体外受精で太るかどうかは人によって違います


体外受精の不妊治療で使用される排卵誘発剤やピルのなかには、女性ホルモンを含んでいるものが多く、これにより身体に脂肪が付きやすくなったり、むくみやすくなったりする傾向にあります。
しかしながら、必ずしも太るというわけではなく、太るかどうかには個人差があるといわれています。
また通常であれば、大幅に体重増加することはあまりないと考えられています。

不妊治療で使われる薬の副作用で太る可能性があります

不妊治療を受けている方のなかで、「体外受精を行うと太る」という話を聞いたことがある方もいるでしょう。
これは不妊治療で使われるhMG製剤やFSH製剤などの排卵誘発剤やピルのなかに女性ホルモンが含まれていることが理由だと考えられます。

女性ホルモンは美しい肌や艶やかな髪の毛を維持するために必要なホルモンとして知られていますが、一方で、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンを摂取することでホルモンバランスが急激に変化をし、身体に脂肪がつきやすくなったり、むくみやすくなったりするといわれています。

とくにプロゲステロンには体内に水分を溜めこみやすくさせる作用を持っているといいます。
しかしながら、必ずしも太るというわけではなく、体重に全く変化がないという人もいます。

つまり体外受精で太るかどうかには個人差があるということになります。
万が一体重が増加したとしても1~3㎏程度ということが多く、それ以上の体重増加がある場合、薬の副作用だけではない可能性があります。

ストレスや過食などが原因で太ることもあります


体外受精の治療に取り組んでいる方のなかには、大幅に体重が増加したという人もいるといいますが、それは、不妊治療によるストレスが原因である可能性があります。
不妊治療に取り組んでいると、上手くいかないときにイライラしてしまったり気持ちが沈みがちになってしまったりする人もいます。

精神的にナイーブになり、ストレスが溜まることが多いのです。
気持ちを発散させるために、過食をしてしまう方も多く、特に嗜好性の高い甘いお菓子や糖分の多い飲料水などを摂ってしまいがちです。

またスナック菓子やジャンクフードなど油分の多い食べ物も体重増加の原因になるといえます。
適度な運動は身体の基礎代謝を高め、妊娠しやすい身体づくりにも効果が期待できます。

基礎代謝とは、簡単にいえば、何もしなくてもカロリーを消費していくエネルギーのことです。
基礎代謝が低いと、摂取したカロリーが消費されにくくなると考えられます。
不妊治療中のイライラやストレスは、食べることだけではなく、運動することによっても解消していくことが大切です。

不妊治療中の体重の増加は卵巣過剰刺激症候群である可能性もあります

体外受精の不妊治療では、hMG製剤やFSH製剤などの排卵誘発剤を摂取したり、卵胞を育てるゴナドトロピという注射を打ったりすることがあります。
こういった薬には、卵胞の発育により卵巣が腫れる、腹水が溜まってしまうなどの副作用が起こることがあります。

この副作用は、一般的に「卵巣過剰刺激症候群」と呼ばれており、通称「OHSS」として知られています。
腹水が溜まってしまうということは、体内に余分な水分が溜まっているということだといえるでしょう。

むくみに繋がるだけでなく、急激な体重増加をしてしまうこともあります。
ただ不妊治療を専門とする医師であればOHSSが起こりうることも予想の範囲内なので、予防することは十分可能です。

たとえばhMG製剤やFSH製剤などの排卵誘発剤や卵胞を育てるゴナドトロピを投与する量を調整することです。
OHSSは通常であれば2~3週間で症状が改善するといわれており、悪化するのは稀なケースだと考えられています。

OHSSの初期症状には、一日で1㎏以上の体重増加がある・一日の尿の量が500mlになる・頭痛・手の痺れ・急激な腹痛などが挙げられます。
これらの症状が出た場合には、担当の医師へ相談するようにしましょう。

(まとめ)体外受精を行うと太るって本当?

1.体外受精で太るかどうかは人によって違います

体外受精で太る方が多いといわれているのは、不妊治療で使われる排卵誘発剤やピルのなかに含まれている女性ホルモンを摂取することで、脂肪が付きやすくなったりむくみやすくなったりするからだと考えられます。

2.不妊治療で使われる薬の副作用で太る可能性があります

排卵誘発剤やピルには女性ホルモンが含まれています。

体外受精で太るという話を聞くのはそのためだと思われますが、1~3㎏の体重増加であることが多いといわれています。
もし大幅な体重増加が見られるのであれば、それ以外の原因である可能性が高いです。

3.ストレスや過食などが原因で太ることもあります

不妊治療中は、イライラしたりストレスを溜めやすくなったりする傾向にあり、それを発散させるために、甘いお菓子や糖分の多い飲料水、スナック菓子など体重増加の原因になるものを摂ってしまいがちです。

妊娠しやすい身体づくりのためにも、適度な運動をしましょう。

4.不妊治療中の体重の増加は卵巣過剰刺激症候群である可能性もあります

不妊治療中に投与する排卵誘発剤や注射などは、卵巣過剰刺激症候群=OHSSと呼ばれる副作用を起こす可能性があります。

卵巣が腫れたり腹水が溜まったりすることで体重増加することもありますが、悪化するのは稀なケースだといえます。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師