市販の検査薬では体外受精の結果を正確に知ることはできません


体外受精の結果は市販の検査薬ではなく、病院の血液検査によってわかります。
胚移植から1週間から10日前後で血液検査をして、さらに1週間程度で超音波検査によって胎嚢を確認します。

不妊治療中はHCG注射を受けているため、検査の結果が正確に出ないこともあります。
化学流産の可能性もあるため妊娠しているかどうかは病院で調べましょう。

体外受精の妊娠判定は血液検査でおこなわれます

体外受精は採卵して受精させたものを移植するというプロセスでおこなわれます。
病院での妊娠判定は胚移植後の黄体期を経て、移植から7~9日後、採卵日から数えると16日後以降です。

胚が無事に着床していれば絨毛からHCGが分泌されるため、血中のHCGを測って妊娠を確認します。
血液検査で陽性だった場合、約10日後に今度は超音波で妊娠を確認します。

超音波検査で胎嚢があるかを調べ、血液検査で着床のホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が分泌されているか確認するのです。
注意しなければいけないのは販売されている妊娠検査薬は使用できないということです。

尿で調べる妊娠検査薬は尿中のHCGの量で妊娠を調べます。
しかし妊娠治療中はHCG注射を使うことがあるため、妊娠していないのに妊娠検査薬で反応してしまうことがあるのです。

さらに尿は体内を血液として巡った後の排泄物です。
調べたその時のHCGの量がわかるのではなく、すこしタイムラグをおいたHCGが表示されてしまいます。
体外受精をしたときの妊娠を知るには、時間をおいて病院で検査するのが一番確実です。

フライング検査にはリスクもあります


胚移植をおこなってから少なくとも1週間は妊娠しているかどうかわかりません。
一刻も早く結果を知りたくて、落ち着かないという人も多いでしょう。

結果を知るために規定よりも早く検査薬を使う、いわゆるフライング検査をしたいと考えてしまうのではないでしょうか。
自然妊娠の場合であれば、生理が一週間遅れると検査薬では陽性がでます。

早い場合であれば、生理予定日、つまり着床から1週間程度で陽性と出ることもあります。
ただし不妊治療でHCGホルモンの注射をおこなっている場合、妊娠していなくてもHCGの影響で陽性反応が出ることもあります。

もしフライング検査をするのであれば注射によるHCG濃度の影響がないか考えましょう。
HCGには3000単位、5000単位、10000単位の3種類があり、多ければ多いほど体内に残る時間も増えます。

たとえば10000単位の場合は2週間程度は体内に残ると言われています。
フライング検査をするのであれば、体内のHCG濃度が下がってからおこなわなければいけません。

フライング検査をするかどうかはその人の考え方次第です。
個人差もありますが、確実な結果ではないので一喜一憂するのは避けましょう。
化学流産の場合も妊娠検査薬では陽性と出るため、もしかするとぬか喜びになってしまうかもしれません。

検査薬で陽性がでても化学流産の可能性もあります

妊娠検査薬では、早い段階で妊娠しているかを検査することができます。
しかし検査薬で陽性がでてもまだ子宮に赤ちゃんが入った胎嚢が見えてこないこともあります。

通常であれば、1週間程度で超音波検査によって胎嚢を確認できますが、子宮外妊娠や化学流産も考慮しなければいけません。
化学流産とは着床はしたものの、その後受精卵の成長が止まったものを言います。

その後、生理のような出血が起きるため、通常の生理だと思っていたが実は化学流産だったということもあり得ます。
化学流産は比較的高確率で起こる症状です。
かつての検査薬では化学流産になる程度のHCGでは反応しませんでした。

しかし皮肉なことに検査薬の精度が上がって化学流産の場合でも陽性反応が出るようになったのです。
妊娠を喜んだものの化学流産だったというケースは決して珍しくありません。

流産したと悲観的になるのではなく、着床まではしたと前向きに考えてください。
着床することが分かったと考えて、気長に不妊治療を続けましょう。

(まとめ)体外受精の結果は市販の検査薬でわかるの?

1.市販の検査薬では体外受精の結果を正確に知ることはできません

体外受精の結果は尿検査ではなく、病院で血液検査をしてわかります。

不妊治療中はHCGの注射を打っているため、要検査では正確に判定できないことがあるので注意しましょう。

2.体外受精の妊娠判定は血液検査でおこなわれます

体外受精をしたときは、病院の血液検査で妊娠しているか確認します。

尿検査は尿中のHCGの量で妊娠しているかを調べます。
HCG注射を受けていると市販の妊娠検査薬では正しい結果が表示されないので病院での検査を待ちましょう。

3.フライング検査にはリスクもあります

妊娠検査薬を使用してフライング検査を行う場合、HCG注射をしていると正確な結果が出ません。

注射してから日を開けておこなう必要があります。
基本的にはフライング検査は正確な結果ではなく、化学流産などを知ってしまうこともあるので注意してください。

4.検査薬で陽性がでても化学流産の可能性もあります

検査で陽性が出たからといって、安直に喜ぶことはできません。

化学流産の可能性もあります。
ただし化学流産したということは着床できたということなので前向きに治療を続けましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
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院長 小松保則医師