未成熟卵も体外受精培養を利用する事で妊娠につなげることができます


体外受精の成功にはよりよい卵を取り出すための採卵が重要と考えられています。
しかしケースによっては未成熟卵しか得られない、もしくは成熟卵とともに未成熟卵が得られることもあるでしょう。

そのような場合は培養液の中で成熟を進める体外受精培養という方法を使うことができます。
この方法は卵巣過剰刺激症候群を予防するために使われることもあります。

未成熟卵は体外受精培養で成熟させることができます

体外受精は卵巣内で成熟した卵子を採卵してから受精させます。
しかしこの方法で未成熟卵しか採れないこともこともあります。

未成熟卵は採卵したときには受精能力がありません。
そこで未成熟卵の体外受精培養(IVM)という手法が使われています。

体外受精培養とはホルモン剤などを添加した培養液で未成熟卵を培養して体外受精させる方法です。
この方法で成熟した卵子の受精能や発生能は、体内で成熟した卵子と変わりません。

ただし卵子が成熟したときに卵子の周りの顆粒膜細胞をはがすため体外成熟培養を選択した場合は顕微授精になります。
体外受精培養が使われるのは排卵誘発剤を使っても体内で成熟が進まないときや、卵胞の大きさに卵子が伴っておらず採卵した卵子が未成熟だった場合などです。

体外受精培養は卵巣刺激の注射をほとんど使用しないため、卵巣過剰刺激症候群の人にも適していると考えられます。
卵子の成熟度を正確に判定することで、最適なタイミングで体外受精をすることができます。
成熟した卵子も時間とともに受精率が低下するため、採卵するタイミングの判定が重要な意味を持つのです。

採卵するタイミングは急に決まることがままあります


体外受精において、特に重要視されるのが卵子の質です。
月経の時期、女性の脳の視床下部からは性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌されて卵胞刺激ホルモンを分泌するように働きかけます。

脳の下垂体ではホルモン分泌が進み、卵巣に卵胞を成熟させるように促すのです。
採卵するときは、卵巣刺激後に超音波検査で育ってきた卵胞の大きさや数を測ります。

卵胞期の管理は体外受精のステップの中でも大きな課題の一つと考えられています。
卵子の成熟にかかる時間は長く、場合によっては薬を使用しながら成長を見守ることになるでしょう。

しかし超音波では卵胞の中にある卵子までは見ることができません。
そこでエストラジールや黄体化ホルモンなどのホルモンの値から卵胞成熟を予測して排卵時期を見積もります。

成熟した卵子は排卵日の直前に体外に取り出し、同じ日に採精も行われます。
採卵日が急に決まって慌てた経験がある人もいるかもしれません。

これはさまざまな角度から卵の成長を観察して、採卵するタイミングを計っているからなのです。

質がよい卵子を回収することが体外受精成功のカギです

体外受精を成功させるためには質がよい卵子を確保することが不可欠だと言われています。
採卵した卵は、そのすべてが赤ちゃんになれるとは限りません。

変性卵や染色体異常卵など、すでに赤ちゃんになることができない卵も存在します。
加齢によってそのような卵の割合は増えるとも言われています。
そのため、質がよい卵子を確保するために採卵時にはできるだけ多くの卵をとる必要があるのです。

ある論文では出産するために最適な採卵数は15個程度だと発表されています。
1個でも多く卵を得るために卵巣刺激をおこなうこともあるでしょう。

現在多くの産婦人科でおこなわれている体外受精の方法には大きく3つがあります。
排卵誘発剤を使用せず、自分の身体が分泌するホルモンの力で育つ卵を回収する自然周期法はそのひとつです。

さらに内服薬を使った弱い刺激で卵を回収する低刺激法と、ロング法やアンタゴニスト法に代表される一回で多くの採卵を目指す高刺激法があります。

これは病院ごとに考え方があり、個人の体質によっても適した方法は違います。
医師の所見を参考に、自分にもっとも適した方法を相談しましょう。

(まとめ)未成熟卵でも体外受精はできるの?

1.未成熟卵も体外受精培養を利用する事で妊娠につなげることができます

体外受精培養は未成熟卵を専用の培養液で成熟させる方法です。

この方法では卵巣刺激をおこなわないため卵巣過剰刺激症候群のリスクがなく、身体的な負担も比較的軽減されると考えられています。

2.未成熟卵は体外受精培養で成熟させることができます

採卵で未成熟卵が得られたときは未成熟卵を体外受精培養で成熟させます。

体外受精培養は専用培養液で卵子を成熟させる方法で、卵巣過剰刺激症候群を予防するために使われることもあります。
自然に卵子が育たない人にも有効だと言われている治療方法です。

3.採卵するタイミングは急に決まることがままあります

採卵する時期で卵子の成熟度合いが違うため、スケジュールの決定は慎重におこなわれます。

卵胞の成熟は超音波所見とホルモンの値によって測りますが、卵子の成熟度合いは予測です。
さまざまな計測値と検査を組み合わせることで最も採卵に適した日を探ります。

4.質がよい卵子を回収することが体外受精成功のカギです

体外受精を成功させるには質がよい卵が不可欠です。

そのために採卵する卵子の数は15個程度が理想とも言われています。
採卵のために排卵誘発剤を使うかどうか、薬の種類などは病院によって考え方が違うので必ず事前に説明を受けましょう。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師