妊婦に葉酸がなぜ必要なのかは、先天異常防止が関係します


葉酸には重要な役割がたくさんありますが、とくに妊娠中に重要視されているのは、赤ちゃんの先天異常が起こるリスクを下げてくれるという点です。妊娠初期の段階で適量の葉酸を摂取することが、赤ちゃんの安全を守ることに繋がるでしょう。

また妊娠初期を過ぎても、葉酸は赤ちゃんの発達に欠かせない存在です。妊婦にとって必須ともいえる栄養素の1つであるため、積極的な摂取を心がけましょう。

葉酸は妊娠初期に赤ちゃんの先天異常を防ぎます

妊娠期間のごく初期ともいえる妊娠6週までの間に、母親のお腹の中では、赤ちゃんの脳や脊髄などの元である神経管という部分が形成されていきます。6週末で完成するといわれるこの器官は、しかしまれに4~5週目で神経管閉鎖障害という先天異常が発生してしまうことがあるのです。

適量の葉酸を摂取することで、この神経管閉鎖障害を引き起こす可能性を、50~70%も下げることができると言われています。

神経管閉鎖障害になると、赤ちゃんは二分脊椎や無脳症などを引き起こします。二分脊椎とは、脊椎の中にあるはずの脊髄が外へと露出し、そのせいで神経に障害が発生し、下半身麻痺などを引き起こしてしまうものです。

また無脳症の場合は脳が奇形となってしまい、変形しているか、あるいは文字通り脳がない状態となってしまいます。当然、死産か、流産の可能性も高くなってしまうでしょう。
このような一生に関わる重大な障害が起こることを、葉酸は防いでくれます。

妊娠初期の段階で必要な葉酸の量は、食事から240µgに加え、サプリメントから400µg摂取することが理想だと言われています。サプリメントを有効利用し、妊娠前から葉酸を摂取しておくとよいでしょう。

葉酸は赤ちゃんに栄養を滞りなく送るのに役立ちます


葉酸は妊娠初期を過ぎてからも赤ちゃんの生育に関わります。もともと葉酸は、細胞が分裂する際、核酸というDNAの情報が入った部分を合成するのを助けてくれる働きがあるのが特徴です。

DNAに関わるだけあり葉酸が足りないと、細胞分裂の際にDNAのコピーがうまくいかなくなったり、細胞分裂が遅くなったりしてしまいます。

赤ちゃんは、1つの受精卵から細胞分裂を繰り返すことで、人間として形作られ、生まれてきます。当然、1つの受精卵から赤ちゃんとしての姿になるまでに、膨大な数の細胞分裂を繰り返しているわけです。

葉酸が十分に母親から赤ちゃんに送られることで、この細胞分裂を大いに助けることでしょう。葉酸が足りない場合、赤ちゃんは低体重で生まれてきてしまうリスクが高くなると言われています。

元気な赤ちゃんを出産するためにも、葉酸はきちんと継続して摂取していきましょう。妊娠初期を過ぎた後の、葉酸の必要摂取量は480µgと言われています。

この480µgという数字は、一般的な成人に求められる葉酸の摂取量の2倍です。葉酸の多く含まれる、葉物を意識して食べることで、葉酸をよく摂取することができます。

葉酸は貧血予防に欠かせない栄養素です

葉酸は、実はビタミンB群に属し、「造血のビタミン」とも呼ばれる栄養素です。その異名の通り、血液を作るために必要な存在なのです。

血液を作る役目を持ったほかの成分として鉄やビタミンB12がありますが、葉酸はビタミンB12とともに協力して血液に含まれる赤血球の生成を補助しているのです。そのためビタミンB12と葉酸、どちらが足りなくなっても貧血を引き起こしてしまう場合があります。

妊婦となると胎盤から血液を通して赤ちゃんに栄養を送り続けることになります。そのため葉酸が足りないと血液の流れが悪くなったり、血液が足りなくなったりして赤ちゃんに栄養が行き届きにくくなったり、妊婦自身が貧血となってしまう可能性も出てくるため注意しましょう。

葉酸は、赤ちゃんだけでなく妊婦自身が健康で過ごすために欠かせない栄養素です。普段はあまり不足しないと言われる葉酸ですが、妊娠中はご紹介したように体内での需要がたくさんあることから、不足しがちになります。

欠乏しないよう、日頃から意識して葉酸を摂取していきましょう。

(まとめ)妊婦に葉酸はなぜ必要なの?

1.妊婦に葉酸がなぜ必要なのかは、先天異常防止が関係します

いくつかある葉酸の役割の中でも、とくに妊娠中重要と言われるのが、赤ちゃんの先天異常のリスクを下げることです。また先天異常が起こる段階を過ぎても、赤ちゃんの発達に葉酸が役立ちます。

2.葉酸は妊娠初期に赤ちゃんの先天異常を防ぎます

葉酸が重要なのは、妊娠のごく初期である妊娠6週末までの間です。この間に形成される神経管が異常を起こし、神経管閉鎖障害となってしまうリスクを葉酸が50~70%下げてくれると言われています。

食事とサプリメントから効率よく葉酸を摂取しましょう。

3.葉酸は赤ちゃんに栄養を滞りなく送るのに役立ちます

妊娠6週末を過ぎても、葉酸は赤ちゃんの細胞分裂に深く関わるため重要な栄養素です。細胞分裂を繰り返して赤ちゃんは大きくなります。

葉酸が足りないと低体重になってしまうリスクもあるのです。

4.葉酸は貧血予防に欠かせない栄養素です

もう1つ重要な役目が、妊婦の血液を作ることです。葉酸は造血のビタミンと言われ、ビタミンB12と協力して血液の生成を補助します。

血液が増えることで、赤ちゃんに栄養がよく行き届き、妊婦も貧血になりにくくなるでしょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師