卵管閉塞と診断されても体外受精を受けることは可能です


卵管閉塞は自然妊娠することが難しい病気ではありますが、妊娠する可能性がないわけではありません。
卵管閉塞の手術をしてから1年が経過しても妊娠に至らない場合は、体外受精による治療を受ける方が多いです。

体外受精では卵管を通すことなく受精できるため、卵管閉塞であっても不妊治療を行えます。
卵管の詰まりが解消されたとしても、クラミジア抗体が陽性と診断された場合は注意しましょう。
妊娠率が下がってしまうので、早いうちに体外受精の治療へ切り替えることが必要です。

卵管閉塞は卵管がふさがっている状態です

卵管閉塞とは何らかの原因によって卵管が詰まってしまった状態を言います。
卵管は卵子の通り道であり、卵巣から子宮へ続く長さ10cmほどの管になります。

排卵された卵子を運ぶ役割を持つ他、卵子を精子と受精させ、分裂を繰り返す受精卵を子宮へ運びます。
そのため卵管に詰まりが生じていると、受精まで至るのが非常に困難となります。

また卵管閉塞の形態のひとつに卵管水腫があります。
卵管水腫を発症した場合、卵管の中に水がたまってしまい、卵管がソーセージのように膨れ上がってしまいます。

卵管閉塞は、通気検査・子宮卵管造影検査・腹腔鏡検査などによって行われます。
通気検査では診断が確定しないこともあり、子宮卵管造影検査での確認が必要となります。

手術を選択した場合は腹腔鏡検査を行うこともあり、この検査によって卵管の詰まりを解消することができるかどうか診断をします。
卵管閉塞の治療として、卵管の疎通性を良くする顕微鏡下手術療法を行うことがあります。

卵管閉塞になってしまう原因があります


卵管閉塞が起こる主な原因として挙げられるのは、クラミジア・大腸菌・淋菌などの感染による卵管炎だと言われています。
性器クラミジア感染症が原因の60%以上を占めるとされ、腟から侵入したクラミジアが子宮から卵管へと感染することで卵管が癒着を起こし、ふさがってしまうことがあります。

若い女性の患者が最も多く、母親からの産道感染で新生児が発症してしまうこともあります。
また盲腸から卵管に炎症が広がったり、血液を介して感染したりすることで、卵管閉塞になってしまうケースも報告されています。

女性に多い疾患である子宮内膜症も、卵巣にチョコレート嚢胞ができて周りの臓器と癒着してしまうと、卵管閉塞になる恐れがあります。
卵管閉塞は子宮などの周囲の臓器に炎症があると発症しやすく、膿のようなおりものが出たり、下腹部痛や不正出血が見られたりすることもあります。

悪化すると卵管の中に膿がたまる卵管留膿症となり、下腹部痛が強くなるだけでなく発熱、吐き気などが現れます。

卵管閉塞になってしまっても妊娠することができます

卵管閉塞の診断が出たとしても、妊娠の可能性を失ったわけではありません。
卵管は左右で2本存在し、たとえ片方の卵管が閉塞しても、もうひとつの卵管を通って受精し、受精卵が着床することができるからです。

2本とも卵管が詰まってしまったり、周りの臓器との癒着が起きたりした場合は、クリニックでの治療が必要となります。
不妊治療専門のクリニックでは卵管の通過性を見る目的として、卵管通水検査を行っているところがあります。
エックス線を使った検査ではないため、卵管造影検査と比較すると被曝や造影剤によるアレルギーの心配がなく安心です。

卵管通水検査は一般的に次のような手順で行われます。

  1. 膣内を消毒する
  2. 子宮内でバルーンを膨らませ、チューブを固定する
  3. 子宮口を手で押さえ、生理的食塩水または造影剤を注入する

検査によって卵管閉塞が判明した場合は、顕微鏡下手術や腹腔鏡下手術によって卵管の詰まりを解消します。
手術後、自然妊娠の兆候が見られない時は、クリニックで体外受精についてのカウンセリングを受けましょう。

数多くある不妊の原因のうち、卵管が原因になっているケースは30~40%あると言われています。
卵管閉塞にまつわる不安は早い段階でクリニックに相談することで、積極的に解決していきましょう。

(まとめ)卵管閉塞と診断されても体外受精を受けることは可能?

1.卵管閉塞と診断されても体外受精を受けることは可能です

卵管閉塞を発症すると自然妊娠する確率が低くなりますが、体外受精によって不妊治療を行うことができます。

とくにクラミジア抗体が陽性の場合は、早めに体外受精を受けることが大切です。

2.卵管閉塞は卵管がふさがっている状態です

なんらかの原因によって卵管がふさがった状態が卵管閉塞です。

卵管は受精卵が子宮へ向かうための通り道なので、詰まりが生じていると妊娠しにくくなります。
卵管の詰まりを回復する治療として、顕微鏡下手術療法を行うことがあります。

3.卵管閉塞になってしまう原因があります

卵管閉塞の主な原因はクラミジア、大腸菌、淋菌などの感染による卵管炎です。

卵管閉塞は周囲の臓器に炎症があると発症しやすく、おりもの、下腹部痛、不正出血が見られることがあります。
悪化すると卵管に膿がたまる卵管留膿症となり、発熱などが現れます。

4.卵管閉塞になってしまっても妊娠することができます

卵管閉塞になったとしても卵管は2本存在するので、片方の卵管で受精・着床することができます。

万が一手術が必要となった場合も、妊娠する可能性は充分あります。
卵管閉塞の手術後に体外受精を受けることもできるので、クリニックに相談してみましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

詳しくはこちら

経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
住所 〒106-0032
東京都港区六本木7-18-18 住友不動産六本木通ビル6F
お問い合わせ 0120-853-999
院長 小松保則医師