卵子はどこで作られることもありません


男性が精巣で精子を作ることもあり、女性も卵巣で卵子を定期的に生産していると誤解されがちです。しかし実際には、卵子は女性の体内で日々作られているわけではありません。

卵巣の中には女性の卵子のもととなる細胞があらかじめ入っており、これが育つことで排卵され受精できる状態となります。

失った卵子は取り戻せないため、今ある卵子を大切に扱うことが不妊治療の上で大切なことです。

卵子は新しく作られることはありません

女性はもともと、200万個ほどの卵子を体内に持って生まれてきます。この200万個の卵子が、女性が一生に持てる卵子のすべてです。

正確には、女性が生まれるよりも前、母親のお腹の中にいる時点では700万個ほど持っているのですが、生まれてくる時点ですでに500万個を消失してしまうのです。この大量の消失は生まれたあとにも続きます。

年齢を重ねるごとにどんどん減っていき、初潮がくる頃に残り20万~30万個にまで減っているのです。この残り数十万個の卵子を使って、女性は妊娠することができます。

逆に言えば、この卵子を使い切ってしまえば、女性はもう妊娠することができません。

38歳ほどで残りの卵子は2万5000個ほどになり、さらに年齢を重ね、残り千個を切った段階で女性は閉経となります。新しく卵子が作られることがない以上、卵子と本人の年齢はイコールでもあります。

卵子も本人と同じように加齢によって老化していくため、高齢になってから不妊治療に取り組む場合は卵子の数や質に気をつけなければなりません。

卵子のもとは原始卵胞からできています


卵子は卵巣に入ったままでは、受精卵となるだけの力を持っていません。初潮が来たあとの女性は毎月卵子を1つ排卵し、この卵子が精子と結びつくことで受精卵となります。

しかし卵子が排卵されるまでには、卵子がある程度成長し、力を蓄えないといけないのです。

そこで女性の卵巣の中では、原始卵胞という卵子のもとが、今残存している中から毎月複数選ばれ、ホルモンの影響を受けて徐々に育っていきます。

だいたい80日をかけて大きく育ち、最終的にもっとも大きく育った1個が主席卵胞として選ばれ排卵されることになるのです。選ばれず中途半端に育った残りの卵子は消えてしまいます。

このように排卵される卵は毎月1つしかなくても、実際には複数の卵子を女性は消費しているのです。

また年齢によって育つ数も異なり、残存する卵子の多い20代など若いうちは月に千個ほど消費することもありますが、30代後半になると数十個程度になっていきます。

千個でも数十個でも、最終的に排卵される数は1つであるため、卵子の残存数は妊娠確率に直接は影響しません。

しかし卵子が多く残っていた方が閉経まで猶予ができるため、不妊治療に臨むことができる時間は長くなります。

卵子の質を落とさないようにしましょう

卵子が新しく作られることがない以上、今ある卵子をいかにしてよい状態で保つかということが重要になります。いわゆる卵子の「質」です。

卵子の質は加齢とともに自然と低下していくほか、ホルモンバランスの乱れやストレスなどにも左右されてしまいます。質のよい卵子は卵胞の中で大きく育ち、受精能力を高く保つことができます。

一方で質の低い卵子は、たとえ奇跡的な確率を乗り越えて精子と出会ったとしても、精子と結びついて受精卵になることができないことがあります。

また受精卵になっても着床できなかったり、染色体異常の確率が高くなってうまく分裂できなかったりなどすることもあります。

最悪、流産の原因となってしまうこともあるのです。

加齢によって妊娠しづらくなる原因の1つがこの卵子の質だと言われています。卵子は生まれた時からずっと存在しているだけあり、長年の生活習慣などの影響を受けやすくなります。

卵子の質を高めるためにも、できるだけ規則正しい生活やストレスを溜めない生活を心がけ、ホルモンバランスを整えることが大切です。意識して卵子をいたわりましょう。

(まとめ)卵子はどこで作られるの?

1.卵子はどこで作られることもありません

卵子は男性の精子のように、体内で日々生産されているわけではありません。卵巣の中には、もともと卵子のもととなる細胞があらかじめ入っていて、排卵の度に少しずつ消費されるのです。

残っている卵子を大切にしましょう。

2.卵子は新しく作られることはありません

卵子は生まれた時には体内に200万個ほどあるものの、加齢とともに自然消滅していきます。初潮時点で20万~30万個になり、38歳では2万5000個以下になると言われているのです。

卵子を使い切ると閉経となります。卵子の数と老化に注意しましょう。

3.卵子のもとは原始卵胞からできています

卵子は卵巣の中で毎月複数個が、ホルモンの影響を受け成長していきます。80日をかけて成長していき、一番大きく育ったものが主席卵胞として排卵されるのです。

排卵される卵は1つしかなくても実際には毎月多くの卵子が消費されます。

4.卵子の質を落とさないようにしましょう

体内で生産されない卵子は徐々に老化していきます。そのためその老化のスピードをできるだけ落とさないことが大切です。

卵子の老化が進むと、排卵のために育ち、赤ちゃんとして育つまでの過程でさまざまな支障をきたします。規則正しい生活を心がけましょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師