前周期の卵胞が排卵されずに残った場合は、体外受精の胚移植を見送るのが一般的です


前周期で排卵されずに残った卵胞を遺残卵胞と言います。
遺残卵胞があると新しい卵胞の成長を妨げてしまうほか、採卵しても卵胞の中に卵子がない状態であることが多く、受精に至らないことがほとんどです。

遺残卵胞があると、一般的には受精しない可能性が高いため、遺残卵胞が消えるまで体外受精を見送ることが多いでしょう。

前周期から残った卵胞は新しい卵胞の成長を妨げます

排卵とは、毎月卵巣の中で一番大きく成熟した卵胞から卵子が排出されることを意味します。
一番大きな卵胞以外に複数個同時に卵胞は育っており、それらは黄体となって、体の中へ吸収されてなくなります。

しかしまれに吸収されずに卵巣の中に残ってしまう卵胞があり、それを遺残卵胞と呼びます。
遺残卵胞は次の周期の時にはすでにある程度の大きさになっています。

次の周期の時に新しい卵胞がまたいくつか誕生するのですが、すでにスタート時点で大きくなっている遺残卵胞を体は、次に排卵する最も成熟した卵胞だと勘違いしてしまいます。

そのため本来であれば成長するはずの新しい卵胞が思うように育つことができず、その卵胞は黄体となり体に吸収されることになります。
つまり遺残卵胞があることによって、新しい卵胞の成長を妨げてしまうことにつながってしまうのです。

遺残卵胞が卵巣内にあるかどうかは、生理中にエコー検査をすることで簡単にわかります。
生理期間中にエコー検査をした時に、卵胞の影が見えると、排卵や生理の時に排出されずに残った卵胞だということが推定できるからです。

遺残卵胞は受精の可能性が低いため体外受精を見送るのが一般的です


遺残卵胞は、前周期では吸収されるはずの卵胞であったため、次の周期で大きく育ったとしても、空胞と呼ばれる中に卵子がない状態であることがほとんどです。
そのため、採卵しても受精できないことが多く、多くの医師や医療機関では、遺残卵胞がある場合は、次の周期は体外受精を見送るのが一般的です。

他にも遺残卵胞が卵巣内にあると、成熟した大きな卵胞が準備できたと体が勘違いしてしまい、ホルモンの分泌に変化を起こします。
ホルモンの分泌に変化が起こると、周期に乱れが起こり、排卵日の特定が難しくなってしまいます。

遺残卵胞は基本的には、次の生理までには消えてなくなります。
まれに消えずにまたそのまま残ってしまう遺残卵胞もありますが、多くの場合は様子見をします。

しかしいつまでも遺残卵胞が残っているとその間不妊治療が進まないため、リセットするためにも、必要であれば人工的に遺残卵胞を吸いだすか、薬の服用で遺残卵胞を無くす場合もあります。

ただ遺残卵胞があっても、体外受精にチャレンジするかどうか、遺残卵胞が自然に消えるまで待つのか薬を使うのかなどは、医師やクリニックの方針によって異なります。

遺残卵胞がある間は休養期間と考えて、焦らずに過ごしましょう

遺残卵胞は排卵誘発剤を使った周期に起こりやすいとされていますが、すべてが解明されているわけではなく、なぜ遺残卵胞ができてしまうのかは、いまだはっきりとは分かっていません。

不妊治療を行っていると、毎月の排卵や卵胞の数、さまざまな治療のタイミングなどが大切になります。
そのため1周期治療を見送るとなると、焦りを感じてしまう方も少なくありません。

しかし治療を見送っている期間は体の自律神経を整え、少しでもホルモンバランスの乱れが整うように過ごすことをおすすめします。

焦らずに、次の周期にベストな状態で治療に挑めるように体を内側から整える準備期間だと考えましょう。
不妊治療中は、さまざまな薬を服用したり、注射や処置を行ったりすることで体にも負担がかかっています。

処置や検査などを受ける際、その結果を聞く際にも精神的にも負担を感じていることも多いものです。
治療を行わず見送る期間は、体も心も休ませる休養期間として、少しゆったりした気持ちで過ごせるように心がけましょう。

(まとめ)前周期の卵胞が残ると体外受精を見送ることがある?

1.前周期の卵胞が排卵されずに残った場合は、体外受精の胚移植を見送るのが一般的です

卵巣内に前周期で排卵されずに残った卵胞を遺残卵胞と言い、遺残卵胞は新しい卵胞の成長を妨げてしまいます。

採卵しても卵子のない空胞であることが多く、受精には至りません。
遺残卵胞が消えるまで体外受精を見送るのが一般的です。

2.前周期から残った卵胞は新しい卵胞の成長を妨げます

排卵されなかった卵胞は、黄体に変わり体の中へ吸収されるものですが、吸収されずに卵巣内に遺残卵胞として残ってしまうことがあります。

遺残卵胞が次の周期に入り、成熟した卵胞と間違われてしまうと、新しい卵胞が育たなくなってしまうとされているのです。

3.遺残卵胞は受精の可能性が低いため体外受精を見送るのが一般的です

遺残卵胞は中に卵子のない空胞であることが多く、採卵しても受精出来る可能性が低いため、多くの場合その周期は体外受精を見送ります。

遺残卵胞は多くの場合次の生理までに消えますが、消えない時は吸いだしたり薬で処置することもあります。

4.遺残卵胞がある間は休養期間と考えて、焦らずに過ごしましょう

遺残卵胞が卵巣内にある間は、体外受精などの治療を見送ることが多く、なにもできないことに焦りを感じる方も少なくありません。

心身ともに忙しく負担のかかる不妊治療の合間に、体を休ませる貴重な機会だと捉えゆったりと過ごすことをおすすめします。



仕事や趣味を続けながら、無理のない不妊治療を

監修医情報

六本木レディースクリニック
小松保則医師
こまつ やすのり/Yasunori komatsu

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経歴
帝京大学医学部付属溝口病院勤務
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院
国立成育医療研究センター不妊診療科
六本木レディースクリニック勤務
資格・所属学会
日本産科婦人科学会 専門医
日本産科婦人科学会
日本生殖医学会
日本産婦人科内視鏡学会

運営者情報

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院長 小松保則医師