ミトコンドリアを移植する不妊治療は臨床研究段階で結果が確証されたわけではありません


不妊治療には、ミトコンドリアを卵子に移植して、卵子の質を高めて妊娠へ導くという、オーグメント療法と呼ばれる治療法があります。

世界では、約300例の治療例があり、そのうちの約30組の夫婦が出産に至ったとされています。
日本ではまだ臨床研究段階であり、結果が確証されているものでも、安全性が認められているわけではありません。

ミトコンドリアが卵子にエネルギーを与えるとされています

ミトコンドリアとはほぼすべての細胞にある小器官で、呼吸に関係したり、細胞のエネルギーのもとになるアデノシン三リン酸(ATP)を生成したりします。

最新の不妊治療ではミトコンドリアのこのような働きに注目した「オーグメント療法」と呼ばれる、ミトコンドリアを卵子に移植するという治療法が研究されています。

オーグメント療法とは、卵巣から組織を取り出し、その組織から特殊な技術で卵子前駆細胞内のミトコンドリアを取り出し、顕微授精で精子を移植する際に取り出したミトコンドリアも一緒に移植するという治療です。

ミトコンドリアは胚分割をする時や子宮内膜に着床するときなどに、大きな働きをしているとされ、卵子前駆細胞内のミトコンドリアを卵子に移植することで、卵子にエネルギーを与え妊娠に導くとされています。

ミトコンドリアを活用したオーグメント療法は、現段階では臨床研究中であり、結果が保証された治療法ではなく、安全性もまだ不明な部分があります。

しかし実際にオーグメント療法を行った夫婦で妊娠・出産に至った症例もあり、今後、不妊治療の治療法の1つとして確立されることが期待されています。

卵子は加齢とともに質が低下することがわかっています


女性は生まれたときにすでに、一生分の卵子のもとになる原始卵胞を持っています。

原始卵胞は、はじめは200万個程度あるとされますが、自然に消滅していき、女性が思春期を迎えるころには、20~30万個にまで減っています。

卵子は女性と同じだけ年を重ねます。
たとえば25歳の女性であれば卵子も25歳、40歳の女性であれば卵子は40歳です。

年齢を重ねた卵子は染色体異常をもつ確率が高いことがわかっており、これはいわゆる卵子の質が低下していると言われる状態です。
この卵子の質の低下に、ミトコンドリアが関係しているのではないのかと言われているのです。

これは、卵子の細胞質にあるミトコンドリアが劣化してうまく機能しなくなった結果、エネルギーを上手に作り出すことができなくなっていると考えられています。

ミトコンドリアの劣化により胚分割が途中で止まってしまったり、うまく着床しなかったりという結果に結びつくというわけです。

ミトコンドリアが劣化してエネルギーが上手に作り出せない卵子に卵子前駆細胞内のミトコンドリアを注入し、エネルギーを作り出せるようにしようとすることがオーグメント療法の考え方です。

食生活の改善やストレスを解消して活性酸素を減らしましょう

ミトコンドリアはエネルギーを作り出す際に、少量の活性酸素も同時に作りだします。
しかし劣化したミトコンドリアは、エネルギーを上手に作り出せなくなるため、作り出す活性酸素の量が増えるとされ、細胞の酸化につながると考えられています。

活性酸素は適量であれば免疫機能の強化に役立つのですが、増えすぎると体の老化を促進します。
ストレスをため込むと脳やその他の器官で大量の活性酸素が生み出されます。

不妊治療は治療期間が長期にわたることも珍しいことではなく、長期の治療は心身のダメージも大きいものです。
そのため不妊治療中にストレスを感じてしまう方も少なくありません。

活性酸素を減らすには、ビタミンC・ビタミンE・カロテノイドなど抗酸化作用のある栄養素を含んだ食べ物を積極的に摂取することをおすすめします。

食材としては緑黄色野菜や、ブルーベリー・大豆・緑茶などがおすすめです。
食生活の改善とともに、日頃からストレス発散を心がけ、ストレスをため込まないようにすることも大切です。
不妊治療中は心のケアにも目を向けてみましょう。

(まとめ)ミトコンドリアを移植したら不妊症が治るって本当?

1.ミトコンドリアを移植する不妊治療は臨床研究段階で結果が確証されたわけではありません

オーグメント療法とは、卵子にミトコンドリアを移植して卵子の質を高めるという不妊治療法です。

この治療法で妊娠に至った夫婦もいますが、日本では現段階では臨床研究段階で、安全性が確立しているわけではありません。

2.ミトコンドリアが卵子にエネルギーを与えるとされています

ミトコンドリアを活用したオーグメント療法という不妊治療法が注目されています。

卵子前駆細胞内のミトコンドリアを顕微授精の際に、精子と一緒に移植することで卵子にエネルギーを与えるとされており、治療法の1つとして確立されることが期待されています。

3.卵子は加齢とともに質が低下することがわかっています

卵子は加齢とともに染色体異常をもつ確率が上がりますが、卵子の質の低下にミトコンドリアが関係しているのではないかとされています。

卵子のミトコンドリアが劣化し上手にエネルギーが作り出せなくなると、卵子の質の低下が起こると考えられます。

4.食生活の改善やストレスを解消して活性酸素を減らしましょう

活性酸素が増えすぎると、体の内側からの老化を促進します。

ビタミンC・ビタミンE・カロテノイドなど抗酸化作用のある栄養素を含んだ食べ物を積極的に取り入れ、ストレスをため込まないように生活習慣を見直すことも大切です。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師