仕事と不妊症治療の両立について

不妊症治療は長期間にわたることも珍しくなく、またその期間をあらかじめ見通すこともできません。このため、女性が仕事を続けながら不妊症治療を受けるには、さまざまな困難を伴います。

厚生労働省の調査1によると、不妊症治療と仕事との両立が難しい理由について、「通院回数が多いこと」「精神面で負担が大きいこと」「待ち時間など通院にかかる時間が読めない、医師から告げられた通院日に外せない仕事が入るなど、仕事の日程調整が難しい」といった回答が多く寄せられました。

また、「不妊治療をしたことがある」と回答した176人の女性のうち、仕事を辞めた人が40人、雇用形態を変えた人が18人いました。さらに、両立が難しく、不妊症治療を止めた人も17人いました(1)。

最初のうちは仕事と不妊症治療の調整ができていても、治療が進行していくなかで、多くの時間をとられ、精神的にも肉体的にも疲れてくると、仕事から離れたり、不妊症治療を止めたりする女性が多いと考えられます。

図1 不妊症治療と仕事の両立について

厚生労働省, 仕事と不妊治療の両立支援のために.

平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究

不妊症治療をサポートする企業も

不妊症治療と仕事の両立をサポートするため、厚生労働省は2019年、「仕事と不妊治療の両立支援のために~働きながら不妊治療を受ける従業員へのご理解をお願いします~」という企業向けリーフレットを作成しました(2)。企業に不妊症治療の実情を知らせるとともに、不妊症治療を目的とした休職・休暇制度や、治療にかかる費用の助成制度を採り入れている企業の実例を紹介しています。たとえば、通院に必要な時間だけ休暇を取ることができるよう、年次有給休暇を半日単位・時間単位で取得できる制度などを設ける企業は、今後増えてくると考えられます。

また、このリーフレットでは、不妊症治療を受けている、あるいは今後受ける予定である従業員が、企業側にそのことを伝えるための「不妊治療連絡カード」の使用を提唱しています。このカードの提出を受けた企業が従業員に対して、不妊症治療をサポートする自社の制度を紹介したり、適切な配慮を行ったりすることを期待してのものです。カードのオモテ面では、氏名とともに、不妊症治療を実施中もしくは不妊症治療を予定していること、治療の実施(予定)時期、特に配慮が必要な事項などを記入します。ウラ面では、わが国における不妊症治療の現状や、不妊症治療のスケジュール(目安)などが記載されており、職場内での不妊症治療への正しい理解を深めることができるようになっています。

なお、不妊症治療を行うクリニックでは、仕事との両立を考慮した診療時間を設定したり、検査や治療のスケジュールの相談に乗ってくれたりするところもあります。クリニックを受診する際には、こうした配慮の有無についてもチェックしてみましょう。

図2 厚生労働省が、仕事と不妊治療の両立支援のために作成したリーフレット

このリーフレットと「不妊治療連絡カード」は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/30.html

 

 

1)厚生労働省, 仕事と不妊治療の両立支援のために. 平成29年度 不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査研究

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30a.pdf

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師