体外受精時に受精卵を冷凍することで変性するリスクはゼロではありませんが、凍結胚を選択することで避けられるリスクもあります


体外受精で培養した受精卵が、冷凍・融解でダメージを受ける可能性は全くないわけではありません。
ただし長期に残るような影響はほとんどなく、逆に凍結した胚を使うことで多胎妊娠などのリスクを下げられると考えられています。

日本においては、体外受精で凍結胚を利用して生まれる赤ちゃんの数は30人に1人とも言われています。
妊娠率が上がったりライフプランを立てやすくなったり、多大なメリットから凍結胚の技術は広く利用されているのです。

30人に1人は凍結胚から生まれていると言われています

体外受精をおこなう場合、複数の受精卵を培養して選別したものを子宮に戻します。
そこで戻さなかった受精卵は凍結して、次回以降に使うことも可能です。

このような冷凍された受精卵のことを凍結胚と呼び、世界で初めて凍結胚を使って胚移植した女性が出産したのが1983年のことです。
日本ではその5年後の1988年に初めておこなわれました。

それ以降胚凍結の技術は進歩し、現代においては凍結胚は広く普及しています。
今の日本では体外受精で生まれる赤ちゃんの中でも8割近くは凍結胚から生まれていると言われています。

日本で生殖補助医療によって生まれる赤ちゃんは4万人ともいわれ、30人の子がいれば1人は凍結胚から生まれてきたということになります。

胚を凍結することで、生まれてくる赤ちゃんが100グラム程度大きい、胎盤がはがれにくいという報告もありますが、どちらも長期間にわたって母子に影響を与えるものではないと考えられます。
むしろ凍結胚を利用することで妊娠率が上がるなどのメリットの方が大きいと言われています。

受精卵を冷凍することによって避けられるリスクもあります


受精卵を冷凍するメリットの中でも、とくに注目されるのが妊娠率の向上です。
受精卵を冷凍して戻す時期を調整することによって、子宮の状態を着床しやすいベストコンディションに整えることができると考えられています。

さらに凍結胚を使うことで卵巣刺激症候群(OHSS)の悪化リスクを回避できるとも考えられています。
OHSSとは排卵誘発が強すぎた場合に卵巣が膨れ上がったり、腹水が溜まったりする状態を言います。

OHSSになると血液が凝縮されるために血栓症のリスクも上昇します。
OHSSが重症化するリスクがある場合は新鮮胚の移植をせずに、受精卵を凍結するという選択も可能です。

さらに凍結胚を移植することで多胎妊娠を下げることもできます。
採卵数が多くて受精卵がたくさんできた場合、凍結すれば1個ずつ子宮に戻すことができます。

多胎妊娠は母子ともにリスクが上がります。
そのため凍結胚は母子のリスクを下げるために選択されている方法でもあるのです。

凍結胚は自然周期法かホルモン補充療法で子宮に戻されます

凍結胚のメリットは子宮に戻す時期をコントロールできることです。
たとえば、採卵したときは排卵誘発の影響で子宮内膜環境があまりよくないこともあります。

このような場合はすぐに移植に進むのではなく、凍結して卵巣や子宮内膜の状態を整えて移植することで着床率が改善するというのが医師の所見です。
胚移植をおこなうタイミングには、自然周期法と人工周期でおこなうホルモン補充療法があります。

自然周期による胚移植は排卵を確認した後に移植が行われます。
一方でホルモン補充療法の場合は、子宮内膜を厚くするために卵胞ホルモン剤を使用します。

内膜の状態を確認してから黄体ホルモンを開始し、凍結胚のステージと黄体期の日数を合わせて胚移植をするのです。
子宮内膜が薄くて着床しにくいと考えられる場合、その周期での胚移植ができないことがあります。

このような場合も凍結胚であれば、環境を整えてから胚移植にのぞむことができます。
ホルモン補充療法を選択することで、スケジュールも調節しやすくなると考えられます。
体外受精を希望しているが、スケジュールが自由にならないという人も凍結胚を利用することで仕事と両立しやすくなるかもしれません。

(まとめ)体外受精の受精卵を冷凍することでリスクはあるの?

1.体外受精時に受精卵を冷凍することで変性するリスクはゼロではありませんが、凍結胚を選択することで避けられるリスクもあります

凍結胚を使うことで、受精卵が影響を全く受けないわけではありません。

しかし妊娠率の向上や多胎妊娠リスクの回避にも大きく寄与するため、おすすめな治療法と言えるでしょう。
30人に1人は凍結胚によって生まれた赤ちゃんとも言われています。

2.30人に1人は凍結胚から生まれていると言われています

凍結胚を使った妊娠・出産は一般的なものとなりつつあります。

割合で言えば、30人在籍するクラスなら1人は凍結胚を経て出産に至った子供と考えられるでしょう。
凍結胚を使うことで妊娠率が上がるなどのメリットも多く示唆されています。

3.受精卵を冷凍することによって避けられるリスクもあります

受精卵を冷凍するのはリスクを下げるためでもあります。

OHSSのリスクが高い場合、新鮮胚移植ができないことがあります。
そんな時に凍結胚を選択して悪化を防ぐことが可能です。
また多胎妊娠を避けられるため、母子のリスクを減らせるとも考えられます。

4.凍結胚は自然周期法かホルモン補充療法で子宮に戻されます

凍結胚を利用することで、胚移植のスケジュールをコントロールしやすくなります。

胚移植のタイミングをずらすことで、子宮の環境を整えて着床しやすくできることも大きなメリットです。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師