体外受精のリスクはまだわかっていないのが実情です


体外受精のリスクで一番気になるのが、赤ちゃんへの影響ではないでしょうか。
実際にどうなのかというと、体外受精の歴史自体がそれほど古くなく、比較的新しい技術を取り入れた治療法のため、データが出そろっていないのが現状です。

しかし健康上や見た目で比較しても、自然妊娠の子どもと差がないと感じる人も多くなっています。

体外受精の奇形リスクは自然妊娠と比べ大きな違いはないといわれています

世界で初めて体外受精がおこなわれたのは、1978年でした。
日本での初となる体外受精は、1983年となっています。
このことから考えると、体外受精の歴史は浅く、まだ30数年程度のデータしか揃っていません。

そのため今後生まれてくる子どもにどんなリスクがあるかは、誰にもわからないのです。
そのことを理解したうえで、体外受精を受けるか選択すべきでしょう。
近年わかってきた体外受精のリスクもありますが、それも最近わかってきたことで、今後も新たにわかるデータが出てくるかもしれません。

しかし今まで体外受精を受けた子どもと、自然妊娠を比べると、それほど大きな違いがないと感じる方も多くいます。
自然妊娠と比べて体外受精のほうが奇形の発生が多いかは、やや増加するという報告例が多くなっています。

少なくとも20歳までの間で体外受精のリスクが大きな問題となることはないと考えられています。
オーストラリアの研究データでは、不妊治療の障害リスクは自然妊娠と比べて1.28倍と報告されており、卵子に精子をふりかける方法ではほとんど差がない状態でした。

卵細胞質内精子注入法では、1.57倍と報告されているようです。
心配な方は研究データからリスクが少ない方法を選択するのもひとつの対策でしょう。

体外受精は多胎へのリスクがあるといえます


体外受精を利用される場合は、多胎での妊娠にリスクがあることを理解しておきましょう。
日本産科婦人科学会では、移植胚を原則1つまでとしており、多くても2個までにすべきと通達しているのです。

その理由は、多胎となると流産や早産のリスクが高まり、胎児の奇形や脳性麻痺などの恐れが出てくることから1~2個までとされています。
双子での妊娠や出産は、魅力的なものと考える方は少なくありません。

しかし母体と子どもの健康を考え、経済的なリスクを考えるとあまり望ましいことではないでしょう。
単胎の早産のリスクは10%なのに対し、双子は60%まで上昇、それ以上の多胎では90%の上昇です。

脳性麻痺となるリスクは双子で4.6倍となり、妊娠高血圧症候群になるリスクもあります。
双子となれば育児の負担が増え、家事も育児も休む暇がなくなるとも考えられます。
子どもが同年齢だとお下がりが使えない問題や、一度にベビーカーやチャイルドシートを2個用意する必要があります。

このようなリスクを考慮したうえで、体外受精の胚移植は多い場合で2個までとなっており、医学的から考えても1人ずつの妊娠が望ましいといえます。
胚を一度に2つ移植すれば双子となるリスクがありますから、家庭計画を立てたうえで利用しましょう。

体外受精でできるだけリスクを取り除く考え方があります

体外受精に対しリスク発生率のデータは、あくまでもデータ上のことで、生まれてくる子どもにも当てはまるとは限りません。
しかしできるだけリスクは取り除きたいと考える方もいるでしょう。

1982年~2007年にスウェーデンで誕生した子ども2,541,125人に対し、30,959人の体外受精を比較したデータがあります。
この事例での自閉症発生率は、自然妊娠で15.6、体外受精で19.0でした。

精神発達遅延は自然妊娠39.8、体外受精46.3という結果です。
しかし海外と日本とでは少し事情が異なり、日本では単胎移植が多いためリスクは高くならないとも考えられています。

精巣精子を用いた顕微鏡受精は、新鮮胚移植の体外受精で精神遅延リスクが高まります。
この場合は単胎の差はなくならないというデータです。

自閉症発症率に対し、射出精子か精巣精子かで比較すると、精巣精子のリスクが高まりました。
不妊治療の年齢や、ホルモン治療の利用はリスク要因ではないという内容です。

体外受精は自然妊娠と比較すると、自閉症や精神遅延のリスクがあるといえます。
ただしそれが単胎である場合はリスクが軽減できるという結果です。
できるだけリスクを取り除きたい方は、1個の胚移植にとどめ、射出精子を用いることで軽減できる可能性があるでしょう。

(まとめ)体外受精ではどのようなリスクがあるのか?

1.体外受精のリスクはまだわかっていないのが実情です

体外受精の歴史はまだ浅く、生まれてくる赤ちゃんにリスクがあるのか、詳しいデータが揃っていない状態です。

そのため比較するのは難しいのですが、自然妊娠と差がないと感じる人が多くなっています。

2.体外受精の奇形リスクは自然妊娠と比べ大きな違いはないといわれています

体外受精で子どものリスクが増加するかは、体外受精自体の歴史が浅く、よくわかっていない部分があります。

奇形では、体外受精でやや増加するという報告例が多いようですが、ひとつの目安でしかありません。

3.体外受精は多胎へのリスクがあるといえます

体外受精では胚移植を一度に2個までが認められているため、多胎となるリスクが存在します。

多胎は母体や子どもへのリスクや、経済的な負担もあるため、よく考えてから数を決めましょう。

4.体外受精でできるだけリスクを取り除く考え方があります

海外の自然妊娠と体外受精のリスクを比較したデータでは、単胎の場合でリスクが軽減でき、射出精子を用いるとリスクが減るという内容です。

少しでもリスクを取り除きたい方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師