体外受精で障害のリスクが高くなる医学的な根拠はないとされます


体外受精を行ったことで、子供に障害が出る確率が高まることはないといわれています。
ダウン症や遺伝病などのリスクは、自然妊娠の場合と変わらないと考えられています。

体外受精では障害が出やすいという意見もありますが、医学的な根拠はないとされています。
体外受精は高齢出産になるケースも少なくないため、高齢出産によるリスクと混同されてしまうところもあるようです。

高齢出産になりやすく、障害が出やすいイメージがある可能性があります

体外受精における子供に障害が出るリスクは、通常の妊娠と変わらないといわれています。
体外受精においてリスクが高いイメージがある要因として、高齢出産によるリスクが関係している可能性があります。

自然妊娠が難しい人が不妊治療を行いますが、不妊治療は一般的に徐々に次の段階の治療を行います。
いくつかの不妊治療を行ってから体外受精にたどり着くまでに、年齢を重ねることになります。

また高齢になってから不妊治療を始めるケースもあります。
そのため、体外受精を行う人は高齢出産となっていることも少なくないでしょう。

自然妊娠の場合でも高齢になるほど、さまざまなリスクが高まります。
体外受精でも通常の高齢出産と同じリスクがあると考えられます。

高齢出産で障害のリスクが高くなるのは、老化が関係しているといえます。
卵子や精子も年齢とともに老化していきます。

高齢出産では女性の年齢に注目されがちですが、男性の精子の老化も原因になるといわれています。
老化によって卵子や精子の質が落ちることで、遺伝情報を伝える染色体に異常が出て、子供に障害が出ると考えられています。

高齢出産が必ずしも障害が出るわけではありませんが、若い時よりもリスクが高くなってしまいます。
老化には個人差があり、生活習慣によっても変わってくると考えられています。

元気な子供を産むためには、男女ともに健康的な生活習慣を心がけた方が良さそうです。

体外受精は双生児の確率が高くなるといわれています


障害とは異なりますが、体外受精を行うと双生児を妊娠する多胎妊娠の確率が、通常の妊娠よりも高くなるといわれています。
多胎妊娠自体は障害ではありませんが、多胎妊娠がきっかけとなり子供になんらかの影響が出る可能性はあります。

早産や流産の可能性が高くなりますし、分娩時のリスクが高くなるともいわれています。
そのことがきっかけで、赤ちゃんに障害が残る可能性も考えられます。

体外受精では、受精卵を胚移植した後、子宮に戻して着床させます。
胚移植の際に、着床の確率を上げるために複数の受精卵を移植する2段階胚移植法が、2008年に原則禁止するまでは行われていました。

2個の受精卵を胚移植して両方が着床すると、二卵性双生児となります。
日本産婦人科学会が原則として胚移植は単一で行うように定めたことにより、多胎妊娠の確率は約5%と少なくなっているのです。

ちなみに原則1個というのは、35歳以上や2回連続で妊娠しなかったなど、妊娠しにくい女性に対しては2個の移植が認められているからです。
しかし体外受精では一卵性双生児の確率がやや高くなるとされます。

着床率を上げるために胚盤胞移植を行うと、通常の妊娠と比べて一卵性双生児を妊娠する確率が高くなるといわれています。
胚盤胞移植とは受精卵をすぐに移植するのではなく、受精卵が細胞分裂し胚盤胞と呼ばれる段階まで培養してから移植する方法です。

自然妊娠では受精卵は細胞分裂をしながら子宮にたどり着き、胚盤胞となってから着床するとされています。
本来子宮内にある状態まで培養することで、着床の確率が高くなると考えられています。

顕微授精を行うと男児に不妊症が受け継がれる可能性があります

体外受精を行っても障害を持つ子どもが生まれる可能性は、自然妊娠と変わらないといわれています。
しかし男性側に不妊の原因がある場合には、その遺伝子が受け継がれる可能性があります。

体外受精のなかでも、顕微授精と呼ばれる方法で考えられている可能性です。
男性の性染色体に異常があり、妊娠に必要な機能が備わっていないことがあります。

通常の性行為では妊娠できないのですが、顕微授精を行うことで受精できるからです。
顕微授精というのは、採取した卵子に精子を直接注入して受精させる方法です。

無事に受精したあとは通常の体外受精同様、胚移植を行い着床させます。
着床する確率は変わらないので、顕微授精を行えば必ず妊娠するということではありません。

しかし顕微授精では本来受精する能力がない精子でも、受精が可能ということになります。
そしてその異常を持つ染色体が子どもに受け継がれると考えられます。

性染色体の異常は、Y染色体と呼ばれる部分にみられます。
Y染色体は男児に継承される染色体なので、この異常が受け継がれるのも男児ということになります。

このことから、顕微授精で生まれた男児に父親と同じ先天的な不妊症が現れる可能性があるといわれています。
性染色体の異常以外に問題がなければ、他の障害が出るリスクは通常の妊娠と変わらないでしょう。

(まとめ)体外受精は子どもの障害のリスクが高くなる?

1.体外受精で障害のリスクが高くなる医学的な根拠はないとされます

体外受精で子供の障害の確率が高まるという医学的な証拠はないとされています。

自然妊娠でも高齢になるとリスクが高くなります。
高齢出産になりやすいことで、障害が出る確率が高くなっている可能性があります。

2.高齢出産になりやすく、障害が出やすいイメージがある可能性があります

体外受精は高齢になってから取り組むことも少なくありません。

高齢出産になると自然妊娠においても、障害などのリスクが高くなります。
そのことが体外受精では障害が出やすいイメージに繋がっている可能性があります。

3.体外受精は双生児の確率が高くなるといわれています

体外受精を行うと双生児を妊娠する確率が高くなるといわれています。

受精卵を2個以上胚移植する場合に、両方着床すれば二卵性双生児を妊娠することになります。
また胚盤胞移植では、一卵性双生児の確率がやや高くなるとされます。

4.顕微授精を行うと男児に不妊症が受け継がれる可能性があります

本来受精する能力を持たない精子を、顕微授精を行い授精させることで男性不妊が男児に遺伝する可能性があります。

生殖能力がない精子でも、顕微授精で人工的に受精することができることで起きると考えられています。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師