卵子凍結は、若いうちに卵巣から卵子を採取し、将来の妊娠に備えて質のよい卵子を凍結保存する方法です。卵子凍結をする方は増えてきていますが、痛みに対する不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、卵子凍結のどの場面で痛みが生じるのか、痛みの程度はどのくらいか、そして痛みを軽減する具体的な方法について詳しく解説します。
目次
卵子凍結のプロセス
卵子凍結の一般的なプロセスでは、事前検査→卵巣刺激→採卵→凍結保存というステップを踏みます。まず事前検査で身体の状態や卵巣機能を調べ、適切な卵巣刺激の方法を選択します。ホルモン剤を使用した卵巣刺激で、採卵に向けてより多くの卵子を育てます。卵子の大きさを確認しながら日にちを決定し、採卵手術をおこないます。採取した卵子は将来の妊娠のために凍結保存されるという流れです。
また、その後妊娠を望むタイミングで卵子を融解し、顕微授精で妊娠を目指すことになります。これらのプロセスのなかで、痛みを生じる場面がいくつかあります。
卵子凍結の具体的な流れについてはこちらの記事でも解説しています。
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痛いと感じる卵子凍結の処置
卵子凍結のプロセスのなかでは、主に検査の痛み、注射の痛み、採卵や胚移植時の痛みなどが考えられます。以下でそれぞれ詳しく解説します。
超音波検査の痛み
卵子凍結では卵巣の状態や卵胞の大きさを確認するため、経膣超音波検査を何度かおこないます。超音波検査は、膣から専用の機器を挿入するため、慣れていない方は不快感や痛みをともなう場合があります。ただし、短時間で終わる検査なので、多くの方は軽い痛みや違和感程度で済むでしょう。
血液検査の痛み
卵巣機能やホルモンの状態を調べるため、AMH検査やホルモン検査として採血が必要になります。その際に注射の痛みが生じます。大きな痛みではありませんが、生理周期に合わせて複数回の採血がある点は知っておくと安心です。
自己注射や筋肉注射の痛み
卵子凍結では、採卵前に卵子を多く成熟させるため、卵巣を刺激する注射で卵胞を育てます。そのため、一定期間は毎日自己注射を打つ必要があります。大きな痛みは少ないものの、連日自分で注射を打つことは心身の負担になる場合もあります。場合によっては看護師による筋肉注射が必要となり、皮下注射よりも痛みを強く感じるケースがあります。
また、卵巣刺激によって卵巣が過剰に反応してしまった場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあり、下腹部痛が生じることもあるため注意が必要です。
採卵時や術後の痛み
採卵手術は、膣から卵巣に向けて針を刺し卵子を吸引する処置です。多くのクリニックでは静脈麻酔を用いることで、術中の痛みはほとんど感じません。しかし、無麻酔や局所麻酔の場合、人によっては強い痛みを感じる方もいます。また、術後に下腹部の痛みや違和感が残る場合があります。
胚移植時の痛み
凍結した卵子を使って妊娠を目指す際には、受精卵を子宮に戻す胚移植が必要です。麻酔は不要で痛みは少ない処置ですが、カテーテルを挿入する際に、人によっては生理痛に似た下腹部の違和感を覚える場合があります。
多くは短時間で終わり、日常生活に大きな支障はありません。
実際に痛みの程度はどのくらい?
卵子凍結は基本的に、我慢できる程度の痛みとされています。
例えば、卵巣刺激でおこなう自己注射や採血は、予防接種のチクッとした痛み程度です。卵子を取り出す採卵時は、無麻酔でも軽い内視鏡検査ほどの痛みと例えられることもあります。また、静脈麻酔を使用すれば眠っている間に処置が完了するため、術中に痛みは感じません。術後は生理痛のような痛みを感じる場合がありますが、痛み止めで軽減でき、翌日から仕事復帰も可能です。
痛みの感じ方には個人差があるため一概にいえませんが、我慢できない強い痛みではないとされています。不安な方は事前に医師に相談し、自分に合った方法で進めることが大切です。
卵子凍結の痛みを軽減するポイント
卵子凍結には痛みをともなう場面がありますが、以下のような方法で痛みの負担を軽くすることができます。
身体に合った刺激方法を選ぶ
排卵誘発剤の注射で卵巣を過剰に刺激すると、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こすリスクがあります。OHSSになると腹痛や吐き気、腹部の張りなどが出ることがあり、悪化すると治療や入院が必要になることもあります。
卵巣刺激法には低刺激〜高刺激があり、卵巣機能や年齢、身体に合わせた刺激方法を選ぶことが重要です。医師と相談しながら無理のない方法を選ぶことで、不要な痛みやリスクを減らすことができるでしょう。
正しい方法で自己注射をおこなう
排卵誘発の自己注射は、正しいやり方で打つことで痛みを感じにくくなります。事前に看護師から指導や説明を受けて、正しい方法を身につけてください。痛み軽減のために、特に以下の点に気を付けるとよいでしょう。
- 注射の部位をしっかりつまみながら注射する
- 針を刺す角度は10〜30度程度とする
- 薬剤をゆっくり注入する
- 注射する部位は毎日少しずつずらす
- 強い痛みや違和感がある場合は打ち直す
慣れるまでは不安を感じる方も多いですが、正しい方法を守れば負担は軽減できます。自己注射に抵抗がある場合は、クリニックで対応してもらうことも可能です。
採卵時は静脈麻酔を選ぶ
卵子凍結のなかでも、痛みを感じやすいのが無麻酔の場合の採卵です。我慢できる痛みとされていますが、痛みの感じ方は個人差があるため、心配な方は静脈麻酔が推奨されます。麻酔のための注射の痛みは多少ありますが、採卵の処置は目が覚めたときに完了しており、痛みや不安を大きく軽減できるでしょう。不安がある方は、あらかじめ静脈麻酔の対応が可能なクリニックを選ぶと安心です。
痛くない卵子凍結をするための医療機関選び
卵子凍結の痛みをゼロにすることは難しいですが、痛みに配慮した医療機関を選ぶことで、負担やストレスを最小限に抑えられます。加えて、通いやすさや実績、信頼性なども含めて、安全に卵子凍結を受けられるクリニックを選ぶことが重要です。
通いやすいか
卵子凍結は、事前検査から採卵まで複数回の通院が必要です。自宅や職場から通いやすい立地・診療時間(早朝/夜間/土日対応)を選ぶと、移動や待ち時間の負担が軽減できます。卵子凍結は痛みだけでなく、精神的・身体的な負担がともなうため、通院によるストレスをなるべく減らすことで、治療を継続しやすくなります。
麻酔の種類は選べるか
点滴の際の麻酔テープ、採卵時の静脈麻酔・局所麻酔・座薬など、麻酔の選択肢があり、痛みへの配慮があるクリニックがおすすめです。
痛みを抑える観点では静脈麻酔が最もおすすめですが、身体の状態や仕事の都合上、静脈麻酔が受けられない方もいるでしょう。そのような場合にも、局所麻酔や座薬など、他の麻酔の選択肢があると痛みを軽減できます。
静脈麻酔の場合は、術後回復のために1時間程度の休息が必要で、原則丸一日のお休みが推奨されます。しかし、局所麻酔や座薬を利用すれば、採卵後に仕事復帰できることもあるため、一人ひとりの状況に合わせた麻酔のオプションがあると安心でしょう。
治療の実績はあるか
卵子凍結は凍結することがゴールではなく、将来子どもを望む場合は不妊治療のなかでも顕微授精へ進むことになります。つまり、妊娠するまでが本当のゴールともいえます。
そのためクリニック選びの際は、未来のことも踏まえて生殖補助医療(体外受精・顕微授精)の治療実績があるかも確認するべきです。特に生殖補助医療は、高度な医療技術が求められます。これまでの年齢別の成績、培養環境(培養士体制や機器)などもチェックポイントです。
信頼性の高い医師がいるか
生殖補助医療に精通した医師が在籍しているか、生殖医療専門医の有無、カウンセリングの丁寧さなどはクリニックを選ぶうえで重要な指標です。麻酔の強さ、鎮痛薬の種類、注射指導の手厚さなど、痛みに対する不安や疑問を相談しやすい看護師や医師がいると、安心して治療を任せられます。
痛みを軽減する六本木レディースクリニックのこだわり
卵子凍結で大きな痛みを感じることは少ないですが、度重なる注射や通院が負担となるのは間違いありません。痛みの感じ方は個人差があり、不安感が痛みを増長したり、感じやすくしたりすることもあるでしょう。
六本木レディースクリニックでは卵子凍結はもちろん、日本一痛くない体外受精を目指し、患者さまのストレスを極限まで減らすことにこだわっています。採卵時は極細の針を使用することで痛みを軽減し、静脈麻酔やその他の麻酔オプションの対応が可能です。当院の生殖補助医療の妊娠率は、日本産婦人科学会が公表する同年代の平均実績と比べ、+11.3%と高い妊娠率実績を残しています。卵子凍結後、妊娠を望む場合も、安心して不妊治療に進んでいただけます。
卵子凍結の痛みが不安な方も、お気軽に当院へご相談ください。

