体外受精で受精卵を子宮に戻す時期は初期胚の頃に戻す場合と胚盤胞に成長してから戻す方法があります


体外受精で卵を戻す時期によって、胚の成長度合いが違います。
採卵から2~3日で戻す初期胚移植と、胚盤胞まで育てる胚盤胞移植があります。
胚盤胞移植は胚盤胞まで成長した胚の中から移植する胚を選ぶことができると考えられています。

また胚移植には他にも初期胚と胚盤胞を連続して移植をする二段階胚移植や、凍結して次の周期に移植する凍結胚移植などがあります。
医師と相談して、自分の状態にあった適切な処置を行うことが大切でしょう。

初期胚移植と胚盤胞移植では戻す時期が違います

体外受精では受精卵をどこまで育てるかも大切なポイントです。
それぞれのメリットを紹介します。

初期胚移植

初期胚移植は受精した後、2~3日培養して分割を確認してから子宮に戻します。
はじめて体外受精を受けるという人には初期胚移植を勧める医師が多いとも言われています。

胚盤胞移植

胚盤胞移植では分割胚を更に培養して、胚盤胞になってから子宮に戻します。
ただし培養したすべての胚が胚盤胞になるわけではありません。
胚盤胞までたどり着けるのは全体の半分程度と言われています。

つまり胚盤胞まで育てることによって、より妊娠の可能性が高い胚を選ぶことができるのです。
加えて適切な時期に胚移植できるのも大きなメリットです。

自然妊娠では卵管内で数日かけて成長しながら子宮内を目指します。
胚盤胞移植は5日程度培養して戻すため、より自然妊娠に近い時期に移植できると考えられているのです。

ただし胚盤胞まで胚が育たなければ、胚移植のステップに進むことができません。
採卵したものの、どの胚も育たなかったために胚移植がキャンセルになってしまうこともあり得ます。

二段階移植では初期胚と胚盤胞を両方移植します


胚移植をおこなう時期には、初期胚移植と胚盤胞移植のほかに二段階胚移植があります。
二段階胚移植とは、同じ周期に初期胚移植と胚盤胞移植をおこなう方法です。

つまり採卵後2~3日で初期胚移植をおこなって、そのあと5日目以降に胚盤胞移植をおこないます。
この方法だと、最初に戻した胚が作用することで着床の準備が進み、さらに胚盤胞を移植することで妊娠率が上がると考えられているのです。

一回に2~3個の胚を移植するため双子など多胎妊娠の可能性が高くなるため、年齢などさまざまな事情で多胎妊娠を避けたいという人には向いていないことも指摘されています。

しかし二段階胚移植の持つその高い妊娠率は非常に魅力的とも言えるでしょう。
二段階胚移植にこだわらず、凍結して胚を残しておき次の周期にチャレンジするという凍結胚移植を選択するという方法もあります。

胚を戻す時期には、はっきりとした正解があるわけではありません。
自分にとって納得できる方法がどれなのかを考えて選ぶことが大切でしょう。

アシステッドハッチングで着床をサポートすることもあります

胚移植をサポートする方法としてはアシステッドハッチングもあります。
アシステッド(Assisted)とは助けるという意味、ハッチング(Hatching)は孵化を意味してます。

つまり直訳すると孵化を補助する方法という意味です。
人間の卵も、卵の殻にあたる透明帯という部分から孵化して着床します。

着床しにくい原因のひとつに、この透明帯が厚くて硬いために孵化が起きにくいというものがあります。
アシステッドハンチングはこの透明帯を薄くする、もしくは穴をあけて孵化しやすくする技術です。

機械で穴があきやすいようなスリットを作る方法や、薬剤で表面を溶かす方法があります。
現在、一般的におこなわれているのが、レーザーを照射して透明帯を切開する方法です。

これは安全性が高くて胚へのダメージが少なくすむと考えられています。
ただし胚の状態によってはアシステッドハッチングができないこともあります。
アシステッドハッチングをするかどうかは、ケースバイケースなので医師の判断を仰ぎましょう。

(まとめ)体外受精で受精卵を子宮に戻す時期はいつ?

1.体外受精で受精卵を子宮に戻す時期は初期胚の頃に戻す場合と胚盤胞に成長してから戻す方法があります

体外受精で戻す胚には採卵して2~3日の初期胚ともっと培養が進んだ胚盤胞があります。

さらに二段階胚移植や凍結胚移植などの方法もあり、胚移植をサポートする方法は開発が進んでいます。
医師の所見を聞き、自分に適した方法を選択しましょう。

2.初期胚移植と胚盤胞移植では戻す時期が違います

胚移植には受精卵を戻す時期によって初期胚移植と胚盤胞移植があります。

初期胚移植は採卵して2~3日培養した受精卵を戻す方法です。
胚盤胞移植の場合は胚盤胞まで育ててから戻すため、より高い着床率が得られると言われています。

3.二段階移植では初期胚と胚盤胞を両方移植します

二段階胚移植は、初期胚移植・胚盤胞移植と連続して胚移植をおこなう手法です。

初期胚が子宮を刺激したあとに、妊娠率が高い胚盤胞を移植できるため高い妊娠率を期待できると言われています。

4.アシステッドハッチングで着床をサポートすることもあります

アシステッドハッチングとは、胚の孵化をサポートする方法です。

人間の卵は透明帯という殻に包まれています。
アシステッドハッチングはこの殻を切ったり、薬剤で溶かしたりすることで孵化しやすくする施術です。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

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院長 小松保則医師