体外受精の準備で長い期間をかけるのがロング法です


体外受精における排卵誘発法の中で、比較的長期にわたって行う方法がロング法です。
体外受精で卵胞を採取する方法として排卵誘発法が用いられますが、この方法にはロング法のほかに、ショート法やアンタゴニスト法などが存在します。

ロング法はそれらの方法に比べて、投薬をじっくり進めていって卵胞を育てていくことになります。
またアンタゴニスト法とは使用する薬剤も異なるのです。

ロング法は排卵日のコントロールがしやすい反面、準備期間が長くかかります

では体外受精の排卵誘発法の中で、ロング法と他の方法の違いとは何でしょうか。

準備期間が長い

ロング法は、他の方法に比べて卵胞を育てる準備を前もって行うのが特徴です。
ロング法を行う際は、月経前周期の高温期中期から、排卵をセーブするGnRHアゴニスト製剤の点鼻を毎日続けていきます。

一方、ショート法は月経が始まってからGnRHアゴニスト製剤の点鼻を行います。
そしてアンタゴニスト法では点鼻薬を使用せず、月経が始まって3日目からhMG・FSH注射を行って卵胞を育てていくのです。

排卵日のコントロールがしやすい

排卵誘発法の中でも、ロング法は排卵日のコントロールがしやすい方法として知られています。
ロング法では前もって排卵をセーブする点鼻役の投与を行うため、前もって決めた採卵日に合わせて排卵を行うことが可能です。
その点ショート法やアンタゴニスト法では排卵のセーブが行いにくいとされています。

投薬の量が多く通院回数も増える

ロング法では点鼻薬の投与を開始してから採卵日までが長く、その間点鼻と注射を何度も繰り返す必要があります。
そのため体への負担が少なからずかかることや、費用もかさみがちになることなど否めない部分もあります。

刺激法の一種であり少なからず負担も存在します


ロング法をはじめとしてショート法やアンタゴニスト法は、体外受精における排卵誘発法の中で刺激法と呼ばれる種類に分類されます。
これはその名の通り、卵巣を刺激して排卵を誘発する方法であるためです。

その中でもロング法は、長期的に投薬を行う必要があることから、ショート法やアンタゴニスト法と比べて刺激が強い方法でもあります。
こうした面から、3つの方法の中で最も卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にかかりやすいのがロング法ともいえるのです。

OHSSとは、体外受精における排卵誘発で使うhMG製剤やhCG製剤の影響によって起こるといわれ、これらの薬剤の刺激により卵巣が腫れ、腹水がたまった状態です。
これにより下腹部の痛みや不快感、吐き気などの症状が現れます。

さらに進行して腹水が多くたまると、尿量の減少や呼吸困難、頭痛や手のしびれなどの症状が出ることもあります。
もし体外受精の採卵誘発中にOHSSになってしまったとき、妊娠への影響を考えると無理な治療を行うことができません。

そのため点滴などの穏やかな方法で少しずつ様子を見ることになります。
このOHSSに罹ってしまう可能性はロング法だけではなく、ショート法やアンタゴニスト法にもあると言われています。

負担を減らした排卵誘発法もあります

ロング法をはじめとした刺激法が不安という人や卵巣機能が低下した人などには、低刺激法(マイルド法)や自然周期法といったものもあります。

低刺激法(マイルド法)

これは、排卵誘発を注射メインにするのではなく、内服薬をメインにして注射回数を減らしたものです。
月経が始まってから3日目から内服薬の投与を開始し、hMG・FSH注射やhCG注射の回数は最小限に抑えます。
投薬開始から採卵までも短期間で済み、比較的体への負担が少ない方法です。

低刺激法で用いられる排卵誘発剤には、以下のようなものがあります。

  • クロミフェン
  • セキソビット
  • フェマーラ
  • エストロゲン
完全自然周期

これは排卵誘発剤をほぼ使わずに自然周期による排卵で採卵を行う方法です。
ただし採卵を行う直前にはhCGかアンタゴニスト注射を用いることもあります。
体への負担を考えるとこの方法が一番軽いですが、採卵前に排卵してしまう可能性がある、また成熟していない空の卵胞しか採取できないなどのデメリットもあります。

これら2つの方法では、刺激法よりも体に優しいですし通院回数も少なく、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)などを持っている場合にも適用が可能です。
しかし刺激法と比べると1回に採取できる卵胞の数が少なくなり、受精や分割に失敗すると次の周期を待たなければなりません。

(まとめ)体外受精のロング法は他の方法と何が違うの?

1.体外受精の準備で長い期間をかけるのがロング法です

体外受精における排卵誘発法の中で長期にわたって行うのがロング法です。

その他の排卵誘発法ショート法やアンタゴニスト法に比べると、ロング法は長期間かけて準備を行うものであり、アンタゴニスト法とは使用する薬剤も異なります。

2.ロング法は排卵日のコントロールがしやすい反面、準備期間が長くかかります

ロング法は、ショート法やアンタゴニスト法といった体外受精の方法より前もって準備を行うことが特徴です。

またロング法は他の方法の中でも一番排卵のコントロールがしやすいですが、投薬量が多くなるという面もあります。

3.刺激法の一種であり少なからず負担も存在します

ロング法やショート法、アンタゴニスト法はいずれも体外受精の排卵誘発法の中で刺激法に分類されるものです。

その中でも特にロング法は刺激が強く、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にかかるリスクが高いといわれています。

4.負担を減らした排卵誘発法もあります

ロング法などの刺激法が不安という人などは、低刺激法(マイルド法)や自然周期法といった刺激が少ない排卵誘発法を選ぶこともできます。

低刺激法は排卵誘発剤を内服薬メインにする方法で、自然周期法はほぼ薬剤を使わない方法です。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師