プラノバールはさまざまな用途で使用される薬剤で、不妊治療中にも処方されることがあります。服用のタイミングによって目的や効果が異なり、誤った飲み方をすると治療に影響を及ぼす恐れもあるため、正しく理解することが重要です。
この記事では、プラノバールの効果や生理との関係、服用時の注意点について、わかりやすく解説します。
目次
プラノバールとは?効果と役割
プラノバールとは「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の両方を補充できる薬剤です。月経周期の高温期のホルモン状態を作り出し、ホルモンバランスを整える作用があります。機能性子宮出血・子宮内膜症・卵巣機能不全・月経困難症・月経周期異常・過多月経などの治療に使われています。
また中用量ピルとしても処方されており、毎日決められた量を服用することで、排卵を抑えたり、月経周期を調整したりする役割も果たします。
さらに、プラノバールは不妊治療の体外受精でも処方され、目的に応じて採卵前、胚移植後などのタイミングで用いられることがあります。
プラノバールの飲み方
プラノバールを服用すると、血中卵胞ホルモンと黄体ホルモンの濃度が高まり、人工的に高温期のホルモン状態をつくりだします。
服用を中断すれば生理前のホルモン状態に戻り、3〜5日程度で生理がきます。このような特性を活かして、月経周期のコントロールが可能です。
ここでは、生理を早める場合と生理を遅らせる場合の服用方法を解説します。
生理を早める場合
生理を早める場合は、生理開始日から数えて5日目以内にプラノバールを服用します。1日1錠を夕食後に飲み、10〜14日間継続します。
服用後から3~5日後に、いつもより軽めの生理が始まります。
ただし、7日目以降での服用では、月経周期を早めることはできないため注意しましょう。
生理を遅らせる場合
生理を遅らせる場合は、生理予定日の5~7日前にプラノバールを服用します。生理を避けたい日まで、夕食後1日1錠飲み続けてください。
服用の中断後3~5日後に、いつもより量の多い生理が始まります。
ただし、予定日の3日前から服用しても、月経周期を遅らせることはできないため、服用のタイミングにご注意ください。
不妊治療でプラノバールが処方される理由
婦人科系疾患の治療やピルとして用いられるプラノバールですが、不妊治療では、以下のような目的で処方されています。
月経の周期を整えるため
不妊治療では、月経周期に合わせて治療がおこなわれます。検査や治療を計画的に進行させるには、まず月経周期を整えることが重要です。
そのため、月経周期に異常がある場合は治療開始前にプラノバールを服用し、生理をコントロールしてから治療に入るケースがあります。
卵胞の大きさを揃えるため
体外受精では、卵子を体内から取り出し(採卵)、体外で精子と受精させます。しかし卵子が未熟な場合、採卵ができなかったり、受精がうまくいかなかったりすることも少なくありません。そこで、卵子のもとである前包状卵胞の大きさを揃えるため、採卵前にプラノバールを服用します。
排卵を一時的に抑制することで、卵巣内で卵胞を十分に育てる時間を確保します。これにより、大きさが整った成熟した卵子を採卵でき、受精率の向上につながります。
卵巣を休めて子宮環境を整えるため
排卵を抑制して卵巣を休ませる目的でも使用されます。胚移植の周期で服用し、卵巣を休めることで、胚移植に向けて子宮環境が整います。
服用することで子宮内膜を厚くし、着床しやすい身体づくりをサポートします。着床後、妊娠を継続させるための役割もあります。
プラノバールには副作用がある?
プラノバールは軽い副作用として、体重の増加やむくみが生じることがあります。また、吐き気・嘔吐・食欲不振といった副作用が生じることもあります。しかしこれらは一時的なものであることがほとんどです。ただし、症状が続く場合は、主治医に相談しましょう。
また、稀ですが重篤な副作用として血栓症のリスクもあります。ふくらはぎの腫れや痛み、手足のしびれやめまいなどを感じたら、直ちに主治医に相談してください。
プラノバールを服用できない人とは?
プラノバールは、次のような持病を抱える方や病歴がある方は、使うことができない場合がありますません。病気の悪化、または再発の恐れがあるためです。
持病をお持ちの方や既往歴がある方は、必ず医師に申告しましょう。
ただし不妊治療においては、一般的な使用目的と異なり、プラノバールの服用期間は短いものとなります。そのため、上記のような持病をお持ちの方、血栓症リスクが高まるとされる40歳以上の方や喫煙者であっても、基本的に服用が可能とされています。しかし喫煙に関しては、プラノバールの有無に関わらず、不妊治療に悪影響を及ぼすリスクがあるため禁煙することが大前提です。
プラノバールを服用する際の注意点
プラノバールは、1日1錠を同じ時間帯(1〜2時間以内)に飲むことが基本となります。用法用量を守り、医師の指示に従って正しく服用すれば、安全で便利な薬剤です。ただし、いくつか注意点があります。
Q. もしも飲み忘れたら?まとめて飲んでも大丈夫?
飲み忘れた場合は気付いた時点で服用し、翌日は普段通りの時間に1錠服用しましょう。飲み忘れに気付いた時点で、普段の服用時間に近い場合は、飲み忘れた分はスキップし、予定通りの薬を服用してください。
判断が難しい場合は、クリニックに連絡して指示を仰ぎましょう。一度にまとめて2錠飲むことがないようにご注意ください。
Q. プラノバール服用中に喫煙してはいけないのはなぜ?
タバコを吸う方は、血栓症のリスクを高めるため、プラノバールの服用はできません。そのため服用中は、加熱式タバコも含めて禁煙が必要です。
Q. 低用量ピルを服用している場合はどうすればいい?
低用量ピルを併用または切り替える場合は医師に相談し、適切な指示を受けるようにしてください。飲み合わせが悪い薬剤もあるため、必ず申告しましょう。
妊娠や不妊にお悩みなら六本木レディースクリニックへ
プラノバールは、月経周期の調整から不妊治療まで用途が多様な薬剤です。不妊治療の体外受精においては、目的に合わせて治療前・採卵前・胚移植後のそれぞれのタイミングで処方されることがあります。
比較的安全な薬ですが、副作用が長引く方は主治医に相談しましょう。また、飲み忘れると場合によっては治療や妊娠率に影響する可能性があります。判断できない場合は、クリニックに連絡して指示を仰ぎましょう。
六本木レディースクリニックは不妊治療の専門病院です。処方する薬剤や副作用についても、患者さまに丁寧に説明しています。妊娠や不妊についての疑問やお悩みにもお答えいたします。まずはお気軽にご相談ください。