基礎体温を測ることで“自分の体”のことを知る

妊活中の女性にとって基礎体温表をつけるのは必須ですが、つい測り忘れてしまったり、測らないうちに活動を始めてしまったりすることも多いのではないでしょうか。

タイミング法で妊娠を目指す場合、排卵日の推測に基礎体温表は役立ちますが、基礎体温表だけでは正確な排卵日の特定はできないとされています。むしろ、基礎体温表をつくることを通して、自分の体の働きを把握し、よりよい生活習慣や体調を整えることが重要です。

基礎体温のメカニズムを知っておこう

基礎体温は、一定時間(4時間)以上の睡眠の後に測ります。睡眠中は体温を上昇させる運動や食事摂取などが行われないため、目覚めた直後は基礎代謝だけを反映した体温になります。

基礎体温の測り方

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  • 毎日、眠りから覚めたときに、横になった状態のまま測ります。

体温計は、体を動かさないでとれるところに置いておきます。

  • 0.05まで目盛のある婦人体温計を使い、舌下で測ります。

データ自動記憶やグラフ作成などができる婦人体温計が販売されています。使いやすいものを選びましょう。

  • できるだけ規則的に同じ時間に測るほうがよいのですが、多少ずれてもかまいません。

忘れた場合は、その日を抜かして次の日からまた測りましょう。

  • 月経、体調の変化、おりもの、性交渉の有無もカレンダーに記録しておきましょう。

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月経が始まると、脳の下垂体は黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)を分泌します。それらが卵胞に作用し、その発育をうながします。育っていく卵胞はエストロゲン(卵胞ホルモン)を分泌し、それとともに子宮内膜が成長(増殖)していきます。卵胞が十分に成長し、エストロゲンの分泌もピークになると、LHが大量に分泌され、卵胞から卵子が飛び出します。これが排卵です。卵子が飛び出した後、卵胞は黄体という組織に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。このホルモンの作用で、子宮内膜は厚くなり、受精卵の着床準備を整えます。

卵胞が成熟し、子宮内膜が増殖して排卵するまでの月経期(3~7日)は、基礎体温は低温に推移します。そして、排卵後に分泌されるプロゲステロンが視床下部の体温調節中枢に作用すると、基礎体温は0.3~0.6℃上がります。黄体は14日程度機能を保ってプロゲステロンを分泌するので、通常、体温が上昇している高温期(高温相)は11~16日続きます。この基礎体温のサイクルが月経の周期であり、卵巣、子宮の変化にも対応しています(1)。

表1 女性の体のサイクルとその名称

基礎体温

低温期(低温相)

高温期(高温相)
卵巣 卵胞期(卵胞が成熟する) 黄体期(排卵後、黄体となり受精しなければ、月経とともに排出される)
子宮(内膜) 増殖期(卵胞が成熟すると、内膜が増殖する) 分泌期(着床に備えるためより厚みを増す)

基礎体温表の形をみてみよう

基礎体温表では、高温期と低温期の体温差が、0.3℃以上あれば、排卵していると考えます。卵子と精子が出会って結合した受精卵が着床しなければ、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、月経がはじまり、体温も下がります。なお、高温期が17日以上続くと妊娠が疑われます。

2か月程度、基礎体温のグラフをつくって、高温期と低温期に分かれているのがみられれば、正常に排卵が行われているということになります(1)。

図1 正常なパターンの基礎体温グラフ

基礎体温表を記入していて、グラフが次のようなパターンになった場合は、まずは受診してみましょう。

体温が一定でない

睡眠時間が少なかったり、起床時間がまちまちで生活が不規則だったりすると、基礎体温は一定になりません。規則正しい生活をして、生活習慣を見直しましょう。

高温期と低温期に分かれない

基礎体温の差がなく、高温と低温の時期に分かれない場合。月経があったとしても、無排卵の可能性があります。頸管粘膜検査や超音波検査をして、卵胞や子宮内膜の状態を確認する必要があります。

高温期が10日未満と短い

高温期の期間が短かったり、高い体温が途中で下がったりした場合、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が滞っている黄体機能不全が疑われます。すぐに受診しましょう。黄体ホルモン剤の投与などを行い、タイミング法を実施します。

体温が低い

一般に、高温期は36.7℃以上とされていますが、体温には個人差があるので、低温期から0.3℃以上高ければ、体温にかかわらず高温期と考えられます。ただし、基礎体温が35.0℃~35.5℃のように低いと子宮や卵巣の血流が悪くなり、卵子や子宮内膜の成長に問題が生じる場合があります。適度な運動や必要な栄養をとるなど、健康的な生活を送るようにしましょう。

基礎体温を記録することが、妊娠への準備に

タイミング法を行う場合は、自分の体のリズムをよく理解して、その体内時計にあった生活を送ることが大切です。朝早く起き、夜12時までには就寝する、また、朝食を抜くようなことをしないで、3食、規則的にバランスのよい食事をとりましょう。日中、体を動かし、夜しっかり睡眠をとるようにすると、体調も整います。

 

 

《参考文献》

吉村泰典(監), 生殖医療ポケットマニュアル. 医学書院 2014

竹田省,田中温,黒田恵司(編), データから考える不妊症・不育症治療 希望に応える専門外来の診療指針. メジカルビュー社 2017

 

 

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師