体外受精で使用する点鼻薬の効果は排卵抑制と排卵誘発です


体外受精で投与する点鼻薬は異なる効果をあわせ持ちます。
採卵前に卵胞を成熟させること(排卵抑制)と、成熟した卵胞を排卵させること(排卵誘発)です。

長期間の使用で排卵抑制の効果が期待され、短期間使用の場合であれば排卵誘発の効果が期待されると言われています。
そのため使用目的によって投与する期間とタイミングを変えて治療を行います。

点鼻薬を正しく使うためのスケジューリングが大切です

体外受精で点鼻薬を使用する際、確実に効果を上げるために徹底しなければならないことがあります。
それは自分自身で点鼻薬投与のスケジュール管理し、把握をすることです。

体外受精には「ロング法」と「ショート法」があり、点鼻薬を使う目的によって使用期間やタイミングが異なってきます。
ロング法では前回生理周期の高温期から1日3回の投与を始め、生理3日目あたりから排卵誘発剤の併用を開始します。

育った卵子が採取前に排卵してしまうのを防ぐため、採卵日の数日前まで毎日のように点鼻薬を使用しLHサージを抑制します。
その後、hCG注射などの排卵誘発剤を投与して採卵を行います。

ロング法ではあまり卵胞数が増えなかった場合はショート法による治療となることがあります。
生理2日目から点鼻薬を投与し、排卵をコントロールします。

このように治療法によって点鼻薬の使い方が異なってきますので、自分のスケジュールを把握することはとても大切です。
また上記に挙げた治療法は一例ですので、スケジュールは人それぞれ違ってきます。

不明点は必ずクリニックに確認をしたうえでスケジュール管理をしましょう。
もっとも多い間違いは点鼻薬を使う時間や日付を勘違いしてしまったというものですが、スマートフォンのアラーム機能などを利用することでミスを事前に防ぐことができます。

点鼻薬の副作用が表れることがあります


点鼻薬は体外受精における効果を期待できる反面、女性ホルモンに影響を与えるため、更年期障害に似た症状などが表れることがあります。
スケジュール通りに正しく治療をしていても、薬品である以上、副作用が出るリスクがあることを覚えておきましょう。

点鼻薬による主な副作用といわれているものは以下の通りです。

  • 発汗・ほてり
  • 冷え
  • 肩こり・倦怠感
  • 不眠・イライラ・うつ病
  • 頭痛
  • 体重増加
  • 吐き気

副作用の中で特に重篤とされているのが、アナフィラキシーショックと呼ばれるものです。

下記のような症状を感じたら、すぐに使用を中止しましょう。

  • 発疹
  • 発熱
  • 呼吸困難
  • 血圧低下
  • 激しい吐き気・めまい
  • 血小板と白血球減少
  • 不正出血
  • 心筋梗塞

副作用はいつどのタイミングで起こってもおかしくありません。
人によっては後遺症が残ってしまう場合や、命に関わったりする場合があります。

大事に至らないために、初期症状を感じたら速やかに対処することが大事です。
異変を感じたらすぐ医師に伝えましょう。

点鼻薬は妊活ライフをサポートしてくれます

スケジュール管理や副作用の問題など考慮しなければならない点もありますが、効果の面で考えれば点鼻薬は体外受精を続けるうえで欠かせない薬です。

そもそも子宮内膜症や子宮筋腫の治療薬として使われることもある点鼻薬が、どうして不妊治療にも使用されているのでしょうか。
その理由は「GnRH」というホルモンの働きを抑え、女性ホルモンをコントロールできることにあります。

長期間使用することにより女性ホルモンが分泌されなくなるので、排卵が起こりません。
体外受精のための採卵をする際には点鼻薬で自然周期による排卵を抑えつつ、卵胞を成熟させるためのホルモン剤を投与しながら卵胞の成長を促進させます。
点鼻薬を短期間で使用した場合は排卵のきっかけとなる現象を引き起こします。

卵胞が成熟した段階で点鼻薬を1回~2回ほど投与すると、排卵を促すことができます。
卵胞の状態や体調などにもよりますが、点鼻薬を使用してから約36時間後に排卵が起こるとされています。
このように目的に合わせて女性ホルモンをコントロールしてくれる点鼻薬は、体外受精を手助けしてくれる存在なのです。

(まとめ)体外受精で点鼻薬を使うとどんな効果があるの?

1.体外受精で使用する点鼻薬の効果は排卵抑制と排卵誘発です

体外受精において点鼻薬を使用する目的はふたつあります。

長期間の使用による排卵抑制と、短期間の使用による排卵誘発です。
それぞれ目的によって投与の期間やタイミングを変えて治療をするのは、使用期間によって点鼻薬が正反対の効果を発揮するためです。

2.点鼻薬を正しく使うためのスケジューリングが大切です

ロング法とショート法ではそれぞれ点鼻薬を投与する期間とタイミングが異なります。

点鼻薬の効果を引き出すために正しいタイミングで使用することを心がけ、治療のスケジュールをきちんと管理し把握しておきましょう。

3.点鼻薬の副作用が表れることがあります

点鼻薬は治療効果を期待できますが、同時に副作用にも注意が必要でしょう。

軽微な症状がほとんどですが、命に関わるような重い症状が引き起こされる場合もありえます。
何かおかしいと感じたら、速やかに使用を中止し医師に相談しましょう。

4.点鼻薬は妊活ライフをサポートしてくれます

点鼻薬は女性ホルモンをコントロールし、体外受精の効果を高める薬です。

もともとは子宮内膜症や子宮筋腫の治療薬でしたが、現在では不妊治療薬としても使われています。
体外受精を成功させるためには点鼻薬の効果を理解して付き合っていくことが大切です。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小山寿美江医師
こやま すみえ/Sumie Koyama

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経歴
1999年 琉球大学医学部医学科卒業
2000年 東京医科大学病院救急救命センター
2001年 東京女子医大病院腎センター
2003年 緑風荘病院 血液浄化療法センター
2006年 昭和大学病院産婦人科
2009年 昭和大学病院産婦人科 助教
2010年 東京衛生病院産婦人科
2012年 木場公園クリニック勤務
木場公園クリニック 分院 院長
2016年 六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本受精着床学会
アメリカ生殖医学会

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院長 小山寿美江医師