体外受精の冷凍保存とは凍らせた受精卵を長期間保存する方法です


体外受精の冷凍保存とは、採取した受精卵を冷凍して長期間保存するという方法です。
この方法は当初、多胎妊娠を防ぐ目的で開発されました。

採卵では一度にたくさんの卵子が採取でき、そのうちの多くが受精卵として発育することがあります。
そのような場合、多数の受精卵があったとしても移植する数を冷凍保存することによって制限し、多胎妊娠を防ぐことができます。

体外受精の冷凍保存では受精卵を何十年も保存することが可能です

体外受精の冷凍保存では状態を全く変化させることがないまま、何十年も保存することができます。
特殊な溶液に浸し、ストローに入れた受精卵を-196℃の液体窒素に浸して冷凍保存します。

-196℃という低温では化学変化が起こることがまずないため、何十年も同じ状態を保ったままで保存することが可能になります。
食品は冷蔵庫で保存しても時間の経過と共に品質が低下してしまいますが、体外受精の冷凍保存ではそのようなことはありません。

一度の採卵で採取した2個以上の受精卵で兄弟や姉妹を作ることができ、保存時間が長くなっても生まれてくる赤ちゃんに異常が出ることが少ないと考えられています。
また採卵した受精卵をその周期では移植せず、全て凍結することで別の周期に移植する方法があり、これを全胚凍結法と言います。

採卵した周期に移植すると女性に危険が及ぶ可能性があると判断された場合や、冷凍して移植した方が着床率が高いと考えられる場合に行われます。

体外受精の冷凍保存を行う際に注意すべき点があります


体外受精の冷凍保存にはいくつものメリットがありますが、注意しなければならない点もあります。
一度冷凍してから融解させるという変化を受精卵に与えるため、5~10%ほどの確率で受精卵の状態に変化が起こることがあります。

物理的な変化が大きくなると、受精卵が破裂してしまう可能性も考えられます。
また天災などが起きた場合に冷凍保存した受精卵を失う可能性についても、考慮しなければなりません。

冷凍保存した受精卵はいったん融解してしまうと、再冷凍しても細胞が死滅してしまいます。
さまざまなリスクについて、事前にクリニックと話し合いをしておくことが大切です。

受精卵の保存期間は通常1年となっていますが、不妊治療専門のクリニックでは保存期間の延長をすることもできます。
ほとんどの場合、延長期間は閉経するまでの間、認められていることが多いです。

患者さんからの連絡がないまま保存期間が過ぎた場合には、申し出がなくてもクリニックが廃棄する旨の同意が取り交わされることがあります。
生来的に受精卵を使用したいのであれば、必ず延長手続きをしましょう。

受精卵は移植する際も破棄する際も、女性と男性双方の同意が必要になります。
どちらか一方が同意をしない場合は、移植ができないこともあわせて覚えておきましょう。

卵子の冷凍と受精卵の冷凍には違いがあります

卵子の冷凍とは、受精していない卵子をそのまま冷凍保存する方法です。
病気などの理由により卵巣機能を失う可能性がある方に対して、将来の妊娠の可能性を残すための技術です。

将来の妊娠に対して保険をかける目的で卵子を冷凍保存するケースもありますが、日本ではあまり浸透していません。
卵子を冷凍保存した年齢によって妊娠率に違いがあり、必ず受精するとも限らないため、妊娠率はまだ低いと言われています。

一方で受精卵の冷凍保存は卵子の冷凍保存とは異なり、はじめから受精した状態で冷凍保存するため、融解した後に受精するかどうかわからないということがありません。

体外受精の冷凍保存を考えた方がよいケースとしては、次のようなものが考えられます。

  • 病気の治療のために卵巣機能を失う可能性がある場合
  • 妊娠を考えた際に治療すべき病気が見つかった場合
  • 仕事などの都合で今すぐの妊娠が難しい場合

受精卵は長期間冷凍保存が可能ではありますが、受精卵を胎内に戻す年齢的なリミットについては、さまざまな見解があります。
受診したクリニックとよく相談して、きちんとした計画を立てるようにしましょう。

(まとめ)体外受精の冷凍保存はどんなことをするの?

1.体外受精の冷凍保存とは凍らせた受精卵を長期間保存する方法です

体外受精の冷凍保存は本来、多胎妊娠を防ぐために開発された方法です。

採取した受精卵を長期間冷凍保存することが可能であり、一度の採卵で多くの受精卵が採れても移植の数を制限することで多胎妊娠を防止します。

2.体外受精の冷凍保存では受精卵を何十年も保存することが可能です

体外受精の冷凍保存では、保存している間は受精卵の状態を変化させることなく保つことが可能です。

食品のように冷凍保存しても時間の経過と共に品質が劣化することがありません。
保存期間が長期になっても、胎児に影響はないと考えられています。

3.体外受精の冷凍保存を行う際に注意すべき点があります

体外受精の冷凍保存にはメリットの他、注意すべき点もあります。

災害時などでは温度を保つことができず、冷凍保存した受精卵を失う可能性があります。
また1年を越えての保存には延長申請が必要であり、移植の際には女性と男性双方の同意が必要です。

4.卵子の冷凍と受精卵の冷凍には違いがあります

体外受精の冷凍保存には卵子の冷凍保存と受精卵の冷凍保存があります。

病気や仕事などの都合により、受精卵の冷凍保存をすることが多くなっています。
年齢的なことも考慮し、受精卵を胎内に戻す時期などについてはクリニックとよく相談しましょう。

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師