体外受精の着床率は移植する胚のグレードと子宮内膜の状態が関係しています


体外受精での胚移植を行った場合、移植する胚の質を表すグレードや子宮内膜の状態が大きく関係していると言われています。

グレードのよい胚であるほど着床率が高いとされ、移植前には培養した胚を非常に細かく検査します。
子宮内膜は柔らかく厚みがある方が、着床率が高いとされています。
必要であれば薬を用いて治療することもあります。

胚移植を行う際は、胚のグレードが着床率を左右することがあります

体外受精の際、胚移植を行いますが、移植する胚の質を表す「グレード」が着床率に関係しているとされています。

移植する胚は、受精してからの期間によって成熟度が異なり、初期胚と呼ばれる若い段階の胚と、胚盤胞と呼ばれる少し培養期間を置いた成熟度の進んだ胚の2種類に分かれます。

初期胚と胚盤胞では成熟度合いが異なるため、胚の状態も自然と変わっています。
そのため、初期胚と胚盤胞とではチェックする項目が異なり、グレード分けを行う際でも同じような判断基準を持って判断しているわけではありません。

初期胚・胚盤胞それぞれ質の良さによってグレードに分かれますが、基本的にはどちらの場合でもグレードがよいとされるものの方が着床率は高いとされています。
ただし2017年現在行われているグレード分けの基準は、胚の外観から読み取れる情報によるものがほとんどです。

実際にはグレードが低いとされるものでも着床し、妊娠・出産に繋がっているケースもあり、まだまだ胚の質に関しては今後も発展が見込まれる分野だと言えます。

子宮内膜の状態も着床率に影響します


どんなに質のよい受精卵を移植したとしても、子宮内膜の状態が着床に適した状態でなければ、着床は成立しにくいものです。
子宮内膜の厚みが厚く、表面が柔らかい場合を着床しやすい状態とし、反対に厚みがなく表面が硬い状態は着床しにくいとされます。

子宮内膜の状態は女性ホルモンの中でも黄体ホルモンの分泌量が大きく影響します。
黄体ホルモンの分泌が不足している場合やバランスが乱れている場合には、子宮内膜は硬く厚みもあまり変化しません。

黄体ホルモンが不足している場合には、ピルを用いてホルモンを補う治療を行います。
ピルというと、経口避妊薬というイメージが強い方も多いものですが、ピルは女性ホルモンと言われる卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類のホルモンの混合薬です。

子宮内膜の充実だけでなく、体外受精の際にはさまざまな場面で活躍してくれる薬です。
無事に胚が着床したとしても、子宮内膜が剥がれやすい状態であれば、その妊娠を継続するのが難しく、流産に繋がってしまうケースもあります。
子宮内膜の状態はそれほど着床や妊娠と関係が深いものです。

着床率を上げるには生活習慣の見直しも大切です

着床率を上げるには、基本的な生活習慣の見直しが大変重要です。
基本的な生活習慣を見直し、夜更かしなどをせずバランスの取れた食事をするなど規則正しい生活に改善しましょう。

規則正しい生活は、自律神経の乱れを整え、ホルモンバランスが取れる体に近づけてくれます。
とくにバランスの取れた食事は重要なポイントです。

ビタミンEは黄体ホルモンの生成に関与し、また体の老化対策にもなるため、意識して摂取することをおすすめします。
体外受精など不妊治療を行う時は、不安や心配、焦りなどでストレスを感じがちです。

ストレスは生殖ホルモンの分泌を抑えてしまうこともあります。
ほかにも自律神経の乱れにもつながることも分かっているため、ストレスは発散できる機会を設けて、1日の中でもゆったりとした気持ちで過ごせる時間を作ることも大切です。

また妊活の最中は喫煙やアルコールの摂取はおすすめできません。
喫煙やアルコールの摂取は体の老化に繋がります。

体が老化すると同じように卵子も老化するとされています。
体外受精で胚移植を行った際は、妊娠の可能性も高いため、胎児への影響も考慮することをおすすめします。

(まとめ)体外受精の胚移植での着床率は何と関係している?

1.体外受精の着床率は移植する胚のグレードと子宮内膜の状態が関係しています

体外受精での胚の着床率は、移植する胚のグレードによって異なるとされ、基本的にはグレードのよい胚の方が着床率は高いとされます。

子宮内膜の状態も着床率に関係しているとされ、状態が良くない場合は薬を服用するなどをして治療を行うことがあります。

2.胚移植を行う際は、胚のグレードが着床率を左右することがあります

体外受精では、胚の移植を行いますが、成熟度合いによって胚は2種類に分かれます。

それぞれ質を決める基準が異なっており、グレードとよばれるランク分けを行います。
基本的にはグレードがよいとされるものの方が着床率が高いとされます。

3.子宮内膜の状態も着床率に影響します

子宮内膜に厚みがなく、硬い状態であれば着床率も下がる傾向にあり、ピルなどのホルモン剤を用いて治療を行います。

子宮内膜の状態は着床だけでなく、その後の妊娠継続にも影響する大変重要なポイントです。

4.着床率を上げるには生活習慣の見直しも大切です

着床率を上げるためには、基本的な生活習慣の乱れを見つけて改善していくことが大切です。

栄養バランスや就寝時間・ストレスとの関係は女性ホルモンにも大きな影響を与えています。
胚移植後は妊娠の可能性も高まるため、一層の注意が必要です。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師