別の周期で体外受精をおこなうのが全胚凍結です


全胚凍結とは、排卵誘発剤で取り出した卵子を媒精させ、培養してできた良好な胚(受精卵)を全て凍結させる方法です。
この体外受精のやり方のことを、凍結胚移植と呼びます。

排卵誘発剤を使用すると、子宮内膜が薄くなってしまい胚を移植するのに適していない状態となってしまう場合があります。
そのようなとき、できた胚を一度凍結させ、別の周期で移植するというのがこの方法です。

凍結胚移植を用いれば、次の周期まで子宮を休ませることができ、最低でも1か月以上は期間を空けることが可能です。
そうすることで子宮内膜が薄かったのが厚くなり、体外受精の成功率が高まります。

妊娠のチャンスを見逃さない方法です

体外受精で全胚凍結を選択する一番の理由は、時期を見逃さず採卵し、移植するためです。
卵子を取り出すには排卵誘発剤を使わなければならず、そうすると一度に十数個もの卵子がとれることがあります。

このようなやり方ではエストロゲン分泌が過剰となり、卵巣が腫れて卵巣過剰刺激症候群といった副作用のリスクがあるのです。
全胚凍結ではすでに卵巣過剰刺激症候群になっている方が別の周期に移植を行う場合や、子宮内膜が薄くて着床する可能性が低いときに用いられます。

1回の採卵で多くの胚ができ、それをすべて凍結しておけば、何度も排卵誘発剤を使う必要がありません。
結果的に体の負担が減り、胚を移植する機会が増えるため、体外受精の成功率が高まります。

そもそも採卵してもすべてが受精し胚になるわけではなく、移植できるのは1回につき1~2個までです。
また凍結した胚は凍結や溶解の段階で変質してしまうものがあり、すべての胚が体外受精に適しているわけではありません。
このような理由から、一部の胚を廃棄してしまうのはもったいない場合は、全胚凍結を選択するようにしましょう。

凍結胚移植を利用するとメリット・デメリットがあります


体外受精で凍結胚移植を選択するのは、採卵周期に移植する方法と比較して、妊娠率が高まるからです。
排卵誘発剤を使用したときと同じ周期で移植する方法を、新鮮胚移植と呼びます。

このときには子宮内膜が薄くなりやすく、着床には適していない時期です。
そのため全胚凍結して一度子宮を休ませたほうが、妊娠率は高くなります。

新鮮胚移植に適しているのは、卵巣機能が良好で何度も胚をつくることができる場合です。
このような場合では、妊娠しなくても余剰胚凍結を選択することで、次の周期に移植することができます。

一方で卵巣機能が低下している場合は、いつでも良好な採卵ができるとは限らず、数も少なくなってしまうため、全胚凍結を選択しなければなりません。
卵巣機能が低下した場合でも、全胚凍結を選択しておけば、1回で複数の胚ができ、採卵回数を減らせるため体への負担が少ないといえます。

また移植個数も調節が可能となり、多胎妊娠を防ぐメリットもあります。
凍結胚移植のデメリットは、胚を凍結・溶解する際のダメージがあることです。

また採卵後は最低でも1か月以上期間を空けなければならず、妊娠するまでの期間が長くなる可能性があります。

凍結胚を移植するタイミングに注意が必要です

新鮮な胚より凍結させた胚のほうが、妊娠率が高まることについて、不思議に思う方も多いでしょう。
実は胚が着床するためには、いつでもよいということではないのです。

全胚凍結させた胚を移植する最適なタイミングとは、排卵日となります。
排卵促進剤を使って採卵し、それを受精させてから胚を成熟させ、それから移植しなければなりません。

受精後3日間熟成させてから移植する方法では、最適なタイミングとならないことがあります。
通常、着床しやすい時期とは3~4日だといわれていますが、不妊治療をしている方の中には1~2日と狭い方もいます。

このタイミングに移植しなければ着床することはできないため、全胚凍結させてから移植したほうが、ピッタリのタイミングで移植しやすいといえるのです。
また体内で受精卵が分裂する速度と、体外での分裂速度は異なります。

体外での速度のほうが遅くなってしまうため、移植できるタイミングまで胚が成長したとしても、そのころには着床のタイミングを失っていることも少なくありません。
ピッタリのタイミングに合わせる方法は、状況によって変える必要があるでしょう。

(まとめ)体外受精の全胚凍結とは?

1.別の周期で体外受精をおこなうのが全胚凍結です

全胚凍結とは、卵子を取り出し受精させた胚を全て凍結させる方法です。

排卵誘発剤の影響で子宮内膜が薄くなっていることがあり、次の周期に移植するために凍結させるというのが目的です。
全胚凍結を利用することで、より受精率が高まるといえます。

2.妊娠のチャンスを見逃さない方法です

体外受精で全胚凍結を選択する場合は、排卵促進剤を用い卵巣が腫れて卵巣過剰刺激症候群になっているときや、子宮内膜が薄く移植に適していないときに活用します。

1回の採卵で多くの胚ができていれば、何度も排卵促進剤を使う必要がありません。

3.凍結胚移植を利用するとメリット・デメリットがあります

体外受精で全胚凍結を選択したほうが、子宮を休めることができるため妊娠率が高まります。

卵巣機能が低下している方は、全ての胚を凍結させる方法を選択するようにしましょう。

4.凍結胚を移植するタイミングに注意が必要です

新鮮胚移植よりも全凍結胚移植を選択する理由は、着床しやすいタイミングに合わせることができるからです。

体外受精で胚を成熟している間に、着床のタイミングを逃してしまえば、妊娠することはできません。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師