酸化ストレスが不妊症を招く可能性があると考えられています


不妊症を招く原因には多くのものがありますが、酸化ストレスはその原因の1つとして考えられています。

酸化ストレスは私たちの健康を損なうものであり、高血圧・動脈硬化・がん・アルツハイマー認知症・老化などを引き起こす原因であるとされています。
活性酸素が抗酸化力を上回った時に生じるのが酸化ストレスです。

よく耳にする「アンチエイジング」という言葉が、酸化ストレスに対抗するものとして広く知られているように、酸化ストレスの原因を取り除くことが不妊症などを予防するために必要であると言えます。

酸化ストレスによって卵子が老化して不妊症を招くと言われています

酸化ストレスが不妊症を引き起こしてしまうのは、酸化ストレスによって卵子の老化が進んでしまうためだと言われています。

卵子の老化は年齢を重ねれば誰もが経験することですが、酸化ストレスの影響によって老化が年齢以上に進んでしまうことが懸念されています。
肌は老化するとシワやシミが増えやすくなりますが、卵子の老化とはどのようなものなのでしょうか。

数が減少する

抗酸化ストレスによる老化で卵子の数が減少し、卵巣に潜在的に備わっている卵巣機能が低下すると考えられていますが、この予備の力を卵巣予備能と言います。

卵巣予備能は卵胞の量と卵子の質を反映しているとされ、卵子の数が減ることで排卵日が不安定になります。
女性は生まれつき原始卵胞を持っていますが、この原始卵胞の閉鎖が進んでしまうことで卵子の数が大幅に減っていきます。

質の低下

活性酸素が細胞を構成する成分を傷つけることで、卵子の質が低下します。
体内に取り込まれた酸素の一部が活性酸素へと変化しますが、活性酸素は感染予防や代謝などに関わる重要な役割を持っています。

しかし不安定な要素もあり、増えすぎてしまうこと自分で自分の細胞に攻撃をしてしまいます。
活性酸素を除去する能力が追いつかず、結果的に酸化ストレスが溜まって卵子の質に影響を及ぼします。

酸化ストレスは精子の老化の原因にもなります


酸化ストレスは卵子だけではなく、精子の老化を進める原因にもなることがわかっています。
老化した精子にはDNAの損傷が多く見られますが、不妊症を招くだけでなく、産まれた子供が自閉症や統合失調症になりやすいというデータもあります。

精子は毎日のように作られるため、老化しにくいイメージがあるかもしれません。
しかし卵子と同様に酸化ストレスや加齢によって精巣がだんだんと小さくなり、精子の機能が衰えていきます。

活動的な精子が存在していても、精子そのものの質が低下していると自然妊娠の可能性が低くなります。
不妊治療で体外受精などを受けたとしても妊娠する確率が低下するので、もし不妊治療を考えているのであれば、早い段階でクリニックを受診することが大切です。

女性と同様に男性も35歳を過ぎたあたりから不妊症になりやすいとされ、精液の量や濃度だけでなく、正常な精子の数が減っていくことが判明しています。

酸化ストレスを溜めないよう生活習慣を心がけましょう

酸化ストレスによる不妊症を防ぐには、日頃から酸化ストレスの影響を受けにくい生活習慣が大切です。

たとえ不妊症の自覚がなかったとしても、疲れやすかったり、肌荒れが目立ったりするようであれば、活性酸素が溜まっている可能性があります。

現在不妊治療を受けている方も、今後不妊治療を受けようと考えている方も、酸化ストレスを予防して妊娠しやすい身体作りをしていきましょう。

タバコとアルコールを控える

不妊治療中のタバコとアルコールがよくないことは言うまでもありません。
タバコの煙には活性酸素が含まれており、肝臓でアルコールが分解される際にも活性酸素が作られます。

軽い運動をする

ウォーキング程度の軽い運動は抗酸化酵素の働きを高めてくれます。
激しい運動は活性酸素を多く発生させるので、要注意です。

ストレスを解消する

ストレスは血液の流れを一時的に悪くすると言われています。
元の状態に戻る時に活性酸素が発生し、身体が酸化しやすくなると考えられています。

タバコやアルコールがどうしても止められないなど、生活習慣の改善が難しい時は、医師に相談してみましょう。

(まとめ)酸化ストレスが不妊症を招いている?

1.酸化ストレスが不妊症を招く可能性があると考えられています

酸化ストレスは老化などを招くことで知られていますが、不妊症の原因の1つであることが指摘されています。

そのほかにも高血圧や動脈硬化などの生活習慣病や、がんといった重篤な病気を引き起こすリスクがあるとされています。

2.酸化ストレスによって卵子が老化して不妊症を招くと言われています

酸化ストレスが溜まることで卵巣予備能が低下し、活性酸素が細胞を攻撃して傷つけると考えられています。

そのため卵子の数が減少し、質も低下して不妊症を招くリスクが高まります。

3.酸化ストレスは精子の老化の原因にもなります

酸化ストレスは卵子だけでなく精子にも影響し、老化を早めて不妊症の原因となります。

精子が酸化ストレスによりDNAにダメージを受けてしまうことで、子供が自閉症や統合失調症になるリスクが高くなると言われています。

4.酸化ストレスを溜めないように生活習慣を心がけましょう

酸化ストレスによる不妊症を予防するために、生活習慣を見直すことは大切です。

タバコやアルコールを止めることが難しいといった悩みは、医師に相談しながら解決していきましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師