体外受精と顕微授精の違いは?高度な不妊治療「生殖補助医療」とはMV
体外受精と顕微授精は不妊治療においてよく知られた方法ですが、それぞれの違いを理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
自分に合った治療を選択するためにも、それぞれの違いを把握することは重要です。この記事では、体外受精と顕微授精の違いやメリットとデメリットを解説します。

生殖補助医療(ART)とは?

体外受精と顕微授精は、不妊治療のなかでも「生殖補助医療」に分類されます。
生殖補助医療(ART)とは、採卵・培養・胚移植といった技術を要する不妊治療のことです。卵子を体外に取り出し、精子と受精させて受精卵を作り、再び子宮に戻して妊娠を目指します。

生殖補助医療について、詳しくはこちらのページでも解説しています。
> 「生殖補助医療(ART)」を読む

生殖補助医療の対象となる方

生殖補助医療の対象となるのは、一般不妊治療で妊娠に至らなかった場合や年齢が高い場合などに適応となります。また、以下のような不妊原因がみられる場合も対象です。

  • 卵管に原因がある(子宮内膜症・卵管の閉塞や狭窄など)
  • 子宮に原因がある(子宮筋腫・子宮内膜ポリープなど)
  • 免疫性の不妊原因がある(抗精子抗体など)
  • 男性不妊がある(精子の数・運動率の低下など)
  • 原因不明(原因が特定できず、一般不妊治療で妊娠できない場合)

体外受精(IVF)の特徴

体外受精は、1個の卵子に対し約10万個の精子を培養環境下でふりかけて受精させる方法です。
多くの精子のなかの1匹が自力で卵子に入り込む方法です。卵子の膜を破って入り込むだけの強い精子が必要となります。

受精した卵子と精子は受精卵となり、培養・育成したのち子宮内に戻し(胚移植)、妊娠を試みます。
受精率は一般的に約60~70%といわれています。

人工授精で妊娠しなかった場合に、次のステップとして体外受精が提案されます。
体外受精については、こちらのページでも解説しています。
> 「体外受精(IVF)」を読む

体外受精のメリット・デメリット

体外受精のメリットは、タイミング法や人工授精よりも受精する確率が高いことです。卵管の通りが悪く受精が困難なケースでも、受精が可能になります。
また顕微授精のように直接卵子に精子を注入させる方法ではないため、卵子へのダメージが少なく、自然に近い状態で受精できます。

一方でデメリットは、精子の力が弱い場合に卵子の膜を破ることができず、受精に失敗するケースがあることです。実際に顕微授精と比べると、受精率は体外受精の方が低くなります。
これは顕微授精でも同様ですが、一般不妊治療に比べて身体に負担がかかり、治療期間も長くなる場合があります。

顕微授精(ICSI)の特徴

顕微授精は、体外受精のようなふりかけ方式ではなく、1匹の精子を卵子の中に直接注入する方法です。
このとき微細な針を使用して、慎重に卵子の中に精子を入れて受精させます。

顕微授精の場合、精子が自ら卵子の膜を破る必要がないため、精子に高い運動性がない場合でも受精が可能です。
受精率は体外受精よりも高く、70〜80%程度といわれています。

顕微授精のメリット・デメリット

顕微授精のメリットは、ピンポイントで卵子に精子を送り込むため、受精する確率が高くなることです。
この方法であれば、精子の運動率が低く受精に至らない場合でも受精が可能になります。

一方でデメリットは人為的な操作で卵子の膜に穴をあけて受精させるため、卵子に負担がかかったり、変形したりするリスクがあることです。
ただし卵子の変形率を低下させ、損傷が少ない方法もあります。

体外受精と顕微授精の違い

体外受精と顕微授精は、採卵・受精・培養・胚移植をするプロセスはほぼ同じですが、受精の方法が異なります。
体外受精は多数の精子を用いるふりかけ法で、顕微授精は1匹の精子を直接注入する方法です。

その他、違いを以下の表にまとめました。

体外受精 顕微授精
特徴 多数の精子をふりかけ、精子自らの力で受精させる方法 1匹の精子を細い針を使って直接卵子に注入し、受精させる方法
対象となる方
  • 卵管因子がある方
  • 子宮因子がある方
  • 免疫性不妊がある方
  • 男性不妊がある方
  • 原因不明の不妊がある方
  • 重度の男性不妊がある方
  • 体外受精で受精障害があった方
メリット
  • 一般不妊治療より受精率が高い
  • 卵子に負担をかけずに受精できる
  • 体外受精より受精率が高い
  • 重度の男性不妊の場合でも受精が可能になる
デメリット
  • 精子の運動率が低いと受精できないケースがある
  • 受精率は顕微授精より低くなる
  • 卵子への負担や変形のリスクがある

体外受精と顕微授精、どちらを選べばいい?

一般的には、体外受精を実施しても受精しなかった、あるいは受精率が著しく低かった場合、顕微授精を検討することになります。

しかし体外受精と顕微授精、どちらを選ぶべきかは一概にいえるものではありません。不妊の原因や年齢、身体の状態によって適切な方法は変わってくるからです。
それぞれメリット・デメリットもあるため、それらを踏まえたうえで医師と相談し、ご自身にあった最善の方法を選択することが大切です。

重要なのは「自分たちの状態」を正しく知ることです

ご自身にあった最善の方法を選択するために、しっかり検査をして「自分たちの状態」を正しく把握しましょう。

生殖補助医療には、体外受精や顕微授精だけでなく、凍結・融解胚移植といった妊娠の成功率を向上させる多数の方法・選択肢があります。
その他、卵巣刺激法にも種類がさまざまあり、身体への負担を考慮したうえでより効果的な方法を選択することが必要です。

最善な治療法の決定には、不妊の原因や身体の状態や精子・卵子の質などを把握することが妊娠の成功率を高めるカギといえます。

不妊治療のお悩みは六本木レディースクリニックにご相談ください

体外受精と顕微授精は、どちらも体外で受精させる不妊治療ですが、受精方法に違いがあります。

体外受精は多数の精子を卵子にふりかける方法で、顕微授精は1匹の精子を卵子に直接注入する方法です。
いずれも高い受精率がありますが、顕微授精の確率がやや高い傾向にあります。

どちらを選ぶべきかは一概に判断できるものではなく、不妊の原因や年齢、身体の状態によって異なります。
六本木レディースクリニックでは、一般不妊治療から生殖補助医療まで幅広い不妊治療に対応可能です。
患者さまのお身体に合わせたオーダーメイドの治療法をご提案いたします。
不妊治療にお悩みの方は、ぜひ当院にお任せください。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師