妊婦の葉酸の必要摂取量は時期で異なります


妊婦に必要と言われる葉酸の摂取量は、妊娠初期で640µg、それ以降で480µgと言われています。葉酸は妊娠初期の摂取がもっとも重要です。

食事だけだと妊婦に必要な摂取量をとりきれないことがあるため、サプリメントを有効利用活用するとよいでしょう。ただし葉酸はとりすぎるとリスクもあります。

摂取量の範囲を守って赤ちゃんの健康も守りましょう。

妊娠初期には640µgの葉酸が必要です

妊婦にとって葉酸がとくに重要と言われる理由の1つが、葉酸が赤ちゃんの先天異常が起きるリスクを下げてくれるからだと言われています。赤ちゃんの先天異常は、妊娠6週末までに起きる可能性が高いため、この妊娠6週までに必要十分な葉酸が摂取できているかが1つのポイントとなります。

しかしながら妊娠6週となると、妊娠のかなり初期になります。妊娠が確定してからではすでに赤ちゃんの先天異常が起こりやすい、神経の形成期が半ば終わっているということになりかねません。

そこで妊娠初期の時期から、まずは1日に240µgの葉酸を食事から摂取し、さらに追加でサプリメントを利用し400µgほど摂取することが厚生労働省より推奨されているのです。
通常、日本人が1日の食事で摂取する葉酸の平均摂取量は約300µgあるため、この240µgという数字はそれほど高いものではありません。意識して葉物野菜を摂取していれば、食事からの葉酸摂取量は十分といえるでしょう。

食事だけで推奨されている摂取量を賄うには必要量が多すぎるため、残りはサプリメントで補うのがスムーズな方法となっています。

妊娠初期を過ぎたら、1日に480µgの葉酸を摂取しましょう


赤ちゃんの神経など、先天異常の出る確率の高い部位の形成が終わっても、葉酸はまだまだ妊婦には必要不可欠な栄養素です。葉酸はもともと血液を作ったり、細胞が分裂、再生したりすることに関わっています。

そのため赤ちゃんに母親の血液を通して栄養を送ったり、赤ちゃんが細胞分裂を繰り返して大きくなっていったりするために葉酸は欠かせないのです。葉酸が足りないと、発育不良などを起こして低体重で生まれてきてしまうリスクもあります。

妊娠初期に比べると、それ以降の葉酸必要摂取量はやや落ちます。厚生労働省で推奨されている葉酸の摂取量は、1日に480µgです。

一般的な食生活で300µgを摂取できることを考えれば、妊娠期間中は十分な食事とともに、葉酸を含むビタミン剤などを利用して適度な補給をするとよいでしょう。

このように葉酸は妊娠の初期とそれ以降で、摂取の目的がやや異なり、必要量にも違いがあります。どの時期に、なんのために、どれくらいの葉酸が必要なのかを把握しておくことで、食事の管理やサプリメント選びなどもしやすくなるでしょう。

葉酸には摂取上限があります

いくら葉酸が妊娠中に必要不可欠であると言っても、摂りすぎはよくありません。葉酸には1日あたり900~1000µg以上の摂取は望ましくないという、上限が定められています。

過剰摂取したからといってただちにお腹の赤ちゃんに重大な影響を及ぼす、というわけではありません。

しかし葉酸の過剰摂取を続けることで、発熱やじんましんなど過剰症が起きるリスクがあると言われているのです。さらに母親が貧血になった際、その原因がわかりにくくなってしまうという可能性も指摘されています。

血液を作る働きに深く関わるのが葉酸とビタミンB12です。妊娠中にビタミンB12が欠乏して貧血となった場合、葉酸を過剰摂取していると、検査をしてもビタミンB12の欠乏が原因だと判明しにくくなってしまいます。

妊娠中は胎児に栄養を送るために血液を使うことから、貧血のリスクも高くなります。摂取上限を守りつつ、正常な範囲での摂取を心がけましょう。

とくにサプリメントを併用している場合、サプリメントでの摂取は食事よりも摂取効率がよくできており、過剰摂取になりがちです。妊娠初期を過ぎたらサプリメントの使用はやや控えめくらいでよいでしょう。

(まとめ)妊婦にとって葉酸の必要摂取量はどのくらい?

1.妊婦の葉酸の必要摂取量は時期で異なります

妊婦に必要な葉酸は、妊娠初期に640µg、それ以降で480µgが目安です。食事では補いきれないことが多くなるため、サプリメントを併用しましょう。

また過剰摂取によるリスクを負わないように注意することも大切です。

2.妊娠初期には640µgの葉酸が必要です

葉酸は赤ちゃんの先天異常が起きるリスクを下げてくれるとされるため、先天異常が起きやすい妊娠初期に十分な量の摂取が大切です。食事から240µg、加えてサプリメントから400µgを目安に摂取しましょう。

できれば妊娠前からの摂取が有効です。

3.妊娠初期を過ぎたら、1日に480µgの葉酸を摂取しましょう

妊娠初期を過ぎたら、細胞分裂を繰り返して大きくなる赤ちゃんの発達を助けたり、母親の血液を増やしたりするために葉酸が必要です。1日に480µgの葉酸が必要であるため、食事に気を使い、葉酸を含む各種のビタミン剤などを併用するとよいでしょう。

4.葉酸には摂取上限があります

葉酸を摂取する上で注意したいのが摂りすぎです。葉酸を900~1000µg以上摂取し続けていると、過剰症など健康に悪影響が及ぶ可能性があります。

サプリメントを使用している場合は、妊娠初期を過ぎたら見直してみるのもよいでしょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師