男性の不妊症の原因のひとつに遺伝子が関係しています


不妊症と聞くと女性に原因があると考えられがちですが、そうとは限りません。
男性側に原因があることも考えられ、その原因のひとつに無精子症があげられます。

近年では研究が進み、無精子症には「Azoospermic-factor(AZF)領域」という遺伝子が関係している場合があることが分かりました。
ただし条件が揃えば無精子症でも挙児を目指すことが可能です。

無精子症の原因のひとつは遺伝子の欠失によるものです

不妊症の原因は、女性に限らず男性にある場合もあります。
なかでも無精子症は、男性不妊の原因として知られています。
無精子症にもさまざまな原因がありますが、大きく下記のふたつに分けることができます。

ひとつは、閉塞性無精子症です。
これは精巣内で精子は作られているけれど、精子を出してくる路のどこかが詰まっているので精子が出てこられずに無精子になっている場合です。

もうひとつは、非閉塞性無精子症です。
これは、精子の通り道が詰まっているわけではないのに、精巣内で精子を造る能力が低下している(または無い)場合です。

同じ無精子症でも状態は異なるため、不妊治療が進められるかどうか、またその治療方法も異なります。
そのため、原因のより詳細を特定する必要があるのです。

近年では遺伝子の研究が進み、「Azoospermic-factor(AZF)領域」という遺伝子が欠失している場合は、非閉塞性無精子症となることが分かりました。

無精子症の原因を特定する方法の一つに、遺伝子検査をすすめられる場合があるのはこのためです。

不妊治療は、まずできる限り原因を特定することが大切です。
女性だけでなく男性も、医師と相談のうえ、必要な検査を受けることで早期に適切な不妊治療に取り組むことが可能になります。

無精子症でも条件によって挙児を目指すことが可能といえます


無精子症と関係のあるAZF領域という遺伝子は、さらにAZFa、AZFb、 AZFcと3つの領域に分かれていて、そのうちのどれが欠失していても無精子症となります。

AZFaまたはAZFbが欠失している場合は精子を回収することは難しいと言われていますが、AZFcの欠失の場合は精巣内に精子がいる可能性があり、精子を回収することができる場合があります。

つまり精子を回収できればその後顕微授精を行い、挙児を目指すことが可能なのです。
ただしAZFcの欠失でその後顕微授精により男児が生まれた場合、AZFcの欠失が伝播することが分かっています。

このことが、不妊治療における精神的ストレスに繋がることがあるため、検査を受ける前に医師とよく相談をして十分に納得したうえで治療に臨みましょう。

過去には、無精子症は子供を授かれないと考えられていたこともありましたが、現在では様々な検査法や治療法が開発され、それにともない不妊治療の選択肢が増えたと言えます。

女性に限らず男性も、それぞれの状況や気持ちにあわせて治療法を選択できるのです。

男性不妊には加齢も関係があります

男性不妊の原因は、無精子症だけではありません。
加齢も男性不妊の原因のひとつと考えられています。

出産年齢の高齢化にともない、卵子の老化が女性の不妊症の原因となることは広く知られています。

一方、男性は高齢でも射精ができることから、加齢と不妊は無関係であると思われることがありますが、男性も加齢にともない精液の量が減少していくことが分かっています。

精液が減るということは、1回の射精で出てくる精子が加齢とともに減っていくため、自然妊娠の可能性が低下するという見方があります。

しかし精子の運動に関係なく受精させることができる顕微授精であれば、受精の可能性は変化しないとも言えるため、加齢により必ずしも不妊治療を諦めなくてはならないということではありません。

またストレスも男性不妊と関係があると言われており、タバコや過量のアルコールの摂取や精神的ストレスもその原因となり得ます。
生活を見直して改善することも、男性不妊の治療のひとつです。

不安なことは専門の医療従事者にアドバイスを受けるなどして、リラックスして不妊治療に臨みましょう。

(まとめ)不妊症と遺伝子の関係とは?

1.男性の不妊症の原因のひとつに遺伝子が関係しています

男性不妊の原因のひとつに無精子症があげられます。

近年では研究が進み、無精子症には「Azoospermic-factor(AZF)領域」という遺伝子が関係している場合があることが分かりましたが、条件が揃えば、挙児を目指すことが可能です。

2.無精子症の原因のひとつは遺伝子の欠失によるものです

男性不妊の原因として知られる無精子症には、遺伝子の欠失が関係している場合があります。

適切な不妊治療を行うためには、女性だけでなく男性も、医師と相談のうえ、必要な検査を行うことが大切です。

3.無精子症でも条件によって挙児を目指すことが可能といえます

無精子症と関係のあるAZF領域という遺伝子のうち、AZFc欠失は挙児を目指すことが可能な場合があります。

ただしそれにともなう精神的ストレスを回避するためにも、事前に医師と十分に相談をすることが大切です。

4.男性不妊には加齢も関係があります

年齢が上がると精液の量が減ることから、加齢も男性不妊の原因のひとつと考えられています。

顕微授精であれば受精の可能性は変化がないとも言えるため、加齢により必ずしも不妊治療を諦めなくてはならないということではありません。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師