不妊治療の悩みはデリケートな話題であり、人に相談しにくいことも。また、終わりが見えないことに不安を感じている方も多いかもしれません。

この記事では、不妊治療が辛いと感じるお悩みについて、その原因や治療中のストレスを軽減する方法、乗り越え方をご紹介します。

不妊や治療について悩む人は増えている

日本は世界的にみても不妊治療が盛んにおこなわれている「不妊治療大国」といわれています。子どもを授かれずに悩む夫婦は、実に約2.6組に1組以上。実際に不妊治療経験のある夫婦の割合も増加しています。

不妊治療は主に女性の心身に負担がかかりやすく、治療中にうつ状態になる女性も少なくありません。周りはどんどん妊娠・出産しているのにどうして私だけ、と孤独や焦りを感じてしまう方もいらっしゃいます。

実際に、2021年の国立成育医療研究センターの調査によると、体外受精などの生殖補助医療を受ける女性の約54%が、軽度以上の抑うつ状態であったことが明らかになっています。
つまり、不妊治療中に「辛い」「逃げ出したい」と感じてしまうのは、決して珍しくないことなのです。あなたが今感じている苦しさを、同じように感じ、迷いながら治療を続けている人がたくさんいます。

このように不妊治療中の女性の精神的なケアやサポートは必要不可欠であり、不妊治療における課題のひとつです。不妊治療中の辛さを、少しでも和らげるための方法を一緒に考えていきましょう。

参考:国立研究開発法人 国立成育医療センター「体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が 治療開始初期の段階で、すでに軽度以上の抑うつ症状あり

つらいのはどんな時?不妊治療に関する悩み

不妊治療に向き合うなかで、多くの方がさまざまな悩みを抱えています。それは、身体的な負担や精神的な疲労感、経済的な不安など多岐にわたります。
ここでは、不妊治療中の方々が、実際にどのような悩みを抱えているのかを考えてみましょう。

本当に妊娠できるか不安

終わりが見えない治療に、「本当に妊娠できるのか」と不安を抱える患者さまも多くいらっしゃいます。
不妊治療は多くの場合、タイミング法から始まり、妊娠に至らなければ人工授精・体外受精とステップアップしていきます。何度か治療を繰り返すため、治療期間が1年以上に渡る場合も珍しくありません。

比較的早期に妊娠できる場合もあれば、何度も治療を繰り返しながら、ようやく妊娠に至る場合もあります。母体の年齢が上がるにつれて妊娠率は低下していくため、時間の経過とともに焦りを感じてしまうことも。

治療を受けること自体がストレス

場合によっては不妊治療自体が、患者さまにとって大きなストレスとなることがあります。
不妊治療は不妊原因を特定するために、血液やエコーなどのさまざまな検査を受けていただく必要があります。また実際の治療においては、自己注射や薬の服用、採血やホルモン補充など、身体的な負担も少なくありません。

医院での待ち時間も予想がしづらく、通院に際しては私生活や仕事の予定調整が必要になることもあります。連日の注射や薬の副作用なども相まって、不妊治療が辛いとストレスを感じてしまうのは無理もありません。

仕事と治療を両立するのが難しい

仕事をしながら不妊治療をする患者さまも増えてきています。しかし不妊治療は排卵周期に合わせて通院や治療が必要であるため、急な仕事の休みや時短を余儀なくされることがあります。またホルモン刺激療法によって体調を崩される場合があり、仕事に支障がでることも考えられます。

厚生労働省の調べによると、不妊治療をした約11%の女性は仕事と治療の両立が困難になり離職しているといいます。また両立できずに不妊治療をやめたという方もいるようです。
待ち時間が読めない、仕事の日程調整ができない、体調や体力面で負担が大きいなど、さまざまな理由で両立が難しいと感じる患者さまが多く、クリニックはもちろんですが、職場や周囲の理解や配慮も必要です。

参考:厚生労働省「不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック

経済的な負担が大きい

不妊治療は長期に渡るケースが多く、経済的な負担は大きくなります。
2022年4月より保険適用となりましたが、回数や年齢制限の指定があるため、どなたでも、何度でも保険適用で受けられるわけではありません。
治療を繰り返し、年齢が上がるたびに、制限による経済的な焦りを感じてしまう患者さまもいらっしゃいます。

特に高度な不妊治療の体外受精や顕微授精は、依然として費用負担が大きいといえます。経済的な理由で不妊治療の継続を断念するというケースも、残念ながら存在します。

情報があふれていて何を信じればいいかわからない

不妊や不妊治療についてわからない点も多く、自分で情報を集める患者さまも多くいらっしゃいますが、あまりおすすめできません。書籍やホームページ、SNSや動画サイトのさまざまな媒体で容易に情報を見つられますが、本当に正しい情報であるかはまた別の話だからです。

「治療中に〇〇は食べてはいけない」「治療中は〇〇をするべき」など、極端な情報も多くあります。不確かな情報に振り回されることで「どの情報を信じればいいかわからない」と逆に不安やストレスを感じてしまうかもしれません。しかし、不妊の原因は人それぞれであり、患者さまの身体の状態や年齢も異なります。掲載されている情報が、必ずしも自分のケースに該当するとは限らないことを覚えておきましょう。

他の人の妊娠を素直に喜べない

ご友人や知人の妊娠報告に素直に喜べず傷ついたり、自信をなくしてしまう方もいるようです。マタニティマークを見るだけで辛い、という方もなかにはいらっしゃいます。

なかなか妊娠に至らない状態での周囲の妊娠報告は、不妊治療中には辛く感じるものです。素直に喜べないご自身に対しても、フラストレーションが溜まってしまう場合があります。

ご友人の妊娠・出産報告や子どもの写真が一方的に見えてしまうSNSやインターネットなどは、場合によっては距離を置いた方がご自身にとってよいこともあるでしょう。

努力が報われていない気がしてしまう

不妊治療中は禁煙や禁酒のほか、妊娠しやすい身体づくりのために食生活や運動などを意識されているかもしれません。にもかかわらず望ましい結果が得られないとき、「こんなに頑張っているのに」「またダメだった」と落胆し、疲弊した気持ちになるのは無理もありません。

パートナーや周囲からの理解を得られない

周囲から理解を得られずストレスを抱える女性は少なくありません。とくにパートナーとの不妊治療に対する温度差や理解の欠如、家族や親戚からのプレッシャーなどがあげられます。

不妊治療は本来、ご夫婦お二人で協力しておこなうものですが、どうしても女性に負担が偏りがちです。「二人の子どもなのに、なぜ私だけ」と考えてしまうこともあるでしょう。
パートナーの当事者意識の低さや周囲の配慮不足によってメンタルの不調につながり、結果として不妊治療が辛くなる原因になっているかもしれません。

あなただけじゃない!不妊治療の悩みや不安の声

「不妊治療がつらい」と感じているのは、決してあなただけではありません。ここでは、多くの方が抱えているよくあるお悩みや、不安の声をご紹介します。

妊娠や不妊のことで頭がいっぱいに

「不妊治療に取り組んでいますが、なかなか子どもを授かることができません。仕事をしていても家事をしていても、休みの日に出かけている時でさえも不妊治療のことが頭をよぎってしまいます。スマホを触っているとつい妊活や不妊について調べてしまい、出てきた情報に振り回される毎日……苦しいです。」

このように、治療のことで頭がいっぱいになって苦しい…という方もいらっしゃいます。また、たとえば職場でも「明日は通院だからこの仕事は受けられない」、食事を楽しんでいるときも「治療中だからこれは食べられない」など、さまざまな場面で不妊治療が頭をよぎるようになり、ストレスとなることもあります。

妊娠・出産した人を妬んでしまう

「友達や有名人の妊娠報告を見ると、「簡単に妊娠できていいな、ずるい」という妬みの気持ちが湧いてきてしまいます。同じく不妊に悩んでいた友達が妊娠できた時も、本当は素直にお祝いしたいのに羨ましい気持ちが邪魔をしてしまい……そんな自分が嫌でさらに落ち込みます。」

不妊治療中のこのような感情は、治療期間が長くなればなるほど大きくなってしまうものです。素直に喜べない自分を責めてしまう方もいるかもしれません。
しかし、周囲の妊娠・出産の話題に心を揺さぶられることは、決して珍しいことではなく、多くの方が同じような悩みを抱えています。

協力してくれないパートナーにイライラ

「パートナーが妊活に積極的ではなく、疲れているとか忙しいとかでタイミングを取ってくれないことがあります。クリニックに行く前日に酔っぱらって帰ってくることもあり、イライラして喧嘩になることもしばしば。子どもは欲しいと言うのですが私とは温度差があり、疲れてしまいます。」

妊活・不妊治療の過程で、お二人の足並みが揃わず苦しんでいるご夫婦やカップルは少なくありません。
「一緒に頑張りたいのに、どうして協力してくれないの?」という気持ちが募り、心が疲弊し、お二人の関係にまで影を落としてしまうことも。

不妊治療では、女性の心身に多くの負担がかかり、夫婦であっても、感じ方や捉え方に差が生じてしまうことがあります。一番の理解者であってほしいパートナーが理解してくれない、協力してくれないことは、非常に辛いことです。

不妊治療のストレスを軽減し、つらさを乗り越えるには?

不妊治療中の不安や悩みはデリケートな話題であり、なかなか人に相談できない方もいるかもしれません。治療中のメンタルの保ち方や、ストレスを軽減するためのポイントをご紹介します。

自分の頑張りを自分で認めてあげる

仕事や家事があるなか、情報を調べ、通院し、治療を受けながら頑張っているあなたは、それだけで十分過ぎるくらいの努力をしています。まずは、自分の頑張りを、ご自身で認めてあげることが大切です。

「もっと頑張らなきゃ」「弱音を吐いてはいけない」と、自分を責めたり、他人と比べたりする必要はありません。また、誰からも褒められないと辛くなることがあるかもしれません。
しかし、最も身近な自分自身が「自分はよくやっている」と頑張りを褒めてあげることで、心が軽くなることもあるでしょう。また、息抜きとして夫婦で旅行に出かけてみたり、好きなことに没頭したりするのも、ストレス軽減につながるかもしれません。

自分の状態を正しく理解する

不妊治療中に漠然と感じるストレスや不安をまずは一度整理し、自分の心身の状態を受け入れることが重要です。
何に対してストレスに感じているのか、不妊治療の何が辛いのか、紙に書き出してみるのもよいでしょう。具体化することで、自分のメンタルの状態を把握できるとともに、パートナーや周囲にも言葉で伝えやすくなります。

また、紙に書き出すことで、自分の状態や感情に対し、客観的に見れるようになります。冷静に物事が考えられるようになり、今まで考えもしなかった選択肢や自分の感情に気づけることも。
他人には共有しないことを前提に、思いのままに書き出すと、心が落ち着いたり、頭がスッキリするかもしれません。

パートナーや周囲に素直に気持ちを伝える

不妊治療の悩みや不安は一人で抱え込まず、パートナーや相談できる近しい人に伝えるとよいでしょう。

不妊治療の悩みや心のひっかかりは、一度しっかり夫婦で話し合い、解消するのが理想です。無理に明るく振る舞うことで、知らぬ間に精神的な負担となっていることもあります。

「不妊治療が辛い」という気持ちに蓋をせず、素直に打ち明けることで、気持ちが楽になることもあるはずです。
お互いに不安やストレスに対してどのような配慮やサポートができるか、改めて考えられるでしょう。

また、パートナーに気持ちや要望を伝える際は、より具体化することでコミュニケーションが円滑になります。たとえば「もっと協力して欲しい」などの場合は、「〇〇日が排卵日なので、3回くらいタイミングを取りたい」「不妊治療が精神的に辛いので、できればこのくらいのペースで通院に同席して欲しい」などです。

こちらの心情を率直に伝えたうえで、具体的な要望を添えると、相手にもわかりやすく伝わるでしょう。

パートナーの気持ちも聞いてみる

もしかするとパートナーも、あなたとは違うかたちで不安やプレッシャーを感じているかもしれません。
男性のなかには、自分の感情をうまく言葉にできなかったり、「支えなければ」と思うあまり、かえって何をしたらいいかわからないと悩む方もいらっしゃいます。また、不妊治療以外に仕事や職場の人間関係など、他の悩みで心に余裕がないというケースも考えられます。

「ちゃんと向き合ってくれていない」と感じるときこそ、相手を責めずに、一度パートナーの気持ちを聞いてみることも大切です。「あなたはどう感じてる?」「何か不安に思ってることある?」と、やわらかく問いかけることで、これまで見えなかった本音が見えてくるかもしれません。

妊娠や治療について意見をすり合わせる

不妊治療は妊娠するまで、もしくは治療を辞める決断をするまで続く治療です。ゴールが見えない治療であるため、経済的な面も含めてどこまで治療をするのか、意見をすり合わせておくことが重要です。

妊娠や治療について夫婦間で認識合わせをしておかないと、治療のステップアップの際や治療継続の判断の際に温度差が生じてしまうことがあります。なるべく最初の段階で意見や考えを共有しておきましょう。

信頼のおける医師やクリニックに相談する

ホームページやSNSなどにあふれる情報は、場合によっては間違っていたり、誤解を生む表現が使われていたりします。
情報に一喜一憂したり流され過ぎたりせず、大事なことは直接専門家や担当医に相談することをおすすめします。

また治療が長期化すればするほど、担当医の意見がすべてになってしまいがちです。不妊治療の成果や治療方針に疑問を感じたら、他のクリニックでセカンドオピニオンを受けるのもひとつの方法です。

ストレスの原因から距離を置く

不妊治療中はストレスの原因となる人や事柄から、いったん距離を置いてみるとよいでしょう。

たとえば最近妊娠した友人・知人とは、無理に付き合わず、一時的に連絡を控えてみるのも悪くありません。過度なSNSの閲覧もストレスを感じる原因となりうるため、意識的に離れてみると不要な情報で心を乱さずに済むことがあります。

たまには不妊治療から離れて、リラックスする時間を設けることが、メンタルを保つポイントです。

六本木レディースクリニックが不妊治療をサポートします

妊活中の女性のメンタルの不調は、不妊治療における取り組むべき課題です。身体的負担、精神的ストレスで、いわゆる不妊うつにならないよう、パートナーはもちろん周囲の人、職場でも支援や配慮が必要になります。不妊治療中の女性は一人で悩みを抱え込まず周囲に相談する、リラックスする時間を設けるなどの工夫をしてみましょう。

六本木レディースクリニックは、不妊に特化した不妊治療・体外受精専門のクリニックです。ご夫婦が働きながら治療できるよう、平日の夜間診療や土日祝の受付も可能となっています。
また、ドクターや看護師、カウンセラーの対応や雰囲気のよさについて高く評価いただいており、セカンドオピニオンとしても多くの患者さまから選ばれております。現在の治療が苦痛な方、不安を抱えている方はぜひ六本木レディースクリニックにご相談ください。

看護師による無料相談も実施しており、不妊治療のお悩みや不安にお答えしています。不妊治療に関する悩みや疑問は、当院にお気軽にご相談ください。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

ドクターのご紹介

帝京大学医学部付属溝口病院、母子愛育会総合母子保健センター愛育病院、国立成育医療研究センター不妊診療科を経て、2019年より現職。
資格・所属学会は、日本産科婦人科学会専門医のほか、日本産科婦人科学会、日本生殖医学会、日本産婦人科内視鏡学会。

医師からのメッセージ

当院は、不妊検査やタイミング指導、人工授精といった一般不妊治療から高度生殖補助医療までの不妊治療を専門としたクリニックです。
痛みが心配な方、ご安心ください。卓越した技術と最大限の配慮をお約束します。
また夜間や休日も診療を行い、不妊治療の苦労を少しでも軽減できるように努めています。

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師