卵子凍結後の卵子が赤ちゃんに特別な影響を及ぼすことはないとされています


卵子凍結は、将来出産を望んだときのために質の高い卵子を残しておくためや、病気の治療などで卵巣機能に影響が出る前に卵子を保存するなどの目的のために行われます。

凍結後の卵子は、凍結時の卵子そのままの状態で保存されているので、通常の顕微授精での妊娠、出産が可能といえます。
日本では実例が少ないのですが、凍結自体が原因となって出産後の赤ちゃんに問題が生じる可能性はないといえるでしょう。

卵子凍結では卵子の状態を凍結時のまま保存することが可能といわれています

実は女性がまだ胎児のときに、一生分の数の卵母細胞が体の中にすでに作られているとされているのです。
排卵が始まる思春期頃には卵巣内の卵母細胞は30万個程度まで減り、実際に排卵する卵子の数は数百個程度といわれています。

卵母細胞は新しく作られることがないので女性が年齢を重ねると同時に卵子も年齢が上がり、徐々に老化が始まるのです。

一般的には女性が35歳以上になると妊娠率が低下して流産する確率が増加します。
そして妊娠率の低下や流産率の増加は、主に卵子の老化により染色体異常が生じるためと考えられているのです。

女性の年齢が上がると、卵巣にある卵母細胞が通常行うはずの減数分裂に失敗しやすくなり減数分裂が正常にできなかった場合には染色体の数のバランスが崩れて、染色体不分離という染色体異常が生じます。

老化した卵子では受精卵の染色体異常の可能性が上がるといわれているのです。
しかし凍結した卵子は凍結した時点の状態を維持しているため質が保たれています。

卵子凍結では老化が進んでいない卵子で妊娠が望めるため、受精卵や出産時の赤ちゃんに染色体異常が生じる確率は低くなるといえるでしょう。

女性の年齢によってダウン症児の出生率も増加するといわれます


自然妊娠の場合には女性の年齢が上がるとともに妊娠率が下がり、42歳では妊娠率が10%、44歳では3%程度まで下がるといわれているのです。
また流産率も増加して、大体40歳以上の方の流産原因の約70%は染色体異常というデータがあります。

妊娠が成功しない、または妊娠しても流産してしまう卵子の染色体異常の主な原因は、卵子の老化です。
もともと染色体異常のない女性でも、40歳以上になると卵子の老化のためかなりの確率で減数分裂後の卵子の染色体が正常時と異なる数になりやすくなるといわれます。

染色体異常には染色体が1本多いトリソミーが多く、そのトリソミーの中でも多い症例は、21番の染色体の数が1本多いダウン症です。
基本的に染色体異常が生じている受精卵は子宮内膜への着床が難しく、着床しても妊娠が続かない可能性が高いといえます。

流産しないで出産した場合でも、女性が40歳以上ではダウン症児を出産する確率が若い人の約10倍になるという統計結果が出ているのです。

凍結後の卵子では顕微授精が行われます

卵子凍結したあとに妊娠を望んだ時には、卵子を融解してから顕微授精を行うことになります。
卵子凍結時にはしっかり成熟した卵子のみを凍結します。

凍結の技術が上がっている現在では、凍結中に卵子が損傷することはほとんどないです。
しかし凍結後に卵子を融解するときには卵子にダメージが生じる場合があり、卵子を正常に融解する割合はおよそ80%といわれています。

卵子にダメージが生じた場合にはその卵子で受精を行うことができないため、万が一に備えて卵子は複数凍結しておく方が安心です。
卵子融解後にはパートナーの精子とともに顕微授精を行い、受精が成功したら受精卵を培養してから子宮内に戻して着床を待ちます。

卵子の老化が正常な妊娠と出産に大きな影響を与える可能性が高いため、その問題を避けるために卵子凍結で卵子の老化を防げるとされているのです。

ただ日本ではまだ卵子凍結は症例数が少なく、凍結卵子での妊娠率や出産時に染色体異常が生じる詳しい確率などははっきりしていません。
基本的には卵子凍結は赤ちゃんに問題が生じないために行うことができる施術といえます。

しかし赤ちゃんの染色体異常は女性の現在の年齢や男性の精子が原因の場合もあるため、さまざまな要因を視野に入れながら治療を進めましょう。

(まとめ)卵子凍結をしても赤ちゃんに影響はでない?

1.卵子凍結後の卵子が赤ちゃんに特別な影響を及ぼすことはないとされています

卵子は胎児のときから女性の体の中に作られているので、女性の年齢によって老化が生じやすく、卵子の年齢が妊娠や流産の大きな原因になっているといわれています。

卵子凍結では凍結時の年齢のまま卵子を保存することが可能といえます。

2.卵子凍結では卵子の状態を凍結時のまま保存することが可能といわれています

卵子は胎児のときから女性の体の中に作られているので、女性の年齢によって老化が生じます。

老化した卵子は妊娠や流産の大きな原因になっているといわれているのです。
卵子凍結では凍結時の年齢のまま卵子を保存することが可能といえます。

3.女性の年齢によってダウン症児の出生率も増加するといわれます

女性が40歳を過ぎると、妊娠率や流産率だけでなくダウン症児の出産などの原因にもなるといわれています。

そしてこれらの原因は卵子の老化が主な原因になっていると考えられているのです。

4.凍結後の卵子では顕微授精が行われます

卵子凍結は卵子の状態を凍結時のままで長期間保管するための施術です。

凍結時には卵子に問題が起きることはないのですが、融解時にダメージが生じることや、一度では妊娠が望めない可能性があるので複数の卵子を保存しておくといいでしょう。


仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師