠率向上が期待されています。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小山寿美江医師
こやま すみえ/Sumie Koyama

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経歴
1999年 琉球大学医学部医学科卒業
2000年 東京医科大学病院救急救命センター
2001年 東京女子医大病院腎センター
2003年 緑風荘病院 血液浄化療法センター
2006年 昭和大学病院産婦人科
2009年 昭和大学病院産婦人科 助教
2010年 東京衛生病院産婦人科
2012年 木場公園クリニック勤務
木場公園クリニック 分院 院長
2016年 六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
アメリカ生殖医学会

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院長 小山寿美江医師