不妊治療に年齢制限はありませんが高齢になるほど妊娠率は下がります


不妊治療は、何歳までに始めなければならない、何歳までしか受けられないといった明確な年齢制限は設けられていません。

しかし女性の年齢が高くなるにつれ、不妊治療を行っても妊娠成功率が下がる傾向にあります。
そのため厚生労働省の不妊治療に対する公費助成には年齢制限が設けられており、女性の年齢を43歳未満としています。

女性の年齢が高くなるほど妊娠成功率が下がります

女性の年齢と妊娠の成功率には深い関係があり、不妊治療を行った場合でも、基本的には女性の年齢が高くなるほど妊娠率が下がる傾向にあります。

不妊治療にはさまざまな治療法がありますが、体外受精を例に挙げると、34歳以下では約40%の妊娠率があるとされていますが、45歳を過ぎると5%程度にまで下がってしまうというデータがあります。

こういったデータを踏まえて、厚生労働省の不妊治療に対する公費の助成にも女性の年齢に制限が設けられているのです。
厚生労働省の特定治療支援事業としての助成金支給の条件は、所得や治療の回数だけでなく、女性の年齢を43歳未満に限ると設定されています。

不妊治療を行い、45歳以上でも妊娠し出産できた例はありますが、残念ながらごく稀なケースという扱いになります。
不妊治療を行うことに厳格な年齢制限はないものの、年齢が高くなるほど妊娠しにくいため、おおまかには限界の年齢があるという見方が現実的だと言えるでしょう。

とはいえ不妊治療は個人の抱えているケースによっても異なりますから、年齢がいくつだから妊娠できますと断言できるものでもありません。

少しでも早めに不妊治療をスタートさせることが肝要です


女性の年齢が高くなるにつれ妊娠率が下がるということには、加齢による卵子の質の低下が考えられます。
卵子は女性の年齢と同じように年齢を重ねているため、40歳の女性の場合、卵子も40歳分年齢を重ねており、若い卵子に比べて染色体異常を起こしやすいことが分かっています。

染色体に異常のある卵子は基本的には受精しにくく、また受精しても着床しづらいほか、妊娠の継続が難しいケースが多いでしょう。
卵子の質の低下度合いは、ある程度女性の年齢によって平均値がありますが、細かな点ではそれぞれの女性によって異なり、また同じ女性でも卵子によって異なります。

とはいえ、やはり若い卵子のほうが質の低下が少ない傾向にあるため、不妊治療は気が付いた時に、なるべく早めに始めるようにし少しでも状態のよい卵子で不妊治療に臨みたいものです。

妊娠を望んだ時に、すでにある程度の年齢を重ねてしまっている場合、加齢による卵子の質の低下を戻すことはできません。

しかし少しでも質のよい卵子が育つように生活習慣を見直し、栄養バランスの取れた食事や、質のよい睡眠、ストレスを感じすぎない生活スタイルなどを心がけることは有益だと言えるでしょう。

不妊は女性の年齢だけが原因に関与しているわけではありません

不妊は、女性の加齢による卵子の質の低下が影響を及ぼす面が大きいものです。
しかしもちろん女性の加齢による影響だけで不妊になるわけではありません。

不妊の原因はさまざまあると考えられており、その中には子宮の形や卵巣の機能、そのほかの疾患が影響を及ぼすことや男性側に原因があることも非常に多いものです。

不妊とは、原因の特定が非常に難しい症状だとされています。
原因が1つであるとは限らず、さまざまな要素が複雑に絡み合っており、夫婦によって原因がすべて違うと言っても過言ではないほどです。

また不妊に至る原因はすべてが解明されているというわけではありません。
現代の医療をもってしても解明されていない部分もあるため、医療の発達により、現在妊娠が難しいとされているケースでも将来的には妊娠できるようになる可能性も秘めています。

女性の加齢により卵子の質が低下することは事実として分かっていることですが、そればかりが不妊の原因になるわけではないため、不妊治療を行う際には夫婦が協力し合って向き合っていくことが重要です。

(まとめ)不妊治療を行う年齢に制限はあるの?

1.不妊治療に年齢制限はありませんが高齢になるほど妊娠率は下がります

不妊治療に明確な年齢制限は設けられていません。

しかし女性の年齢が高くなるにつれて妊娠成功率が下がるため、不妊治療に対する公費の助成では女性の年齢が43歳未満であることを条件にしています。

2.女性の年齢が高くなるほど妊娠成功率が下がります

女性の年齢が高くなるほど妊娠成功率が下がる傾向にあり、厚生労働省が行っている不妊治療の助成金支払いを行う条件に関しても、女性の年齢を43歳未満と指定しています。

不妊治療に厳格な年齢制限はないものの、おおまかに限界的な年齢があるという考え方が現実的です。

3.少しでも早めに不妊治療をスタートさせることが肝要です

女性の加齢とともに卵子も加齢し、加齢するほどに卵子の質が低下するとされています。

少しでも状態の良い卵子で不妊治療に臨むためにも、不妊治療は気が付いたら早めにスタートさせることが大切です。

4.不妊は女性の年齢だけが原因に関与しているわけではありません

不妊の原因は夫婦によってさまざまで、要因が複雑に絡み合っているケースが一般的です。

不妊は現代の医学では解明されていない部分も少なくありません。
女性の加齢による卵子の質低下は要因の1つではありますが、そればかりが不妊の原因ではありません。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師