目次
一部の不妊治療には健康保険が使えます
不妊治療のなかには、健康保険が適用になる施術と適用にならない施術があります。
一般不妊治療といわれるタイミング法やホルモン療法などには保険が適用になるため、安く診療を受けることができるのですが、体外受精などの高度不妊治療は保険の適用外で高額の医療費がかかります。
保険適用の場合には医療費が3割負担ですみますが、保険適用外の場合には全額負担のため1回の不妊治療に数万円から数十万円の費用がかかることもあるので、事前に確認するのがよいでしょう。
基本的な一般不妊治療には健康保険が適用になります
不妊治療には「一般不妊治療」と「高度生殖医療」があります。
検査で高度生殖医療を行わなくても妊娠が可能と診断された場合には、まず健康保険が適用になる一般不妊治療を受けることになります。
一般不妊治療には、タイミング法・ホルモン療法・人工授精があり、正確には初期の一般不妊治療だけが保険適用となるので人工授精は一般不妊治療のなかでも保険の適用外となっています。
通常最初に受けることになるのがタイミング法です。
タイミング法は、基礎体温をつけて超音波検査やホルモン検査などの検査結果から排卵日を予測し、排卵日に合わせて夫婦生活を行うことで妊娠する可能性を上げる方法です。
タイミング法は1回数千円で受けられる病院が多く、約30%の方がタイミング法で妊娠するといわれていますが、半年ほどタイミング法を続けても効果が得られなかった場合には次の方法へとステップアップすることになります。
その他に保険適用となるホルモン療法も、妊娠する確率を上げるために、排卵を促すホルモン剤を摂取したり注射を受けたりする方法です。
費用は病院によりますが1回数千円程度の負担ですみます。
健康保険の適用にならない不妊治療には体外受精などがあります
一般不妊治療のうちの人工授精と高度生殖医療は健康保険の適用にはなりません。
保険適用にならない施術は全額自己負担となるので医療費が高額になり金銭的な負担が大きくなるでしょう。
一般不妊治療の人工授精は人工的に男性の精子を子宮内に注入する方法で、医療費は1回1~5万円ほどとなり高度生殖医療よりは比較的費用が安くすみます。
人工授精の妊娠率は10%程度、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療までで30%程度の方が妊娠できるといわれています。
高度生殖医療には、体外受精・顕微授精・凍結胚移植などの方法があります。
体外受精は女性の卵子と男性の精子を取り出して体外で受精を行ったあとに受精卵を子宮に戻す方法で、保険適用外のため1回20~50万円の費用がかかり、この体外受精まで行った場合には50%以上の確率で妊娠できるといわれています。
顕微授精は体外受精のなかでも精子を卵子の中に注入して受精させる方法で費用は1回30~60万円程度、凍結肺移植には1回13万円前後の費用がかかります。
1回の不妊治療で妊娠するとは限らないため、不妊治療の経験がある方の50%以上は妊娠するまでに総額で100万円以上かかっているともいわれています。
不妊治療には助成金制度を活用することができます
不妊治療が順調に進んでタイミング法の段階で妊娠できた場合には負担も少なくすむのですが、もし高度生殖医療まで行うことになった場合には、かかる費用は高額になるので事前に把握しておくことも必要でしょう。
不妊治療にかかる費用が高額になる場合には、国や地方自治体で行っている助成金を利用して費用の負担を抑えることができます。
助成金を受けるためには所得制限や年齢制限などがあり、条件に当てはまった場合に申請を行うと支給されることになります。
自治体で行っている助成金はお住まいの地域によって支給条件や金額、回数などが異なっているので、詳しくは自治体のホームページなどで確認をしてみてください。
国の「特定治療支援事業」を利用すると、指定の医療機関で「体外受精」と「顕微授精」を行った場合に助成金をもらうことができます。
申請助成金額は1回15万円で40歳未満の場合には6回まで、43歳未満は3回まで助成を受けることができます。
ただし平成28年4月1日から助成金を受けられる年齢が43歳未満に限定されているので注意が必要です。
不妊治療を受けようか悩んでいるという場合には、念のために助成金が受けられなくなる43歳よりも前に不妊治療を開始することをおすすめします。
(まとめ)不妊治療に健康保険は使えるの?
不妊治療の中には一般不妊治療と高度不妊治療があり、一般不妊治療の一部には健康保険が適用になります。
保険が適用になると3割負担ですむのですが、適用外では全額負担になり医療費が高額になります。
検査で高度生殖医療を行う必要がないと診断されたら、健康保険適用の一般不妊治療を受けます。
健康保険適用のタイミング法やホルモン療法は、1回数千円ですむ場合が多く医療費の負担が少ないというメリットがあります。
一般不妊治療の人工授精の医療費は1回1~5万円ほどと比較的費用が安くなっています。
高度生殖医療の体外受精は1回20~50万円の費用がかかりますが、体外受精は妊娠する可能性の高い方法で50%の方は妊娠できるといわれています。
不妊治療の高度生殖医療を受ける場合には高額の医療費がかかるため、国や地方自治体の助成金を利用して費用の負担を抑えることが可能です。
国の助成金は43歳からは利用できなくなるので、早めに申し込んでおくほうがいいでしょう。