体外受精の胚移植での着床率は何と関係している?MV
体外受精で受精卵を子宮に移植しても、必ず妊娠できるわけではありません。着床率とは、受精卵が子宮内膜に接着する確率のことで、着床して初めて妊娠に至ります。
この記事では、体外受精で着床・妊娠するために知っておきたいポイントと、着床率を上げる生活改善策をご紹介します。

体外受精の着床率を上げるためにできること

体外受精では、採卵→受精→胚移植→着床という流れで妊娠に至ります。妊娠を成立させるためには、最後の要となる「着床率」を上げることが重要です。

体外受精の着床率は、移植する胚の質を表すグレードや子宮内膜の状態が大きく関係しているといわれています。
体外受精の着床率を上げるポイントとして、次のようなものがあります。

早期に不妊治療を開始する

着床率は、年齢とともに低下するといわれています。特に35歳以上になると妊孕性(妊娠のしやすさ)が低下します。また、子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科疾患がある方も着床障害が起きたり、着床しても流産してしまうリスクも増加するといいます。

年齢による着床率の低下リスクは避けられません。
したがって不妊治療を早期に開始することがリスク回避につながり、ひいては着床率を上げることになるといえます。

良質な卵子・精子を採取する

着床が見込める良好な胚を育てるには、良質な卵子と精子を採取することが前提です。
良質な卵子を採取するためには、患者さまの卵巣機能に応じた適切な卵巣刺激法を選択する必要があります。

また良質な精子の採取も必要です。
自宅で採精も可能ですが、クリニックで採精をすることで、よりスムーズに精液処理につなげることができ、精子の質の低下をおさえられます。

卵子や精子の質が低いと、受精しても細胞分裂せず育たない場合もあるため、実績のある医療機関で良質な卵子と精子を採取しましょう。

良質な胚を見極める

体外受精の胚移植では、移植する胚の発生ステージと質を表す「グレード」が着床率に関係しているとされています。受精してからの培養期間によって胚の発生ステージが異なります。
2〜3日間の培養期間を置いた胚は「初期胚」、5〜6日間の培養期間を置いた胚は「胚盤胞」と呼びます。

特に5〜6日まで育った胚盤胞は生命力が高く、高い着床率が期待できます。
しかし胚盤胞まで育つ受精卵は、採卵した卵子のうち3割程度です。育たなかった場合、移植や凍結がキャンセルになる可能性があります。

いずれも着床率を上げるためには、移植する胚の発生ステージとグレードを評価しながら、着床する可能性が高い胚を見極めたうえで移植することが重要です。

子宮内膜の状態を整える

どんなに質のよい胚を移植したとしても、子宮内膜の状態が着床に適した状態でなければ、着床は成立しにくいものです。
子宮内膜が厚く、表面が柔らかい場合を着床しやすい状態とし、反対に厚みがなく表面が硬い状態は着床しにくいとされます。

子宮内膜の状態は、女性ホルモンのなかでも黄体ホルモンの分泌量が大きく影響します。黄体ホルモンの分泌が不足している場合やバランスが乱れている場合には、子宮内膜は硬く厚みもあまり変化しません。

そのため体外受精では、胚移植後にホルモン補充をおこなうことで子宮内膜の状態を整え、着床率を高めます。
ホルモン補充の主な方法は、内服薬・注射・膣剤の3種類です。

無事に胚が着床したとしても、子宮内膜が剥がれやすい状態であれば妊娠を継続するのが難しく、流産に繋がってしまうケースもあります。
子宮内膜の状態はそれほど着床や妊娠と関係が深いため、体外受精ではホルモン補充が重要となります。

自分にあった治療を受ける

ひとことに体外受精といっても、卵巣刺激法から胚移植まで方法はさまざまです。
患者さまの年齢や身体の状態に基づいて、適切な治療法を選択することが着床率・妊娠率を高めるカギとなります。

例えば卵巣刺激法でも、高刺激法・中刺激法・低刺激法・自然周期法の4つの方法があり、主に卵巣機能に応じて最適な方法が選ばれます。
胚移植にも初期胚移植、胚盤胞移植、凍結融解胚移植などがあり、状況に応じて適切な方法が選択されます。

このように、多様な方法のなかから不妊の原因や卵巣能力、精子の状態などの個別の状況に応じて最善の方法を見極めることが重要です。
ご自身にあった治療を受けることが、着床率・妊娠率を上げることにつながるといえます。

体外受精を成功させるために心がけたい生活習慣

着床率を上げるには患者さまの妊娠しやすい身体づくりや、基本的な生活習慣の見直しも重要です。
成功率を上げるために、夫婦で次のような生活習慣を心がけてみてください。

バランスよく食事をする

妊娠しやすい身体づくりとして、タンパク質・ビタミンD・ビタミンE・鉄分・葉酸・亜鉛の栄養素を積極的に摂るようにしましょう。

特にビタミンEは黄体ホルモンの生成に関与し、また体の老化対策にもなるため、意識して摂取することをおすすめします。
普段の食事から十分な栄養を摂ることは難しい場合もあるため、サプリメントを活用するのもよい方法です。

また、糖質の摂り過ぎは卵巣機能を低下させる可能性があるため、控えた方がよいでしょう。
ただし、無理な糖質制限やダイエットは逆効果となるため注意が必要です。普段の食事は妊娠率・着床率にも影響するため、バランスのよい食事を心がけましょう。

規則正しい生活を心がける

規則正しい生活は、自律神経の乱れやホルモンバランスを整えます。
特に睡眠不足はホルモンバランスを乱し、排卵障害や月経不順の原因となるケースもあります。なるべく決められた時間で就寝・起床し、質のよい睡眠をとることが重要です。
夜更かしなどは控え、体内時計を調節し、規則正しい生活リズムを身につけましょう。

適度な運動を習慣づける

適度な運動は血行不良を改善し、卵巣機能の改善も期待できます。1度の運動では大きな効果は期待できないため、習慣づけることが大切です。
運動することで代謝が向上し、ストレス解消にもつながります。出産のための体力づくりとしても有効です。

ただし無理な運動は逆効果となる場合があるため、ウォーキングやヨガなどの適度な運動がおすすめです。

身体の冷えを予防する

身体の冷えは子宮や卵巣機能を低下させ、婦人科系の疾患につながる場合があります。女性は下腹部を冷やさないように工夫しましょう。長時間のデスクワークや同じ姿勢をする方は、冷え性になりやすいといわれています。ストレッチやウォーキングを適度に取り入れて血流を改善し、身体の冷えを予防しましょう。

喫煙やアルコール、過度な糖分を控える

不妊治療中の喫煙や過度なアルコールの摂取はおすすめできません。喫煙やアルコールの摂取は身体の老化につながります。身体が老化すると、卵子も老化するとされています。
また、過度な糖分も控えるようにしましょう。

ストレスをためない

過度なストレスは、ホルモンの分泌を抑えてしまうことがあります。自律神経の乱れにつながる場合もあるため、ストレスをためこまない工夫が必要です。
体外受精などの不妊治療は、不安や心配、焦りなどでストレスを感じがちになります。そのためリラックスして過ごせる時間を作ることも大切です。気晴らしに旅行をしたり、趣味の時間に没頭したり、自分なりのストレスを発散する方法を探してみましょう。

体外受精のお悩みは六本木レディースクリニックにご相談ください

体外受精の着床率を上げるには、医師やクリニックの知識・技術力はもちろん、患者さまの妊娠しやすい身体づくりや生活習慣の改善も重要です。
少しでも着床率を上げるために、食事・睡眠・運動習慣・ストレスなどに関わる生活習慣を今一度見直してみましょう。

六本木レディースクリニックは、不妊治療、体外受精専門のクリニックです。
患者さま一人ひとりに適したオーダーメイドの不妊治療を提供しており、体外受精の豊富な治療実績があります。
体外受精でお悩みの方は、お気軽に当院にご相談ください。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

運営クリニック 六本木レディースクリニック
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院長 小松保則医師